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【吉川千明さんに相談!】コロナ禍以降、人に会わない日常が続いています。このままでは認知症になってしまうのではと心配

コロナ禍のステイホームによって、ライフスタイルが戻らない、という人は少なくありません。「外に出る・人に会うことがおっくうになる。それは、とても深刻な問題をはらんでいます」と警鐘を鳴らすのは、メノポーズカウンセラーの吉川千明さん。OurAge世代が知っておくべき、大切なことについて伺いました。

【今回のOurAge賢者】

 

吉川千明
美容家、オーガニックスペシャリスト。自然や植物の力に着目し、オーガニックコスメをはじめ、スパ、漢方、食にいたるまで、ナチュラルで美しいライフスタイルを提案。連載「ハッピー女神プロジェクト」でも、更年期の健康、美容について多角的に発信している。産婦人科医・対馬ルリ子氏との共著『「閉経」のホントがわかる本 ~更年期の体と心がラクになる!』が好評発売中

 

<お悩み>

コロナ禍をきっかけに外出が減り、友人とのランチの習慣もなくなったまま。そのせいか、おしゃれもほとんどしなくなりました。「このままでは、いずれ認知症になるのでは……」と危惧しています。認知症は長生きした証だと割り切って、前向きに受け止めていこうとは思うのですが、なかなかそれも難しいです。(59歳・専業主婦)

 

<回答>おしゃれをして外に出て、おっくうな気持ちと闘ってください。

コロナがもたらした「見えない傷跡」

 

相談者さんにお答えする前に、まず私が感じていることからお話させてください。コロナはすでに収束したように思われているけれど、私が行っているカウンセリングでは、いまだその影響を受けている人がたくさんいます。ステイホームでリモートワークになり、人に会わない時間を長く過ごしたことで、何かと疑心暗鬼な気持ちになってしまう、とおっしゃるのです。

 

例えば、「誰か私の悪口を言っていないだろうか」「自分はこの仕事を続けていていいのだろうか」「リモートのままなので対面で叱られることはないが、褒められることもない」…等々。人は一度出不精になってしまうと、なかなか元には戻せなくなるもの。社会やライフスタイルの変化によって体調を崩したり、鬱になってしまったり、パンデミックというものが、見えないところでもいかに大きな傷跡を残しているのか、痛感しました。

 

そんなコロナのリバウンド問題の深刻さを思うと、今回のお悩みには少々、辛口になってしまうかもしれません。でも「吉川さん、キャラ変したんだな」とでも思ってお読みいただけたらと思います(実はもともと、毒舌家の私です笑)。

仕事場の吉川千明さん

 

仕事場で。みんな!元気出していこ〜〜

心の張りを失った人が老けるのは、あっという間!

 

「いずれ認知症になるのでは」とありますが、ご相談者さんが認知症になるかどうかはわかりません。遺伝的要素もあるし、原因も解明されてはいませんから、認知症の不安については一旦脇に置いておくとしましょう。

 

ランチの機会が減ってしまったのは残念ですね。それでもやっぱりおしゃれをして、外に出かけてみませんか?私はいい意味で、緊張感を持って人と会うということは、素晴らしく健康に良いことだと思います。だって、本当に何もしなくなってしまったら、毎日どうでもいい服を着て、どうでもいいものを食べて、「全部どうでもいい…」となってしまうでしょう?

 

外に出るとなると、洋服も買わなければいけないし、メイクもしなければいけない。面倒だと思うかもしれませんが、そういうことが心の張りになるんです。そしてこの張りがあるから、人は社会の中で生きていくことができるんですよ。私の専門は美容ですが、最近はますます、この美容の重要性を感じてもいます。人の目を意識するから、少しでもよく見られたくて、人はキレイになる努力もできるわけじゃないですか。

 

そして、さぁここからいいですか?そういう努力ができなくなっていく人は、もう間違いなく、「老けて」いってしまうんですよ!

 

更年期は序の口です。閉経後は、もっと本気にならないと

張りのある日常が失われると、生活は瞬く間にズタズタになってしまうのです。食生活ひとつとっても、好きなだけ食べてしまって体重は増え、やがて食べるものの質も悪くなっていくことでしょう。

 

相談者さんの59歳という年齢から考えると、みずから生活習慣病を招いてしまうことにもなりかねませんよ。閉経を過ぎ、女性ホルモンの恩恵を得られなくなった人は、健康努力を怠ったとたん、坂道を転げ落ちるように老けていくのは真実。私自身、過ぎたからこそ言えるのですが、「更年期はまだまだ序の口だった」のです!

 

そのことがわかっているから、私も筋トレをしたり、車ではなく電車に乗ったり、食生活にも気をつけています。骨密度対策としてビタミンDやカルシウムもせっせと摂っているので、先日の骨密度検査では、若い人の平均よりも高い128%という数値を達成しました。お酒もやめているので、肝臓の数値も良好です。

 

でもそれは、決して自慢ではありません。私もひどい更年期症状に悩まされ、ストレスだらけの生活を改善すべく、産婦人科医の対馬ルリ子先生のもとでたくさんのことを学びました。多くの女性の不調を知り、「あぁ、こういう症状の人は、ここからこうなってしまうのか」という患者さんの事例もたくさん見てきたことで、努力できるように変われたわけです。

 

ですからね。相談者さんも、ここからは本気になりましょう。閉経後は女性ホルモンだけでなく、「やる気」を司る男性ホルモンも減ってしまうことはご存知ですか?だからまだ元気で体が動くうちに、鬱っぽい気持ちや落ち込み、引きこもりと自分から闘っていくの。運動して体を鍛えて、気持ちを上げて、やる気を起こして何かをやってみる。やってみることで、やる気は出てきます。このサイクルを、とにかく止めないように。なぜなら私たちは、一度エンジンを止めてしまうと、もう一回ふかすのは本当に大変な年代を迎えているのですよ。

 

 

取材・文/井尾淳子

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