温泉ラバー憧れの地・鳴子温泉へ
鳴子温泉駅前にはふたつの足湯があって、ついてすぐにほっこりできます
ミワ GWが終わって、夏休みまで長期のお休みがないなんて(涙)。肩こり、首こり、イライラ、落ち込み、心も体も浮き沈みが激しくて…。更年期だけじゃかたづけられないわ。
ミホ それ温泉切れじゃないかしら?
ミワ きっとそれ! どこか湯治をするようにゆっくりできて、いろんな温泉を楽しめるところってないかしら?
ミホ 私の大学時代の先輩が宮城県の「東鳴子温泉」で湯守(ゆもり)をやっているの。自然が豊かで静かだし、何よりお湯が本当にいいのよ。そこへ行きません?
ミワ 鳴子温泉と言えば、その泉質の多さとお風呂の多様さで、温泉ラバー憧れの温泉地♡ せっかくだから2泊3日で湯治するのはいかが?
ミホ そうしましょう!
「大人の休日クラブ」「えきねっと」の加入で
JR東日本の交通費をオトクに
宮城県は米どころ。天気の良い日は車窓から青々とした田んぼを眺められて、外を眺めているだけで解放感に満ちてきます
ミワ 最近は東京近郊の温泉に行くことが多かったから、やっぱり仙台を超えると交通費が高くなるのが少しネックね。
ミホ 「おときゅう」があるわよ。
ミワ 「おときゅう?」「もろきゅう?」、お酒のつまみ? ミホさん昼間からお酒のお話?
ミホ いやだわ、ミワさん。「おときゅう」といえば、JR東日本が企画している「大人の休日倶楽部」のことよ。50歳から入会できて、JR東日本の鉄道をおトクに利用できてしまうの。
ミワ 「大人の休日倶楽部」は知ってたけど、「おときゅう」って言うの!? それは知らなかった、ナウいわね(笑)。もちろん旅好きの私ですから、50歳の誕生日を過ぎてすぐに入会したわ。
ミホ さすがミワさん! 年に3回発売される期間限定の「大人の休日倶楽部パス」を買えば、新幹線を含めたJR東日本の切符が5日間で¥18,800。途中下車もできるし、遠くへ行くほどおトクになるのよね。
ミワ でも今回はパスの期間には合わせられなさそう…残念だわ。だからJR東日本「えきねっと」会員の早割りを利用しましょう。新幹線eチケット「とくダ値14」なら、設定期間があるけど、14日前までに「えきねっと」で切符を買えば30%割引よ。数に限りがあるみたいだけど。
ミホ それはおトクね! 浮いた分でもうひと温泉入れるものね。
ミワ じゃあ、切符の手配は私におまかせくださいませ~。ミホさんには宿のご予約をお願いするわ。
ミホ ではお互いに予約をして、鳴子温泉へ行きましょう。
(そして、3週後、鳴子温泉へ)
湯めぐりチケットを持って、温泉とこけしめぐりへ
ミワ 念願の鳴子温泉に来たのですから、まずは駅のロッカーに荷物を預けて湯めぐりに出かけましょう。
ミホ 観光協会で湯めぐりチケットを売っているから、それを買うと少しオトクになるみたい。
チケット6枚で1,300円。日帰り入浴施設によって使用するチケットの枚数が異なります。2人で使ってもOK
ミワ それはいいわ。でも雨が降ってきちゃったから、たくさん移動はできないわね。
ミホ 今日はあいにくの雨だけど、温泉は屋根付きだから安心。
ミワ むしろ露天風呂に浸かりながら雨音を聞いていると心が整うもの。雨の日は温泉日和だわ。温泉といっしょに雨も堪能しちゃいましょう。
ミホ 雨の鳴子温泉も風情があるわね。見て!駅前にも足湯があるわ。キャーかわいい♡
ミワ 何を見つけたの?
ミホ こけしだらけ♡ 私、実は郷土玩具収集という謎の趣味があって、こけしも大好きなの。鳴子はこけしでも有名な土地でしょ。こけし&温泉なんて私のためにあるような夢の温泉郷。
ミワ (笑)。ではこけしを愛でながら、湯めぐりへ。どこへ行くのがいいかしら。
ミホ 今回宿泊する大沼旅館の湯守であり、私の先輩、大沼さんおすすめの泉質の違う3つの温泉へ行ってみましょう。
ミホさん大興奮のこけしがあふれる温泉街。車止めもこけし♡
こけしが目印の湯めぐり広場。建物の中には手湯も!
鳴子温泉駅前の足湯。足をつければ乳白色の含硫黄泉が旅の疲れが一気に癒されます。
鳴子温泉神社のご神湯でみそぎの湯を堪能
滝の湯。入口の券売機で入湯券を買って中へ
ミホ 鳴子温泉へ来たなら、まず公衆浴場・滝の湯がおすすめだそうよ。ここは鳴子温泉神社のご神湯として千年の歴史を持つ古いお湯なんですって。しかもお値段300円!
