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リノベ中の「仮住まい」物件探しは甘くない!? 知っておきたい落とし穴と費用感/定年女子の体験記(前編)

マドレーヌ

マドレーヌ

定年女子。主に雑誌「LEE」、サイト「OurAge」などで38年間、会社員編集者を続け2021年春に定年。現在はサイト「OurAge」で週3ワーク中。冷え性で365日ソックス着用。アイスクリームは25年以上食べていません。趣味はガーデニング、サッカー観戦、筋膜リリース、コロナ禍にはじめたジョギング。若い頃はパリかぶれで、ペンネームはフランスの絵本の主人公から。

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再雇用で週3ワーク中の定年女子編集者が、夫婦で22年間住んだマンションをリノベーション。それにともない工事期間の50日間、家を空けねばならない状況に。そもそもリノベって住んだままできないの? 仮住まいする物件の探し方は? スケジュール感や費用感は? 次々にぶつかる問題と気を付けたい落し穴をお伝えします。

【仮住まいをする理由】家のリノベは「住みながら?」それとも「家を空けて仮住まいする?」問題

昨年、22年間夫婦で住んできだマンションをリノベしました。長年の憧れだった「壁を漆喰にする」ことを中心に、こまごまとした修繕・機器交換などを交えて、約50日間の作業工程が組まれました。

 

その際、リノベ会社の担当者から「どうしても住んだままやってほしいという家庭もあるが、おすすめしない」と言い渡されました。住んだままだと、音や埃、職人さんの出入りなどで落ち着かない、毎日家具の移動や片付けも必要で、作業効率が悪く工事期間がその分延長されるとのこと。

 

ということで、22年ぶりの引っ越しは面倒だなあ、と思いつつも観念して、家を空けて仮住まいすることにしました。

 

そのことを人に話すと、ひとりを除く全員が「それって、住んだままできないの?」と反応。残りの一人は、実際に住んだままリノベをした人。彼女からは、リノベ期間のつらさを切々と聞かされました。

はい、結果から言って家を空けてよかったと実感しています。
リノベ中のリビング

リノベ中の50日間に、6度自宅に戻る機会がありました。
家の中は、住んでいるときとは様相が一変。どこもかしこも養生シートで覆われ、あちこちのドアが開閉困難な状態に。聞いていたとおり埃っぽく、資材や作業道具があふれ、移動にも注意が必要です。日によっては電動ドリルの音がうるさい場合も。またガスレンジや換気扇、トイレの交換などにより、それらが使えない日も。どう考えても日常生活を送れそうにありませんでした。もし私たちががずっと部屋にいたり毎日帰ってきたら、作業をする職人さんたちにも、かなり気を使わせてしまったことと思います。
リノベ養生中のキッチンでミシンがけ

ちなみに工事期間に何度も家に戻った理由は、漆喰やペンキの仕上がりの確認に呼ばれたり、涼しくなって秋服を取りに行ったり、ミシンを使いに行ったり。ミシンは養生シートで覆われた埃っぽいキッチン台に置き、立ったままお直しをしましたよ。

【家財道具の保管場所】仮住まいに家財道具を全部持っていく? 一部残す? トランクルームに預ける?問題

さて、仮住まいの方法はリノベの規模によって変わってきます。マンションをスケルトンにして間取りまで変えるということだと、一切合切持っていくオール引っ越しが必要ですよね。
我が家の場合は、漆喰壁に関係のない場所の荷物は、そのまま置いていくことができます。たとえば納戸や押し入れ、また作り付けのクローゼット・食器棚・本棚・下駄箱、動かせない収納棚の中のものです。

 

それらの既存収納場所から“はみだす家財道具”を、家からすべて撤去する必要がありました。それらの保管場所には2つのパターンがあると、リノベ会社の担当者が言います。

家財道具の保管方法2パターン

① 大きな家を借りる

ある程度大きな家を借り、必要のない家財道具とともに引っ越す。仮住まい先の一部屋を荷物部屋にするケースが多い。

② 小さな家とストックルームを借りる

必要最小限のものだけ持って小ぶりなマンション等で仮住まいし、残りの家財をトランクルームに預ける。
という方法です。

 

この選択に関しては、仮住まいする場所を探しているうちに、おのずと結論が出ました。

記事が続きます

【仮住まいする家の見つけ方】物件探しは、1か月前にならないとはじまらない!?

