好きなアーティストが揃い踏み!
両国国技館で行われるアコースティックな音楽フェス『トーキョーギタージャンボリー』。
土俵に見立てたセンターステージで、さまざまなアーティストがギター1本の弾き語りを披露します。
ロックバンド好きな私ですが、ストレートに歌の力が感じられる弾き語りも大好き。
秋田、富山、京都などでも観たことのある竹原ピストルさんと、やはり郡山、金沢、福岡と遠征するほど好きなスガシカオさんが同じ日(3月2日)に出演すると知って、かなり心惹かれてはおりました。
が、一人当たりの時間が30分程度と短めなのと、実は昔々、両国国技館で中島みゆきさんを観たときに(調べたら1985年のことでした!)、靴を脱いで座る4人1組のマス席がちょっとしんどかったという思い出があり・・。
J-WAVEの主催だけあって、後日ライブ音源をオンエアする特番もあるので、まぁそれでもいいかなんて思っていたところ、ACIDMAN大木伸夫さんの出演が追加発表され、「これはもう絶対行く!」と即決。
我ながらどれだけ大木さんが好きなのかと思いつつ(笑)、チケットサイトを見ると砂かぶり席(土俵脇の、いわゆるアリーナ席)もギリギリ買うことができて一気にテンションが上がりました。
というわけで、行ってきました両国国技館。後ろにスカイツリーも見えます。
大相撲のように立てられた「のぼり旗」もいい感じ。
名前が切れてしまいましたが、第一回幹事は奥田民生さんです。
もともとは2013年にJ-WAVE開局25周年を記念して開かれた1日限りのイベントだったのが、好評につき今年(2024年)で9回目。初日と千穐楽(せんしゅうらく)の2日開催になったのは2019年からのようです。
国技館のいろんな座席から見え方をチェック
「音楽花見」というキャッチフレーズに合わせて、エントランスはピンクに染まっていました。
こちらは私の席から見た会場風景。正面、向正面(むこうじょうめん)、東、西の各向きから観客がステージを取り囲みます。しかもこのセンターステージ、人力で回転させることができるのです!
早めに入場したので、会場内を探索してみると。
売店には「大相撲決まり手」のイラストが貼ってあったり、地下の大広間では「ちゃんこ」の販売などもしていました。
マス席(約120cm×130cm)は座布団で大人2名推奨、最大4名までということで、家族連れの姿も。開演中のお酒も食事もOKという、まさにお花見のようなゆる~い空気の中、常連とおぼしきシニア層も大勢いました。
私も記念にワンカップ大関を購入しましたが、さすがに日本酒を飲みながらのライブ鑑賞は自粛しました。
こちらは2階席から見たようす。ステージ、狭っ!
最初、土俵の上にステージを組んでいるのかと思って「意外に小さい?」なんて勘違いしていたのですが、ハイテクな現代の両国国技館、土俵は地下に格納できるように作られているのだとか。
吊り屋根の形は伊勢神宮と同じ「神明造り」で、6.25トンもの重さをワイヤーで吊り下げ、位置の調整もできるそうです。
大相撲っぽい演出に気分も上がります
13時50分からのオープニングアクトに続き、14時開演。MCのクリス・ペプラーさんが登場し、スガシカオさんの鏡割りでイベントはスタートしました。
アーティストの入退場も大相撲さながら。本物の呼出(よびだし)が、あの「ひが~し~、〇〇〇〇~」「に~し~、〇〇〇〇~」といった調子で名前を呼ぶと、アーティストは花道(客席の間)を歩いてステージへ。
スポンサー名などが書かれた懸賞幕を持つ人達もステージに上がって一周するという、大相撲でよく見かける光景が繰り広げられます。
上野大樹さん、Kenta Dedachiさん(スペシャルゲストのLiLicoさんが黒いドレスで1曲熱唱)、竹内アンナさんの次に登場したのはBRAHUMAN/OAUのTOSHI-LOWさん。
なんと一升瓶を片手に現れ、「(去年も出たけど、観客が)酔っ払いばっかで、飲まなきゃやってらんない」と、湯飲み茶わんに酒をついでグイッと一杯。
そして加藤登紀子さんがらみの話の後に歌った1曲目が、あの有名なCMソング『酒は大関』。ちゃんと5番まで歌詞があって、しみじみといい歌でした。(作詞作曲は加藤さんではなく小林亜星さんだったんですね)
「鬼」の異名を持つTOSHI-LOWさん、言葉は荒いけどめちゃくちゃ真っすぐで面白く、弾き語りは力づくで感動させてくれるようなところがあります。(ちなみに妻はモデル・俳優の、りょうさんです。なんてカッコいいカップルなんでしょう)
『酒は大関』のあとは、怒髪天『杉並浮浪雲』のカバー、ブラフマンの『今夜』、阪神淡路大震災に寄り添う名曲、ソウル・フラワー・ユニオン『満月の夕(ゆうべ)』のカバー、アコースティックバンドOAUの『帰り道』(『きのう何食べた?』シーズン1の主題歌。大好きです!)というセットリスト。弾き語りはカバーも自由に演奏しやすいのがいいですね。
弾き語りといえば、やっぱり竹原ピストル!
