私が3公演分のチケットを手に入れるまで
2023年9月16日(土)長野ビッグハットから、2024年1月20日(土)有明アリーナまで全国10か所20公演行われた浜田省吾さんのライブツアー『SHOGO HAMADA ON THE ROAD 2023 Welcome back to The Rock Show youth in the “JUKEBOX”』が終了しました。2016年以来、7年ぶりのアリーナツアーです。
高校2年生の時にラジオがきっかけで浜田さんの音楽に出会い、ライブに衝撃を受け、なんなら今こうして編集の仕事をしているのも浜田さんに会いたかったから・・という話を、以前こちらのブログでも書きました。
2022年のホールツアーではチケット販売に出遅れてしまった教訓を生かし、今回は情報をマメにチェック。公式ツアーサイトにいち早く登録し、LINE公式アカウントの先行販売で、まずは10月1日(日)の札幌公演が当選!
函館に引っ越した友人もチケットを取ったというので、「久しぶりに会えるね」と喜んでいたのですが、MyAgeの表紙撮影と重なり、泣く泣く公式トレードに出品することに。
翌日すぐに取引が成立し、「やっぱりみんな、手ぐすねひいて待ってるのね」と、あらためて浜田さんの人気を思い知りました。
その後、一般一次販売は全落ちし、二次販売で1月5日(金)さいたまスーパーアリーナのA席をゲット。さらに公式トレードで11月12日(日)横浜アリーナのA席が取れたのですが、S席が当たらない・・。
「あぁ、札幌はS席だったのに。しかも早めに当たったから、いい席だったかも」と残念に思っていたら、なんと公演日の前日に1月6日(土)さいたまスーパーアリーナのS席が当選しました!
(トレードは一度申し込むと、公演日当日まで毎朝11時に抽選が繰り返されるシステム。名古屋なら当日でも行こうと思っていましたが、さすがに広島は前日に申し込みをキャンセルしました)
申込み履歴一覧を見たら、各地のトレードも含め、17回応募していたようです。我ながらすごい執念。ちょっと怖い。
・・というわけで、行ってきました、アリーナライブ。写真とセットリストは1月6日(土)さいたまスーパーアリーナのものです。
3時間越えのライブの内容は?
ビートルズやボブ・ディラン、スティービー・ワンダーなど浜田さんの好きな楽曲が詰まったジュークボックスに少年がコインを入れ、流れてきたのは・・というストーリー仕立てのオープニング映像が終わり、メンバー登場。
ほのぼのとした空気をガラッと変えて1曲目に演奏されたのは、激しいギターリフで始まるメッセージソング『愛の世代の前に』。バックの巨大スクリーンには、反戦の想いが込められたピカソの『ゲルニカ』が映し出されていました。
続いて1stアルバムから『壁にむかって』、ライブの定番曲『HELLO ROCK & ROLL CITY』と、会場を一気にヒートアップさせたまま『BIG BOY BLUES』へ。
相変わらず・・どころか、さらに力強く疾走感あふれるロックを鳴らす71歳。本当にカッコイイ。
浜田さんと同い年で、デビュー前からずっと一緒の盟友・町支寛二さん(ギター&ボーカル)、浜田さんがライブツアーを『ON THE ROAD』と名付けた1982年から参加しているサックスの古村敏比古さんをはじめ、総勢12人のバンドメンバーによる分厚い音とともに、グイグイと引っ張っていきます。
最初のMCのあとは、アコースティックギターを手にフォーキーなカバー曲『いつかもうすぐ』(歌詞は浜田さんのオリジナルで、原曲とは全く違うそうです)。
「書類に職業を記入するとき、僕はソングライターと書きます。人がうまく伝えられない思いを手紙にする、代筆のようなことをしているんだろうなって」
曲の背景が語られると、『もうひとつの土曜日』の美しいピアノのイントロが始まりました。(大学時代、このイントロを留守番電話の応答メッセージに入れていた私)。片想い系バラードの名曲です。
懐かしい『愛しい人へ』でバラードコーナーが終わると、一転してエレクトリカルな音とめくるめく照明で『DANCE』が始まり、再び観客は総立ちに。
さらにたたみかけるように、1980年に発表された『東京』、1984年の『MONEY』と、激しいメッセージソングが続きます。
「高速道路の下で生まれて 地下鉄の上で死んでゆく」と歌われた『東京』の息苦しさや、「Money makes me(him、her) crazy」と歌われた『Money』の世界は、40年以上経ってますますリアリティを増しているようにすら感じます。
ステージには火柱が立ち、会場の熱気も頂点を迎えたところで第1部終了。ここまで約1時間。
20分間の休憩時間中も、『プリーズ・ミスター・ポストマン』や『ツイスト・アンド・シャウト』など、往年の洋楽の名曲をバンドのメンバーと楽しそうにセッションする映像が流れ、サービス満点。
そして第2部は12年ぶりのセンターステージから。