ここで、改めてスケジュール状況に触れておきます。
リノベ会社との打ち合わせを1月にスタート。4月には、工事を9月初旬から実施することを決定。引っ張りだこの漆喰の左官職人さんのスケジュールを押さえていただきました。

 

となると、すぐにでも9月に仮住まいする場所を見つけて予約したくなるのが心情。なにしろ人生初のことですので、早めに動きたい気持ちでいっぱいです。
さっそくリノベ会社や、自宅マンションの管理会社に相談して短期貸しの物件を扱う会社をいくつか紹介してもらいました。

 

ここからは、結構な驚きの連続でした。
ちなみにリノベに関しては私が中心に動き、仮住まい探しに関しては夫が担当。一部の感想は夫からの伝聞です。

物件探しの進め方

① 短期貸しOKの一戸建ては、手続きが面倒で費用も想像以上!?

自宅マンションと同程度の広さの一戸建てに引っ越せば、ストックルームを借りる必要がなくて楽そう。ということで、まずは一戸建ての短期貸しを扱っているという不動産会社に連絡。ところが、よくよく聞いてみると、長期間(一般的な2年間など)の契約が優先で、その時空きがあれば短期でも貸す、というスタンスで向こうも乗り気では無さげ(と夫が言っていた)。

 

さらに、このケースは完全な引っ越しも同然。電気・ガス・水道・NHK・Wi-Fi等の契約を個別に結ばなくてはいけません。その上たった50日間でも敷金礼金が数か月分ずつかかるそうで、費用は120~200万円になるとのこと。いち早く候補からはずすこととなりました。

② 長期滞在のキッチン付きホテルは「バスルーム」に問題あり!?

次に検討したのが長期滞在向きのキッチン付きホテル。こちらは料金的にはこの後紹介する短期賃貸マンションと同程度で50日で約70万円。場所も港区で駅近と通勤にも便利。光熱費は込みだし、Wi-Fiだって最初からあるかららくちん。

 

ところが! 絶対に譲れない問題がバスルームにありました。

ホテル仕様のためトイレがバスルームの中にあるのです。一人暮らしならいざ知らず、50日間、入浴タイムとトイレタイムを夫とお互いに気を使いながら暮らすなんて面倒だし体にも悪影響が出そう。私としては、ゆっくりお風呂に入るリラックスタイムは死守したい。サイトの小さな写真をよ~く見ないと気づかないので、要注意です。長期ホテル滞在を候補にした場合は、契約前に見学に行くことをお勧めします。

③ 残された選択肢は家具付き短期賃貸マンション

最後にたどり着いたのが短期の賃貸マンション(マンスリーマンションと呼ばれるもの)を広く展開する企業L社です。
ただ、ここも結局、少しでも賃貸の空白時間を減らして効率よく回したいため(先方からすれば、それは当然のことで理解はできます)、入居希望日の1か月前にならないと空き予定の物件候補を出せないというのです。

 

ちなみにL社の物件ページを見たところ、ほとんどがこぶりのワンルームマンション。社員の1か月研修とか、地方や海外から来て商談の場に使うなど、ワンルームは需要が高いのだそう。

ワンルームに、夫と50日間くっついて暮らすのはちょっときつい。熟年夫婦が快適に過ごすには、それなりの“ひとりスペース”が必要だと私は思っております、はい。我が家は50㎡以上を要望することにしました。

【トランクルームと引っ越し業者選び】先にできることは着々と進めたいけれど!?

トランクルームは自宅近くで選定

さて、L社に物件候補を出してもらうまで数か月間待つしかありません。その間に、夫がトランクルームの目星をつけました。預ける必要があるのはテーブルや椅子、ソファやテレビ、ベッド。そして動かせる食器棚、洋服ダンスとその中身を詰めた段ボール20個ほどです。結局自宅からほど近いチェーン店のトランクルームで、8畳程度の広めの部屋を約20万円で借りることになりました。ただ、これも仮住まい先が決まらないと日程変更があるかもしれないため、ぎりぎりでの契約となりました。

トランクルーム

引っ越し業者の見積もり担当者から「依頼が遅い」と突っ込まれる!?

当然ですが引っ越し業者の依頼も、行き先(賃貸物件)が決まらないため、約1か月前にならざるを得ませんでした。希望スケジュールが夏休み終盤の繁忙期だったこともあり「もっと早く依頼してくれればよかったのに」と、ある見積もり担当者さんから突っ込まれる始末。人手不足の時代だからその気持ちも理解できます。ただ私たちだってできることなら早く依頼したかったんですよ~。とほほ。

 

何はともあれ、引っ越しは1台のトラックで、家→トランクルームで一部荷物を下ろす→仮住まいで残りの荷物を下ろすというルートが取られることになりました。

記事が続きます

【物件選びの意外なネック】8軒中5軒で立ちはだかるダブルベッド問題!?

