バスケットタイプのお裁縫箱は、昭和の実家の象徴だった!?
このバスケットタイプの箱、昭和生まれの方なら見覚えがありますよね?
お裁縫箱です。
私が子供の頃から家にあったので、軽く50年以上、もしかしたら60年以上母が使っていました。
89歳の母は、もうお裁縫をしないけれど、私と妹が母のところでちょっとボタン付けをしたりするのに必要なので、整理して小さい缶にまとめることに。
仕分け中に、母の介護ヘルパーさんが新人さんを連れて来訪。ベテランヘルパーさんが、このかごを見て新人さんに質問します。
「このかご、何を入れていたかわかる?」
新人さんは年の頃20代半ば。「え~?」としばらく考えていましたが、結局想像つかず。
「お裁縫道具よ。昭和の頃はどこの家にもこういうお裁縫箱があったのよ。実家には、もうなかった?」
「そういえば、祖母の家にあったかもしれない…でも中身は知りませんでした~」
その時はじめて、平成生まれはバスケットタイプのお裁縫箱の存在を知らないのか、と気づき、とりあえず記録写真を撮っておきましたよ。
ただそのすぐ後、深夜のトーク番組で私は目撃したのです!
芸人さんがタレントさんを自宅に招く設定なのですが、その家が実家のお茶の間風のセット。なんと後ろの棚にこれにそっくりなお裁縫箱が置かれていたんですよ。令和でも、実家のお茶の間にはこのお裁縫箱は残り続けている、というか、実家のお茶の間の象徴的存在(?)かもしれないことがわかりましたよ。
さて、母のお裁縫箱のふたには、赤い屋根のおうちと木立というのどかな風景が刺繍されています。
これが昭和の憧れの暮らしだったのでしょうか…まあ、今もそんなに変わりないかも? 刺繍は50年以上使っても、いっさい傷んでいないのがすごい。
サイド面はライン柄を編み込んだバスケット。本体サイズは高さ23cm×幅32cm×奥行24cm
そういえば、脚を見たのは今回が初めてです。
脚は木製で高さ4cmと意外に高かった! しまう時にぶつかりやすいのかペイントが少しはげていますね。
実はふたは何十年も前に蝶番(ちょうつがい)が壊れて、はずれてしまっていましたが、上に載せているだけなのでさしたる問題はなし。
(写真右上)ふたの裏側は針が刺さっても大丈夫なクッション地。
(写真右下)開けると小物仕切りトレーがあり、ここに針山とよく使う糸、裁ちばさみなどが乗っていました。
(写真左下)トレーをはずすと大きな空間。さまざまな色の糸やボビン、針の買い置きなどの必需品、ゴム通し針や、何に使うのか不明の便利グッズ、スナップボタン、服から取れてしまったボタンなども詰め込まれていましたよ。
さて、その大きな空間から玉手箱のように出てきたのが昭和の糸たちです。
昭和の糸巻きのデザインはエモかった…
ミシン糸の糸こまが木製で、今より頭が大きくてちょっとかわいい。見覚えのあるものと、今回が初対面と思われるものも。
天地のマークのデザインも小さな面積の中に品格を感じさせます。
こちらは手縫い糸。
手前3つの赤い紙芯に描かれているのは富士山と鳩。私は覚えていなかったのですが、富士鳩というメーカーの絹糸のようです。
そして、今も続くダルマ印。糸が少なくなった紙芯をよくよく見たら、五重の塔を眺める舞子さんらしき女性が描かれていましたよ。
右上に「京美糸」とあるので、京都製造か、京都をイメージしたブランドでしょうか。それにしても、売っているときにも使っているときにも見えず、ほぼ使い終わるころにやっと出てくる優雅なイラスト、この存在自体が尊く、エモいですね~。昭和のこだわりを感じます。
ちなみに「エジ(プ)ト綿」ではなく(フ)に点々、「エジブト棉」となっていますね。「棉」の字は、常用漢字にはなく、植物のワタを指す字だそうです。
さて、必要最小限のものを残し、私や妹が自宅で使えそうな道具や素材はもらって、コンパクトにまとめた裁縫箱。結局1箱に入りきらず2箱に。
左の泉屋のクッキーの缶(これも懐かしい)は、昭和時代からゴム紐入れにしていたもの。右はたぶん10年ほど前にベルギー土産でいただいたクッキーの缶。私の家の納戸で発見しました…親に似てものを捨てられない性格です、とほほ。
いっしょに妹の名前が刺繍された、お弁当を包むクロスも出てきましたよ。
そういえば、小学校4年生頃までは妹とお揃いのスモック刺繍のワンピースやら、かるた大会用(群馬県民には重要な上毛かるた大会です)の、いかしたパンタロン(動きやすくて、チクチクしないように裏地をつけて、と要望が多かった!?)など、いろいろ作ってもらったものです…。あの当時の母の娘たちに対する手のかけ方、今になってしみじみ感謝です。
さて、今回の「定年女子あるある(かもしれない)川柳」は、感謝を込めて。
玉手箱 開けてあふれる 母の愛
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