MCも多く、より親密な雰囲気でたっぷり6曲を披露し、アリーナ後方の人も、さぞや嬉しかろう・・といった演出です。
ちなみに私の席運ですが、A席だった横浜アリーナはスタンド最後列、さいたまスーパーアリーナ初日はスタンド400レベル(4階)。
「ついにS席が!」と勇んで行った2日目はスタンド200レベルで、結局アリーナ席には届かず。センターステージは距離も近いので、周りにいる人たちが本当にうらやましかったです。
もちろんスタンド席も全体が見渡せていいんですけどね。
センターステージ恒例の「年齢調査」もありました。
「もうやめてくれという声もあるんだけど(笑)、やり続けるって言っちゃったから」ということで、まずは「10歳未満!」
「は~い」と手を挙げるお客さんをカメラマンが捉え、スクリーンに映し出された、お父さんに抱きかかえられたちびっ子やシャイな小学生に客席から暖かい拍手が贈られます。
昔は非常に少数派だった10代、20代に対して「学校で友達と話が合わないんじゃない?」などと自虐コメントをしていた浜田さんですが、今回のツアーでは明らかに多くなっていました。
きっと親の影響で聴き始めた・・という世代なのでしょう。今も若いファンが増え続けているのは嬉しいことですね。
30代、40代が多数派だった時代から、今や圧倒的なボリュームゾーンは50代。私も思い切り手を挙げましたよ。
バンドメンバーと同世代の60代、そして浜田さん、町支さんと同じ70代、80代の方も元気に手を挙げ、会場から「お~」という声とともに拍手~!
年齢の話から、ノスタルジックな『19のままさ』が歌われ、『ラストショー』の印象的なイントロが始まると、観客は「さ~よな~ら~」と両手をワイパーのように振りながらの大合唱。そして浜田さんがメンバー紹介をすると、一人ずつメインステージに戻っていきました。
さていよいよライブも終盤戦。またもやガラリと雰囲気を変えて『ON THE ROAD』『J.BOY』『明日なき世代』と、シリアスで力強いロックナンバーが続きます。私的には大好きな曲3連チャンで、マジやばい。
出し惜しみなく全部歌ってくれて本当にありがとう!
「まだまだしばらくはソングライターの旅を続けて行こうと思っています」という浜田さんの言葉に大きな大きな拍手と声援。
そして本編最後の曲は、優しくもせつないピアノのイントロで始まる『家路』でした。
「手に入れた形あるもの やがて失うのに 人はそれを夢と名付け 迷いの中さまよう」
そんな悲しみと孤独を背負いながら、「どんなに遠くても たどり着いてみせる」という決意で終わる壮大な名曲は、何度聴いても感動・・。
ミスチルの桜井さんが、2005年のap bank fesでこの曲を浜田さんと一緒に歌い、次に一人で歌った『HERO』で感極まって涙した(浜田さんが桜井さんにとってのHEROだったから)というエピソードも思い出されます。
ずっしりとした余韻を残したあとのアンコールでは、バラードナンバー『SWEET LITTLE DARLIN’』からの、ロックンロールメドレー。
17歳の私や22歳の俺を主人公とした3曲を続けて歌いながら動き回る浜田さんに、「まだそんなに体力が残っているんですか⁉」と驚かずにはいられません。
興奮したままでは終われないという、鳴りやまない拍手に迎えられてのダブルアンコール。
「気づいた人もいるかもしれないけど」と、実は今回のセットリストは1976年のデビューアルバム『生まれたところを遠く離れて』から1986年の『J.BOY』まで、10年の間に作られた曲だけで構成されていることが明かされます。
私も含め、観客の大半を占める50代ぐらいが10代、20代の頃に最も聴いていたであろう曲たち。まさに青春のジュークボックス(=今でいうプレイリスト)というのが、今回のツアーのテーマだったんですね。
本当に胸アツ。高校・大学時代の自分がよみがえります。
でもただ懐かしいだけではなく、むしろ若い頃よりも豊かで包容力を増した浜田さんの歌声に青春が上書きされました。
「今の10代、20代にも届いていたらうれしいです」という本人の言葉通り、こうして音楽は聴き継がれていくのだなぁと思います。
そして最後。1988年に静岡・渚園に5万5000人を集めた野外ライブ『A PLACE IN THE SUN』の映像をバックに歌われたのが『君が人生の時…』。
誰もが自分の人生に思いをはせたことでしょう。
ライブが終わって会場を出るとき、私の後ろにいた男性2人が「『家路』や『君が人生の時…』は、この年になって聴くとより沁みるね」と話していて、心の中で「うんうん」と激しく同意しておりました。
思えば、これらの曲を書いた浜田さんは24~34歳。若い頃から確立されていた社会への目線や人生観、そして「ソングライター」としての才能には、あらためて感動します。
と同時に、私にとっては、やっぱり圧倒的なライブパフォーマンスを見せてくれる「シンガー」でもあるので、これからもずっとステージに立ち続けてほしいと強く願ったのでした。