前回のつぶやきでap bank fesの原稿を書いていた頃、実は今年2本目の夏フェス、ロック・イン・ジャパン(ロッキン)に行っていました。
ロック・イン・ジャパン、ひたちなかの思い出
2000年に茨城県の国営ひたち海浜公園でスタートしたこのフェス。最初は大きなステージひとつだけで2日間の開催でした。しかも2日目は台風の影響で大雨。最後2組のアーティストは中止となり、Tシャツもびしょ濡れで寒かったけど、それはそれで忘れられない思い出です。
翌年はステージ2つで金土日の3日間。そこから年々規模が大きくなり、3日間開催×6ステージとなり、2014年からは2週に渡る週末4日間開催に。
ステージの場所も工夫を重ねてキャパシティを増やし、20周年の2019年には5日間開催×7ステージにまでなりました。
16アーティストで約6万人動員の初年度から、なんと250アーティストで約34万人を集める巨大フェスに成長したのです。
ただ4日間開催になったぐらいから、好きなアーティストの出演日がバラけて悲しい・・ということが起こり始めました。
3日間時代は水戸に宿泊して全部行くなんてこともしましたが(2004年と2005年)、さすがに疲れたので、その後は1日か多くて2日。
出発時間は早いのですが、日帰りバスツアーで、行きも帰りも爆睡というパターンが自分的にはベストという結論に達しました。
今はなくなってしまいましたが、こちらは当時のパンフレット。右上の黒いのが2000年のものです。アーティストの直筆ひとことメッセージなども載っていて気に入っています。
奈良美智さんがパンフやTシャツのデザインをした年も!
ひたちなかのロッキンの何が良かったかって、まずは会場の素晴らしさ。
本当に広くてかなり歩くのですが、森があったり湖があったり、自然を満喫できて夏休みを実感できます。もちろん炎天下は暑いけど、木陰も多く、海が近いので風が吹くとかなり涼しい。終演後の花火も良かったです。
7万人キャパのメインステージ後方はゆるやかな斜面になっていて、シートを敷いたまま座って観ることもできました。
アーティストの持ち時間も長めで、年によって違いはあるのですが、2018年に大トリだったサザンオールスターズなんて90分もあって、ほとんどフルステージじゃないかと感激したものです。
フードも充実していて、私は地元茨城の方々が出店している「みなと屋」というエリアが大好き。地ビールの生を飲み比べたり、取れたてのとうもろこしをほおばったり、ハム焼きやら一口アワビやら、産地直送の素材そのものを楽しめるのが最高でした。
2022年以降、開催地は千葉市蘇我スポーツ公園に
ところが、コロナ禍以降、状況は一変。
2020年は中止、2021年は準備を進めていたのに茨城県医師会の要請圧力により直前で中止が決定。
2022年からは会場を千葉市蘇我スポーツ公園に移して開催されることになり、私はBUMPが出演した1日だけ参加しました。
間に7万人が収容できるという向かい合った2つの大きなステージと、奥のエリアで直角に隣り合う2つのステージ。それぞれ交互にライブとセッティングが行われるため、とても効率よくたくさんのライブを観ることができます。
おかげで歩く距離も格段に減ったはずなのに、自分にとって3年ぶりの夏フェスだったせいか、にわか雨に濡れながらCreepy Nutsを頑張って観たせいか(友達は途中で脱落)、かなり疲れてしまいました。
そして2023年。
最初に発表されていたACIDMAN とエレカシに、最終発表でback number とゆずも加わった8月5日にエントリー。(全出演者が決まってから申し込むと、抽選で外れることもあります)。
一度観てみたかったSUPER BEAVERも5日で楽しみだったのですが、ボーカル渋谷さんの喉の不調によりキャンセルに。それでもSUPER BEAVERのTシャツを着た子がいっぱいいて、せつなかったです。
疲れたという去年の記憶と、ap bank fesで鼻を真っ赤に日焼けしたことと、最高気温35度の予報から、今回はくれぐれも無理をしないよう、開演を過ぎた頃に到着。
休憩所として開放されていたフクダ電子アリーナでビールを飲んだり、
移動も極力少なめに。といいつつ
メッセージボードや
映えスポット写真を撮ったりもしました。
日が暮れてからも綺麗でしたよ。
電子チケットで四苦八苦
会場が千葉になってから大きく変わったのが、電子チケットの導入です。
入場は、なんと顔認証。
そして先行抽選受付でチケットを購入した人は、立ち位置が指定されたステージ前方入れ替えエリアの抽選に申し込むことができます。
このシステム、大賛成! 場所取り問題がなくなり、抽選に外れたら諦めがつきますからね。(と思ったら、去年のKing Gnuでは「快適な前方エリアの柵の後ろは、押し合いで地獄だった」と友達が言ってました・・)
無事にACIDMANとエレカシの前方エリアに当選し、めちゃくちゃ喜んでいたのですが、問題発生。人が多くて肝心な時に電波が繋がらなくなってしまったのです。
