骨盤底筋は横隔膜とシンクロして動くことが理想
尿もれや頻尿などの尿トラブルは、さまざまな原因が重なっているもの。
女性ホルモンの減少はもちろん、出産による骨盤底筋へのダメージの名残や、姿勢や運動不足による骨盤底筋の衰え…などがおもな要因と考えられています。
「皆さんご存じのように、尿トラブルの改善には、骨盤底筋に直接働きかける収縮トレーニングがいちばんの基本。
今では腟トレなどとも言われているように、いろいろな方法が紹介されていると思います。
正しい方法で根気よく続けていけば改善が見込めると思いますが、トレーニングの下地ができていない人が多いのも事実。
骨盤底筋は横隔膜とともにインナーマッスルのひとつで、上下に向き合う位置関係にあります。
このふたつは本来、呼吸とリンクしているもの。呼吸次第でよい状態に整えることができるんです」
と言うのは、日本初の呼吸専門サロンを開いた呼吸コンサルタントの大貫崇さん。
骨盤底筋は胴体のいちばん下側にあり、骨盤の底の部分から内臓を支えています。でも、単独で動いているわけではなく、横隔膜と連動して緊張したり緩んだりしているのです。
その動きの元になっているのが呼吸!
息を吸ったり吐いたりすることで横隔膜とシンクロして骨盤底筋も上下に動きます。
きちんと呼吸ができている人は…
息を吸うとき:横隔膜は下がり、骨盤底筋も下がる。
息を吐くとき:横隔膜が上がり、骨盤底筋も上がる。
これが理想の動き方です。
骨盤底筋トレーニングの効果を確実に上げる呼吸エクササイズ
理想の動きは、横隔膜と骨盤底筋がほぼ平行に向かい合っていることでかないます。
反り腰でお腹を突き出しているような姿勢の人は平行にはなっていないため、シンクロしにくいわけです。
そこで、横隔膜と骨盤底筋の位置関係を整えるための呼吸エクササイズです!
【ぽっこりお腹/腰痛】のテーマで登場した、反り腰に対抗する呼吸エクササイズ
「90-90ヒップリフト」。
あお向けに寝て、膝と股関節を曲げた状態で行う「きほんの呼吸」です。
もっと詳しい説明は、
第11回【ぽっこりお腹/腰痛】をご参照くださいね。
今回は、より骨盤底筋を理想のポジションに近づけるため、膝を閉じる姿勢で行います。
「PRI 90-90 ヒップリフト」
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膝に挟むのはボールでなくても枕やクッションなどでかまいません。
ここでも大切なのは、肋骨を下げたまま息を吐ききること。
もし、風船があれば呼吸をしながら風船を膨らませてみましょう。より吐くことを意識できるはずです。
より効果的な風船エクササイズのやり方は、第5回を参照ください。
この呼吸を時々やってみることで、横隔膜と骨盤底筋の連動がうまくいくようになります。
そのうえで、腟トレなどとも言われる骨盤底筋トレーニングをやってみましょう。
これまで効果を感じられなかった人も骨盤底筋の反応がよくなり、断然動きやすくなるはずです。
■■まとめ■■■■■■■
骨盤底筋トレーニングの前に、呼吸で効果が上がるようにする。
横隔膜と骨盤底筋は平行に向かい合っていることが大切。
骨盤底筋の反応をよくするのも呼吸エクササイズ。
【教えていただいた方】
1980年神奈川県生まれ。呼吸コンサルタント。アスレティックトレーナー。京都にある呼吸専門サロン「ぶりーずぷりーず」主宰。大阪大学大学院医学系研究科 健康スポーツ科学講座スポーツ医学教室 特任研究員。呼吸に関連した企業研究や商品開発など法人向け呼吸コンサルティング事業を展開し、アスリートから高齢者まで呼吸目線でのコンディショニングに従事。著書に『きほんの呼吸 横隔膜がきちんと動けば、ムダなく動ける体に変わる!』(東洋出版)など。
【呼吸についての悩みや質問、大募集】
呼吸について、大貫さんへの質問を募集しています。
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●自分の呼吸についての悩みや困ったこと
●呼吸についての素朴な疑問
内容についての感想などもOKです。大貫さんにお答えいただく予定です。
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撮影/露木聡子 イラスト/かくたりかこ 取材・文/蓮見則子