さて、落ち着かない気分のまま数か月を過ごし…待ちに待って、引っ越したい日程の40日前になりました。少し早めだけれど聞いてみようと夫がL社に再交渉。やっと候補を出してくれました。
メールで届いたのは50㎡程度の物件候補が8軒ほど。ついに本格的な物件探しのはじまりです。

 

基本的にL社は分譲マンションの1室を中古で買い取って賃貸物件にしているよう。どの家もすぐに入居できるように、テーブルやベッド、冷蔵庫や洗濯機、テレビなど、最低限の家具・家電が揃えられています。加えてシャンプー類や風呂掃除のスポンジ、新品のタオルやバスマット、簡易的な枕&ベッドパット、掛布団まで1組分置かれていました。

 

さて、メールで受け取った候補物件をチェックすると、室内の写真はある程度充実していて、部屋のサイズ感や家具などがざっとわかるようになっています。物件の場所は山手線内など移動に便利そうなところが多く、我が家(郊外の住宅地)に近い物件なんてありませんでした。そもそも50㎡以上の物件が少ないので、贅沢は言っていられません。

 

それでも私は定年後の再雇用中で、出社もすればリモートワークもする。だから会社に通いやすい路線であることや、自宅でPC作業ができるデスクが欲しいなど、希望はありました。その目線で探し始めたのですが、すぐにその前に立ちはだかる問題に気づきました。

 

サイトで各物件の写真を見ると、小さめの寝室にダブルベッドがど~んと一つ置かれていることが多いのです。当然もうひとつマットレスを置けそうなスペースなんてありません。う~ん、ダブルベッドか…。旅先で1~2泊ならまだしも、仕事をしながら50日間、夫とダブルベッドではどう考えてもつらい。熟睡できなければ疲れが取れず、仕事にも差し支えるに違いない!? 絶対だめだ~!

 

ということで、ダブルベッドの置かれたマンションを除外していくと、残るは3軒だけに。うち1軒はL社にしては珍しい2階建ての一戸建てだったのですが、階段が狭そう。引っ越しの困難さを考えて候補から外しました。

 

こうして2時間ほどで、候補は2軒のマンションに絞られました。
ただその2軒は、たまたまどちらも(自宅より)通勤に便利で、歴史的にも興味のある土地柄で好感が持てました。

 

L社から、予約キープは2日間のみという厳し~いお達しがあったので、翌日会社帰りに(7月で19時頃まで明るかったので)見学に行くことに。とは言っても、まだほかの人が暮らしていて中は見られません。最寄りの駅から候補のマンションまで歩いてみて、周辺の環境、スーパーなどを確認しました。

1軒目は文教地区の物件。「特に問題はないし、ここでいいかな」と感じて2軒目へ。

仮住まい先近くの橋

2軒目に行ってみると隅田川に近く、暑い夏の夕暮れだったこともあり風通しがいい。近くの橋からの開けた眺めにもぐっときました。今まで住んだことのない環境にわくわくして、ぜひここに住んでみたいという思いがふつふつと沸き上がってきました。
ここ数か月間、引っ越し荷物を減らすための取捨選択作業が(モノを捨てられない私には殊更つらくて)心を重くしていたのですが、急に目の前にご褒美のニンジンをぶら下げられたよう。

 

その場で夫にLINEをして、隅田川近くの物件に住みたいと伝えました。

 

夫は、私の興奮に押されたのか、仮住まいだからそれほど気にしていなかったのか、翌朝、自分は見にも行かずにL社に決定の連絡を入れて契約に進みました。

 

契約金はこの52㎡のマンションで50日間60万円台。大出費ではありますが、その前に検討した一戸建てやキッチン付きホテルよりは安い。さらに、このマンスリーマンションの契約金には、光熱費や入居前後の掃除費用、保証料等も含まれています。入居中は猛暑日が続きエアコンを長時間つけましたし、毎日バスタブ入浴し、ガスの浴室乾燥機も頻繁に使用しました。それでも退去後の追加請求等はなし。マンションにWi-Fiがついた物件だったこともあり、契約金以外にいっさいの費用はかかりませんでした。
カモメ

さて、ダブルベッド問題や、入浴&トイレ問題、ひとりスペース確保など、お互いのストレスになりそうなことを“直感的に避けてかわして”仮住まい先が決定しました。我ながらここまでは、厳しい条件下でよい判断ができたと思います。

 

※「持っていかずに大後悔した家電」など、仮住まいでの失敗談と意外なプラス面について、後編でお伝えします。

 

ということで、今回の「定年女子あるある(かもしれない)川柳」です。

熟年の 夫婦 事前に 危機管理

 

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