ミワ 硫黄のにおいをかいでるだけで、もう吸気浴しているみたい。温泉好きにとってはワクワクする香りね♡
ミホ 硫黄、ナトリウム、アルミニウム、カルシウム、鉄…、女性が不足しがちなミネラル分が豊富なお湯ね。血流促進やデトックス効果が高いけれど、刺激も強めだから、肌の弱い私は少し軽めに浸かるわ。
ミワ あつ湯とぬる湯、2つの湯船があるのね。ぬる湯はいつまででも浸かっていたいほど気持ちがよい湯温。あつ湯は45°ですって! 確かに熱いけど、一度入ってしまえば体が内側から温まってくる感じ。このあつ湯はクセになるわ。
ミホ 私はゆっくり、やさしいぬるめのお湯でじっくり温める派。白いお湯と歴史を感じる板張りの湯船は何だか懐かしくて、心が落ち着くわ~。
ミワ 仕事の疲れが一気に白いお湯に溶けていく感じ。ご神湯に浸かって浄化される、みそぎの儀式のようね。
玄人好みの濃い含硫黄泉を楽しむ東多賀の湯
東多賀の湯。入口は地味だけど、中には極上の温泉が待っています
ミホ 日帰り入浴の2軒目は、「滝の湯」以上に濃い硫黄泉を味わいに「東多賀の湯」(大人800円)へ行きましょう。
ミワ 温泉好きの口コミ評価が高い濃い~お湯ね。加水・加温をしない源泉かけ流し♡ 国道沿いにあるのに秘湯に来た雰囲気ね。
ミホ 湧き出たお湯をいったん貯めて、硫化水素ガスのガス抜きをしてから湯船に入れているそうよ。そんなお湯初体験♡
ミワ 源泉かけ流しの乳白色のお湯は、ちょっとピリピリするほど熱めで、鍼灸のハリみたいに体を心地よく刺激してくれる。最高のお湯ね!
ミホ 肌の弱い私には少し強めだから、出たり入ったりさせていただくわ。
ミワ 私はゆっくり首までつかって、すべての毛穴からお湯を思う存分いただきます。深く呼吸をすると、喉までうるおいを感じるわ。このあとカラオケに行ったらディーバになれそうよ、すごい温泉パワー!
ミホ ここは温泉ツウもうなる玄人のための温泉という感じね。お風呂のお湯も熱めだから、ゆっくり入るというよりは濃くて熱いお湯をササッと頂くのにピッタリ。
ミワ 鳴子温泉に来たらぜひ寄ってほしいけれど、ここは宿泊施設だから日帰り入浴できる時間は短め。私たちが伺ったときの日帰り入浴は10時半~14時半だったけど、事前に時間を確認してから出かけるのがおすすめね。
天然の美肌成分たっぷりの「しんとろの湯」で20代のピチピチ肌に若返り⁉
地元の人はもちろん、全国からここのとろみのお湯を求めてたくさんの人が訪れます
ミホ もうひとつ大沼先輩が強く推してくれたのが鳴子温泉郷のひとつ、中山平温泉の日帰り公衆浴場「しんとろの湯」。鳴子温泉駅から一つ先の中山平温泉駅から歩くんだけど、たとえ遠くても行く価値があるらしいの。ここはpH値9.3もあるアルカリ性のお肌にやさしいお湯だから、私もゆっくり浸かれそう。
ミワ 「東多賀の湯」でお会いした肌ツルッツルのおばあちゃんも、ここのお湯を激推ししていたし。地元でも有名なのね。
ミホ 泉質を調べてみたら、そのラインナップがオーガニックのうるおい化粧品みたいなの。まず含硫黄がメラニンの代謝を促してシミやくすみを対策。ナトリウム成分が角質を落としたら、その上から塩化物泉がお肌を包んで保湿してくれるでしょ。加えて市販のうるおい系化粧品にも含まれるメタけい酸という成分もたっぷり含まれているという、正真正銘の美肌の湯よ。
ミワ 早く温泉に浸かって、天然のうるおい化粧水を注入しましょう。
施設の裏にある木桶を熱い源泉が通って、自然の力でお湯を冷まして湯船へ。
ミホ そしてもうひとつ驚くのが源泉の温度。なんと93℃よ!
ミワ びっくりするほど高温! でも加水していないわよね?
ミホ 外に長い木桶があったでしょう? 約200mもある木桶に源泉を流して、お湯を自然に冷却して適温にしているそうよ。
ミワ 手間をかけても加水はしない、その温泉愛がすばらしい!
ミホ どんなお湯かしら? さっそく入りましょう。少し熱めかしら…。
ミワ ミホさん! 見て! このお湯のとろみは過去最高レベルよ。とろみを超えて、ぬるぬるに近い。手ですくってもとろみ感がわかるもの。
ミホ 肌にバリアができて、うるおい増し増し、お肌しっとり♡ ミワさんご覧になって! この肌のしっとり感。水をはじいた20代のピチピチ若肌に戻ったようだわ。
ミワ ミホさん、さすがに20代はちょっと大げさよ(笑)。でもそういいたくなるほど、私もお湯に浸かりながらのずっと自分の腕をなでていたから。こんなお湯に入った後にボディクリームは必要ないわね。
ミホ 毎日つかれたら、肌も体も心もうるおって、人生も変わっちゃいそうね。
ミワ このお湯が440円で入れるなんて、ご近所にお住まいの方は幸せ。帰りたくないわ…。
ミホ 悲しまないで、ミワさん。今日のお宿も素敵なお風呂がそろっているの。また違う温泉体験ができるわよ。
ミワ ひとつの温泉との別れは、次の温泉との出会いね。楽しみになってきた! さあ今日の宿泊地、東鳴子温泉の大沼旅館へ向かいましょう。
取材・文/山本美和