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更年期に突然やってくるめまい・動悸に備えて、知っておきたいセルフケア4つ

更年期は自律神経の揺らぎに加えて精神的なストレスも重なり、突然のめまいや動悸に襲われることがあります。「そんなときでも、お守りになってくれるセルフケアを知っておくと安心です」と、往診鍼灸師の森田遼介さん。自身にもあったという激しい動悸体験から、その場で心身を落ち着かせる「お守りセルフケア」を教わりました。

更年期症状とよく似た、突然のめまい&動悸を体験した森田さん。鍼灸師の救急ケアとは?

 

更年期の症状として起こるめまいや動悸は、自律神経の揺らぎや不安、ストレスなどから、血管や神経の活動が乱れることによって起こります。

 

「更年期になると、自律神経がスイッチONの働き(交感神経優位)になっている状態が多くなるため、体が緊張しやすく、筋肉や血管が収縮したり、手足の末端が冷えたりします。さらに精神的ストレスが重なると、耳に不調が起こる人の場合はめまいに、心臓に不調が起こる人の場合は動悸が出やすくなります」と、鍼灸師の森田遼介さん。つまり、めまいも動悸も、どちらも自律神経の乱れが原因といえるのです。

 

実は森田さん自身も、2024年にテレビ番組『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系列)にて、“自律神経評論家”として出演決定が決まった1カ月ほど前から緊張が続き、めまいと動悸に襲われたと言います。

 

「緊張から交感神経が優位になり、更年期と似たような状態になっていたのです。私は大勢の人前で話すことが苦手で緊張しやすく、ある日、高速道路で運転している最中に動悸が止まらなくなりました。危険を感じて路肩に駐車したところ、痺れと痙攣も始まってしまい、慌てて救急車を呼びました

 

病院に搬送されたものの、「検査の結果は、いたって健康体そのものです、と(笑)。テレビ出演の経緯を説明したところ、精神的な緊張によるパニックですね、と診断されました」とのこと。そんな自身の経験からも、「更年期も症状が出ると逃げられないなかで、日々の生活を送ることの大変さにはとても共感します」と、森田さん。

 

いざというときのセルフケアをお守りに!

 

外出時など、急に起こるめまいや動悸。森田さんは、先述のテレビ収録の当日にも、過度な緊張から再び動悸が始まってしまったそう。

 

「収録前・収録中も慌ててセルフケアを行いました。自律神経評論家として出ていましたが、実は最自律神経が最も乱れていたのが自分でした(笑)。でも、めまいや動悸が起きても、“この養生(セルフケア)を知っていれば大丈夫!”と、ポジティブにとらえられる手段を持っていたため、なんとか落ち着いてコメントを話すことができたのです」

 

めまいや動悸は、精神的なストレスが起因になるため、森田さんのようにお守り養生(セルフケア)を持っているだけで、不調が起こる回数を少なくすることができるそう。そこで今回は、いざというときでもアイテム不要でできるセルフケアを教えてもらいました。

 

【簡単セルフケア〜めまい】

 

めまいは更年期+精神的ストレスに耳の不調が関係していて、五臓では「腎」が関係しているとか。

 

「耳や腎は、体内の水分の巡りや生命エネルギー、むくみや老化スピードなどにも関係しています。内耳の一部である三半規管の中に、“耳石”というカルシウムの粒があり、平衡感覚や重力の感知を司っています。しかし、この耳石がたまるとリンパの流れが乱れ、めまいが生じるのです」

 

腎のツボ「太渓(たいけい)」を握って温める

ツボ「太渓」を温める

 

↑太渓は、内くるぶしとアキレス腱の間にあるツボで、「腎」と関係があります。めまいや動悸の発作時には、足首の内側を全体的に握って、温めましょう。日頃からアンクルウォーマーで温めるのも効果的です

 

記事が続きます

胸鎖乳突筋の緊張を緩める

 

気圧や気温が急に上がるとき、また、満月の前後は体が交感神経優位に偏りやすいため、めまいの発生に注意する必要があるそう。「めまいを起こしやすい人の特徴として、首の横にあり、耳たぶの後ろから鎖骨までを走る“胸鎖乳突筋”が緊張しています。以下のイラストのように、首のストレッチを行ってください」

