早めに骨密度検査を受けてみて
第1回で教えていただいた、プレ更年期にホルモン検査を受けることの重要性。
実はもうひとつ、骨密度検査もこの時期に受けておきたいものなのだそうです。
「骨は、いろいろな臓器と関連していて、全身の健康と深く結びついているものですよね。そんな骨が、更年期に入ると例外なく弱くなっていくんです。骨密度の増加・維持にはエストロゲンの分泌がかかわっていることから、女性ホルモンが正常に分泌されているプレ更年期は、まだまだ骨密度を上げる力が残っている時期。ここで“骨貯金”を頑張って、骨を強くしておくことは、更年期以降の大きなアドバンテージとなります。
まずは、早めに骨密度検査を受けて、自分の状態を確認しておくことが大切。本当は、30歳頃までが人生でいちばん骨密度が高い時期なので、その数値を知っておければベスト。それが難しくても、月経が順調なうちに一度受けておくといいでしょう。骨密度は一定期間、維持され、40代以降から下がっていくのが一般的。何もしなければ誰でも必ず下がってしまうのですが、下がる前に対策をすれば、ある程度維持することができるので、その機会を逃さないことがポイントです。
骨密度検査にはいくつかの種類があります。正確に測定するならレントゲンによる検査がベター。検査の結果、YAM値90%未満(正常低値)なら、念のため血液検査で骨代謝マーカーを調べて、骨量減少リスクをチェックしておくといいですね」(吉形玲美先生)
食事を見直し、骨密度を上げる3大栄養素を摂取
“骨貯金”をするためには、具体的に何をしたらいいのでしょうか。
「ひとつは、骨を強くする食事に切り替えること。毎日の食事を見直し、必要な栄養素を効率よく摂取していきましょう。骨密度の向上に貢献する3大栄養素は、カルシウム、ビタミンD、ビタミンKです。カルシウムは骨の材料となるミネラルをつくる栄養素、ビタミンDとKは骨づくりの効率を上げる栄養素。1日の目標摂取量は、カルシウムが600㎎(干しエビ大さじ1程度)、ビタミンDが20㎍(鮭切り身1切れ程度)、ビタミンKが150㎍(ほうれん草1/4束程度)です。

特にビタミンDは不足している方が多いので、気になる場合は、人間ドックの際などにオプション追加をし、25OHビタミンD検査という血液検査で調べてみても。ビタミンDは、30ng/mL以上で正常。それ以下になると、骨折や転倒のリスクが高まります。
具体的な食事としては、魚類や野菜や納豆を含む、和定食のようなメニューが理想的。食事だけで摂取するのが難しい場合は、サプリメントで補うのも手だと思います」
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骨加重がかかる運動にトライ!
もうひとつ、「“骨貯金”のためには運動も大切」と吉形先生。
「骨を強くするのに絶大な効果を発揮するのが、適度な運動。骨は、一定の加重がかかると、その力に耐えられるように骨を作る細胞が働き始めるという性質を持っているんです。つまり、骨のためには骨加重がかかる運動が有効だということ。骨加重がかかる運動といえば、縄跳びやダンス、バレーボールやバスケットボールなど、ジャンプをするようなものが挙げられます。ただし、日頃あまり運動をしていない方が急にこれらのスポーツを始めると、膝や腰を痛める原因に。

そこでおすすめしたいのは、普段の歩き方を少し工夫してみること。骨を強くするためには、かかとで体重をしっかり受け止める歩き方に変えると効果的です。着地するときは、かかとから踏み込むように意識してみてください。歩くのに慣れてきたら、適度なスピードで一定以上の時間をかけて行う、ウォーキングにシフトしていくのもいいですね。人間の歩行スピードは時速約4㎞ですが、これを時速6~7㎞に速めると、立派な有酸素運動に。骨加重のかかる歩き方で、脂肪を燃やす有酸素運動をすれば、骨がさらに強くなるので、一石二鳥と言えるでしょう」
【教えていただいた方】

大学病院で医療の最前線に立ち、女性医療・更年期医療のさまざまな臨床研究にも数多く携わる。女性予防医療を広めたいという思いから、インスタグラムでも発信。更年期、妊活、月経不順など女性の体のホルモンマネジメントが得意。著書に『40代から始めよう! 閉経マネジメント』(講談社)。
取材・文/藤本幸授美 写真/Shutterstock
参考資料/『40代から始めよう! 閉経マネジメント』吉形玲美・著¥1,650/講談社

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