「繋がりにくいのでFree Wi-Fiエリアで画面を開いてから来るように」なんて書いてあったので、Wi-Fiエリアまでわざわざ戻って頑張ったのですが、やはり繋がらず・・。
ACIDMANの開演時間が近づいたので、とりあえず前方エリアの入場口へ。係の人に当選メールを見せ、「4列目か5列目の5番だったと思うのですが」と訴えたところで許されるはずもなく、名前と電話番号で照会されることに。
待っている間に登場SEも終わり、1曲目、大好きな『造花が笑う』が始まってしまいました・・(泣)。
どうして当選したチケットの席番号をスクショしておかなかったのか! 激しく後悔し、学んだのでした。
エレカシのときには、最初から繋げることはあきらめて、照会される前提で早めに入場口に行き、間に合うことができました。
ロッキン最多出演のエレカシ宮本さん
デビュー当時からロッキング・オン・ジャパンに愛されているエレカシは、宮本さんが耳の病気で活動休止していた2013年を除き、初年度からずっとロッキンに出演しています。(宮本浩次ソロでの出演も含む)。
2005年には、ロッキンの音源を集めたライブアルバム『日本 夏』と、やはり恒例の日比谷野音での音源を集めたライブアルバム『野音 秋』を会場限定で売っていて、もちろん買って帰りましたよ。
16時20分、『今宵の月のように』でスタートしたエレカシ。
『悲しみの果て』もあり『俺たちの明日』で終わる、いかにもフェス向けのセットリストの中にも、ニヤリとしてしまうシーンがありました。
「かわいくて爽やかなバラードを君たちに贈ります」というMCからの『珍奇男』。
アコースティックギターで語るように始まり、途中でエレキギターに持ち替えて鬼気迫るロックへと変化するこの曲。かわいさも爽やかさも、ひとかけらもありません。
ファンの間ではド定番の曲ながら、初めて観る若い人はさぞや驚いたのでは?
エレカシ35周年の新曲『yes.I.do』の後に歌われた『ガストロンジャー』も攻撃的な曲だけど(大好きです!)、この日のインパクトは『珍奇男』かも。全8曲、怒涛のように過ぎ去った40分でした。
こちらはエレカシ終了後の前方入れ替えエリア。立ち位置がきちんと決められていて、ここだけで2500人入るそう。
いよいよ、ゆずのステージへ!
向かいのステージでsumikaが演奏したあと、17時55分、エレカシと同じステージでゆずがスタート。ゆずと最後のback numberは持ち時間60分です。
私はゆずのデビューシングル『夏色』のPVのかわいさにやられて、ノンノで何度か取材。2001年に2人きりでやった初の東京ドーム公演にも行きました。
OurAgeのインタビューで、16年ぶりぐらいに北川君に会えたのですが、本当に変わらず性格がよくて感激! 2019年の東京ドーム公演では三世代で来ている家族とか、客層の幅の広さに驚いたものです。
2人が登場する前に「ラジオ体操第一~」の懐かしい声。そうだった、そうだった。ゆずのライブはラジオ体操から始まるんだった。野外でのラジオ体操、かなり気持ちよかったです。
体がほぐれ、心拍数も上がったところでゆずが登場し、一曲目は『虹』。「越え~て~、越え~て~、越え~て~」の伸びやかなハーモニーで、ゆずらしさ全開。
「ゆずのライブ、初めての人~」という北川君の問いかけにたくさんの手が挙がり、これがフェスの良さでもありますね。
『少年』『公私混同』『サヨナラバス』のあとは、東日本大震災をきっかけに作られ、NHK合唱コンクールの課題曲となった『友 ~旅立ちの時~』をじっくりと。
MCでは北川君の声が最初からかなりかすれていて心配になるぐらいだったのですが、歌声は美しく、さすがプロという感じ。
後半の盛り上げ曲『タッタ』には、ダンスの振り付けがあるようで、私の前にいた2人組の男子が、完璧に踊っていてびっくり。だって、着てるTシャツは緑黄色社会とback numberだったんですよ! Tik Tok世代、恐るべし。
続いて『RAKUEN』そして『夏色』。
『夏色』が一度終わってからの「もう一回、もう一回」コール。お約束だけど、やっぱり楽しいですね。
会場の熱気が最高潮に達して、これで終わりかと思いきや『栄光の架橋』でトドメを刺すという・・。(正直、『友』を歌ったときに、あぁ今日は『栄光の架橋』はやらないのかなと思っていました)。
初めての観客も絶対に楽しませようと全力で盛り上げ、オリンピックを背負った大ヒット曲があり、笑わせて感動させる前向きなエンターテイナー。ゆずの国民的アーティストっぷりに、つくづく感心したライブでした。
さて、来年2024年はロックインジャパン25周年を記念して、8月に千葉で5日間、9月にひたちなかで5日間、計10日間行われるとのこと。
ひたちなかは初年度の1ステージ制に戻るようですが、どんなアーティストの組み合わせになるのか。暑さと台風も心配だし、またうれしくも悩ましい夏になりそうです。