首ストレッチ_01

①左手で右胸の鎖骨を探し、鎖骨の上縁を左手の人差し指と中指で上から下に押さえる。

 

 

首ストレッチ_03

②あごを左斜め上へ向けると胸鎖乳突筋が伸びる。そこで深呼吸を大きくゆっくり、3回程度行う。

 

 

首ストレッチ_02

③終わったら反対側も同様に行う。

 

 

「血流が良いと水分代謝も良くなりますが、めまいが起こる前のタイミングから、気がついたときに温かい手で、耳全体を覆って温めてください。交感神経優位で手が冷たい人は、洗面器にお湯を張って手が温まるまでつけましょう。耳に当てたときに“気持ちがいい”と感じたら合っているサインです。ただし、めまい発作時に行うと不調が悪化する恐れもあるため、症状が落ち着いているときに、予防として行ってください」

【簡単セルフケア〜動悸】

 

一方の動悸は、更年期+精神的ストレスにより、心臓の不調が出る人に発症しやすくなるといいます。「急な動悸が起こると不安になりますよね。その不安から、リラックス作用の副交感神経の働きがさらに低下するため、より動悸が強くなることもあります」

 

鼓動が強いときには、地震が起きたように周囲が揺れているような感覚になる場合も。そんなときに備えて知っておくといいセルフケアを紹介します。

 

ストレスに効くツボ「内関(ないかん)」を押す

ツボ「内関」の位置

 

↑手首の横ジワからひじに向かって、指3本分(人差し指から薬指の幅)のところ。手をグーに握って力を入れると浮き上がってくる腱のすぐ親指側で圧痛点を探してください

 

指の先で押すとジーンと響くなど、少し痛い場合は正しく探せたサイン。3秒かけて指を沈め、痛気持ちいいところで3秒間持続し、圧をかけ、その後3秒かけてゆっくりと圧を抜いていきましょう。ゆっくりと呼吸をしながら左右3回ほど繰り返してください」

 

記事が続きます

気持ちの乱れを整える「神門(しんもん)」を押す&温める

ツボ「神門」

↑心経(心に属するツボを結んだライン)の中で、神門(しんもん)というツボが手首にあります。場所は、手首の内側、横ジワの上のラインにある小指側の骨(豆状骨)を探してください。その内側の部分を、指圧やお灸で、気持ちがいいと感じる強さで刺激。不安や焦燥感、不眠、混乱、感情が不安定なときに効果が

 

「神門のツボを直接押す際は、3回を目安に。ツボを探すのが難しい人は、手首にアンクルウォーマーをして、全体を温めるのもおすすめです。私自身も、寒い時期には手首にアンクルウォーマーを装着するようにしています」

 

自律神経は、気温や気圧など、外気が急激に変動するときに乱れやすくなります。健康な状態であれば自律神経自体が調整を図ってくれるものの、疲れやストレスが蓄積しているとき、そして更年期の前後でホルモン分泌が変化するときには不調が起こりがちに。

 

「季節の変わり目や寒い時期に、首や手首、足首を温めておき、セルフケアをするなど、準備のできている人が、不調に振り回されないようになります。東洋医学の強みのひとつが、予防医学。季節の変わり目のタイミングでは、鍼灸治療などで内臓の調整をし、自律神経の交感神経と副交感神経がバランスよく働く状態にしておく。それだけで、人生は変わってくると思います

 

【教えてくれたのは】

森田遼介
森田遼介さん
TC鍼灸マッサージ院院長。はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師(国家資格)
公式サイトを見る
Instagram

鍼灸院などに勤めながら、勤務後や休日に個人で訪問治療を行い、予約1年待ちが続いたタイミングで2023年2月に独立、4カ月で予約満杯となる。現在は埼玉・東京エリアの訪問自費治療を中心に活動。人生100年時代をできるだけQOL(生活の質)を落とさない目的の治療が需要として高い。*現在、新規予約は紹介制のみ。近著に「自律神経にいいこと大全100

 

 

イラスト/きくちりえ(Softdesign) 取材・文/井尾淳子

 

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