ワイヤーはバストの防波堤。脂肪流れを防いでくれる
子どもバストから成長して大人バストが整い、ブラジャーの力を借りなくてもまん丸としたハリのあるおっぱいは、なんと19歳頃がピーク。そこから徐々に老化し始めるので、放っておけば40代、50代ではバストが両サイドに流れて下垂するのは自然の摂理。
「前回もお話ししましたが、バストは底辺の円周、バージスラインと呼ばれる場所から年齢とともに脂肪がついてくずれやすくなります。また、バストの形を横から見ると、バストトップを中心にして上下の長さが同じくらいだった20代前半頃に比べると、50代のバストトップの位置は下がります。そのためバストの上の距離は長く、下の距離は上の距離と比べると短くなっていきます」(湯浅さん)
さらに肉質が柔らかくなる更年期世代は、補整機能のあるブラジャーの支えがなければ脂肪は下へと流れていくばかり…。
「そこで更年期バストの美しい円周を保つための強い味方になってくれるのが、ブラジャーのワイヤーです。ワイヤーは肉質が柔らかくなって起こるバスト流れの防波堤として活躍してくれます」
ワイヤーは長時間つけても心地よく、バストラインを美しく保つものを!
「ブラジャーのワイヤーは硬い、痛いという思い込みを捨てましょう! バージスラインを守りながら体に優しくフィットして、ワイヤーの存在を忘れてしまうようなブラジャーがたくさんあります。
ワイヤーが苦手な方のなかには、ワイヤーの形が自分のバストに合っていなかった可能性もあります。年齢とともにバストの輪郭が曖昧になり、肉質も柔らかくなるので、実際のバストに合わないワイヤーのブラジャーをすると痛みを伴うことも。ですから、ワイヤーが痛いから避けている場合は、ブラジャーを選ぶときにワイヤーが柔軟で、幅の合うものを選べば痛みは改善される可能性があります。それ以上に、現在のワイヤーブラの進化は著しいので、ワイヤーが苦手な方もぜひ一度試着をしてください。きっと、ワイヤー=キツい、不快という考えが変わりますよ」
湯浅さんおすすめの、進化したワイヤー付きブラジャーを紹介します。
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*ここでは湯浅さんが私物を使用して、わかりやすいようにブラジャーを折ったり伸ばしたりしています。でも、ブラジャーはデリケートなアイテムなのでこのような使い方はせず、やさしく扱いましょう。
まるでノンワイヤーみたいに変貌自在のコンフォートワイヤー
「ブラジャーの底辺をつかむと、こんなにしなやかにワイヤーがしなります。ワイヤーの大切な役割のひとつは、体の動きに合わせて3次元に角度や開閉幅を変えながらバストを支えてくれること。柔軟なワイヤーなら痛みや違和感を覚えずにバストの形を美しく保ってくれます。
このブラジャーは私がおすすめして一度試着すると、ほとんどの方が購入する名品。ワイヤーが苦手と言っていた方も、あまりのつけ心地のラクさに驚きます」
↑トリンプ 秘めわざブラジャー¥7,150~(写真/湯浅さん私物)
ワイヤーが気になる人は外づけワイヤーをチョイス
「50代になってから私も日によってワイヤー部分にあとがついたり、かゆくなることがあります。
肉質が柔らかくなると同時に、肌もデリケートになる世代ですから、特に肌へのあたりが気になる場合は肌側ではなく、外側にワイヤーがついたタイプのブラジャーを選ぶのも得策です」
↑ワイヤーは表側に外づけされ、内側は綿混素材のソフトな布で覆われてワイヤーの肌あたりをやわらげている
↑ BFA311 フルカップブラ ¥7,480~/ワコール
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フロントの食い込みを防ぐ、反ったワイヤー
「ワイヤーがバストとバストの間に食い込んで痛いから苦手という方には、ワイヤーを外側に反らせて食い込みを防いでくれるニューエンジェルワイヤーを採用したブラジャーを。フロント部分のワイヤーを薄くフラットにしたうえで外側に反らせることで、胸への食い込みを防いでくれます」
↑ワイヤーの先端だけを外側に反らせることで、食い込みを予防。天使のブラ ¥6,600~/トリンプ
体温に反応して伸縮するフロント部分がバストに合わせてフィットする!
「ワイヤー部分に痛みを感じる人におすすめなのが、体温によって伸縮する樹脂シートをフロントに仕掛けたマッチミーブラ。バストに左右差があったり、ずれたりする人も、これならぴったりフィットしやすいと好評です」
【Before】

【After】
↑「ほんの数十秒ほど体温でフロント下部の樹脂シートを温めただけで、フロント部分が変化したことがわかります。実際に着用すると体温に反応したフロント部分がバストに合わせて伸縮し、フィットすることが体感できました」
↑「カラーによってAAからそろえられる幅広いサイズ展開もうれしい」。ウイング マッチミーブラ ¥3,960~(写真/湯浅さん私物)
【POINT】

「ブランドごとにワイヤーへのこだわりがいろいろあります。同じメーカーの同じサイズのブラジャーでもワイヤー部分の仕掛けが異なります。
ワイヤーの進化によってつけ心地よく、バストの形を美しく整えてくれるワイヤーブラがあふれる時代になりました。
ブラジャーのパーツの中でもワイヤーのミッションは要。まん丸バストをかなえるためにも、ワイヤーブラを見直してみてはいかがでしょうか?」
【教えてくれたのは】

アナウンサーとして活動するかたわら、インナー業界人でも難関という下着とボディメイク のプロ資格 NBFインティメイトアドバイザーを取得。正しい下着選びと個性を引き出す的確なアドバイスは定評があり、「一生、旬」をモットーに多くの女性たちをスタイル美人に導く。自身も更年期世代であるが、下着と丁寧に向き合うことでハッピーにエイジングを重ねている。YouTubeチャンネル「下着美容研究家 湯浅美和子チャンネルの綺麗を更新」も好評。
イラスト資料『Beauty Body Protocol 大人のための下着の教科書』(湯浅美和子著/ブックマン社)より
撮影/藤澤由加 イラスト/二階堂ちはる 取材・文/山本美和