「子宮筋腫は長い目でとらえ、卵巣の機能を長持ちさせることを優先」
子宮筋腫は生死にかかわらない、ある意味とても難しい病気です。治療の選択肢のバリエーションが豊かになった分、患者さんのご希望や年齢、環境などを鑑みて、さまざまな治療法を説明するだけでとても長い時間がかかります。
それでも私は一人一人に一生懸命お話ししています。なぜなら筋腫を治せば終わりなわけではなく、その方の将来がかかっているから。治療のタイミングによっては妊娠がかなわなかったり、希望通り子宮を残したことで再手術になったり、後にほかの病気のリスクが高くなったり…。患者さんの将来に不利益なことは避けたいのです。
最近は、薬物療法で子宮を温存する方が増えていますが、偽閉経療法のようにホルモン分泌を乱高下させて卵巣機能を落とすと、老化が早まり、骨も弱くなります。閉経前、筋腫の手術前くらいの短期間だけならいいのですが。閉経前後の女性は、自分の人生を長いスパンでとらえ、特に卵巣を大事にしていただきたいなと思っています。(明樂重夫先生)
【教えていただいた方】
日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本生殖医学会生殖医療指導医。日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本女性医学学会女性ヘルスケア専門医。女性医療や女性ヘルスケア領域の確立に尽力
イラスト/内藤しなこ 構成・原文/蓮見則子