オシャレ系のアコースティックユニット、大橋トリオ&THE CHARM PARKをはさんで、再び熱い系の弾き語り、竹原ピストルさんが登場。
トーキョーギタージャンボリーは8回目という最多出演記録を持つだけあって、弾き語りといえば・・の場慣れ感がハンパない。
ビートたけしさんの『浅草キッド』のカバーや、日本語詞をつけた『Amazing Grace』で観客をじ~んとさせたかと思うと、紅白でも歌った『よー、そこの若いの』では、サビを観客に歌わせようと「カモン!」と煽ってみたり。
しかも「つい興奮して、『カモン!』なんて普段使わない言葉を初めて言ってしまいました」と、素に戻ったMCで笑わせたりもして。
さらに自身が出演するCMになぞらえて「『俺たちまだまだ、ビッグマックなんてペロリだよ』という気持ちで歌います」からの『Forever Young』、素晴らしかったです。
最後の朗読も含め、最多の9曲を披露した後、本来なら登場した花道の真っすぐ反対側に向かうべきところ、1曲ごとにステージを回転させていたせいか興奮のせいか、退場口を間違えて帰っていった姿も、なかなかキュートでした(笑)。
顔も衣装も歌声も、トータス松本は男前でした
音楽花見にふさわしい『桜』のヒット曲を持つ河口恭吾さんのあと、トータス松本さんは長い髪を後ろでひとつに結わえ、着物姿で登場。(朝ドラ『おちょやん』のダメな父親を思い出したのは私だけではないはず。笑)
ステージ上で羽織を脱ぐと、トロピカルムード漂う鮮やかな花柄の長襦袢。裾をたくし上げ、黒いパンツと赤いスニーカーを合わせるスタイルに、まずは目を奪われました。
こんな衣装が似合うのって、ほかには忌野清志郎さんぐらいしか思いつきません・・。
後日放送されたラジオ特番で「ギタージャンボリーは着物で出たいと思っていたところ、新幹線の車内雑誌の広告で見たこの柄に一目惚れした」と話していました。CHISO(千總)という京都の老舗友禅ブランドのモダンなメンズラインのようです。
そして1曲目はキャンディーズの『春一番』。これは盛り上がらないわけがない。つかみはOKってやつですね。
しっとり系の失恋ソング『いいたい事はそれだけ』のあとはサビが印象的な『笑えれば』と『サムライソウル』で、伸びのある歌声に聴き惚れます。地声が大きいというか、歌を際立たせるためのギターというか、とにかく歌声が力強い。
次の曲だけ「知らないかも?」と思って後で調べたら、2007年のベストアルバムにボーナストラックとして収録された『相愛』という曲だったようです。
大阪弁のMCは面白くてフレンドリーで、客席のあちらこちらから「ガッツくださ~い」なんて掛け声も。「昔は街中で『ガッツだぜの人ですよね?』と言われると無視してた」という話をしつつ、「も~、しゃーないな~」と、一度首にかけたハーモニカホルダーを外し、予定していた曲を変更して『ガッツだぜ‼』を披露。そんなハプニング感も含めて、観客大喜び!
「なんやこれ、一番盛り上がってるやないか! 予定が狂ったのであと一曲だけやって帰ります」と、最後は『バンザイ~好きでよかった~』でさらに盛り上げて終了。
本当に「華がある」って、トータスさんみたいな人のことを言うんだなぁと改めて感じた30分でした。
焼け野原に咲いた一輪の花
この大盛り上がりの余韻の中、30分の休憩を挟んで登場した大木さんはギタージャンボリー初出演。
「今回の話をいただいたのが本当に3週間前ぐらいのことで。ふたを開けてみたらトータスさんとスガさんの間。どうなんだ? トータスさんの後なんて焼け野原ですよ」とひと笑いさせたあと、「でも『焼け野原のあとに咲く花だってあるんだよ』の思いでやらせてもらいます」
そんな挨拶に続いて、『FREE STAR』『赤橙』『愛を両手に』『ALMA』『Your Song』と、しっとりめにアレンジした曲を座って演奏し、まさに一輪の花を咲かせていましたよ。
最後にスガシカオさんが『フォノスコープ』『黄金の月』(大好き!)、お母さんのことを歌った『ヤグルトさんの唄』、言わずと知れたNHK『プロフェッショナル』主題歌の『Progress』、『19才』『宇宙』と多彩な曲で安定のトリを務め、20時半頃ライブは終了したのでした。