地元の人に愛される、2種類の温泉が楽しめる
武蔵小山温泉「清水湯」
ミワ 前回に続き都内の温泉をリサーチしてみたら、意外とたくさんあることがわかったの。東京も奥深いわよね〜。
ミホ そうよね〜。そして今回、私がおすすめしたいのが、品川区・武蔵小山の「清水湯」。ここは、ウチから自転車ですぐ行けるから、たまに行っていて、ミワさんにも行ってみてほしかったのよ。
ミワ 「清水湯」は都内の温泉の中ではわりと有名よね。ミホさんからも前から話を聞いていて行ってみたかったのよ〜。
ミホ じゃあ、早速行ってみましょ!
↑清水湯の入り口
ミホ 清水湯は、大正13年で初代の川越実喜さんが銭湯として始めたのが最初なのだそうよ。ただその後、銭湯が衰退していってお客さんが激減したことから、2代目の稔さんが大きな賭けに出て、突然「温泉を掘る!」と言い出し、掘削を始めたそう。当時は、大田区には黒湯があったけれど、品川には温泉は出ないと言われていたそうなのよ。
ミワ 都内の、しかも品川区に温泉を掘ろうとするなんて、すごい決断よね〜。
ミホ そうよね。でも、結果的に、平成6年に第1源泉の天然黒湯温泉の採掘に成功して。それからお客さんが3倍に増えて、今の清水湯の基盤ができたそう。その後、3代目の太郎さんが、平成19年に第2源泉の黄金の湯の掘削に成功したそうなのよ。すごい歴史ね〜。
ミワ ホント。NHKの「プロフェッショナル」とか、「情熱大陸」とかでやってほしいくらいだわ。
ミホ ということで、そんな歴史あるお風呂に入ってみましょ。
↑濃いめの琥珀色の黒湯
ミワ 地元の人ですごく賑わってるわね。若い人からお年寄りまでたくさんの人がいて、街の人から愛されている感じ! しかも、東京都が取り決めた公衆浴場規定の550円で、2種類の天然温泉に入れちゃうなんてありがたいわね!
ミホ そうなのよ。いつ来ても地元の人でいっぱい。今どきこんなに活気がある銭湯って少ないかも!? やはり温泉を掘削した効果は絶大だったわね〜。
ミワ 露天風呂スペースのライトが暗めで、雰囲気よく作られているのもいいわね。さっそく黒湯に入ってみましょう。ここの黒湯は、この前行った深大寺や蒲田の濃い黒湯に比べると、きめが細かくて、さらっとした感触ね。肌にスーッとなじむわ。
ミホ 泉質名で言うと“重炭酸ソーダ泉”で、特に軟化作用に優れていて、保湿と保温効果が高いんですって。うるおいも、温め力も減ってくる私たち世代にとって、うれしい効果ね〜。万病予防に効果がある万能温泉とも言われているらしいわ。
ミワ この黒湯は源泉掛け流しではないけれど、高濃度のナノバブルが充填されているというところに工夫がみられるわよね。温泉効果が高まりそう〜。
ミホ そして、もうひとつの黄金の湯は100%源泉掛け流し。こちらは、ヨード成分が高濃度で入っているらしく、神経痛や筋肉痛や関節痛、五十肩、すり傷、切り傷などにいいみたい。のどの痛みは、初期段階なら、さっと引くこともあるんですって。最近、私たちの世代にも、のどのトラブルに悩む人増えているから、うれしい効果ね。
↑源泉掛け流しの黄金の湯。黒湯よりも深い地層から湧き出ている
ミワ こちらのお湯のほうが少しとろみがあって、鉄っぽい感じ。銭湯初の“療養泉”に認定されているらしく、怪我をしているわけではないけれど、けがやこりが癒されていくの、わかる気がするわ。私は黒湯より黄金の湯のほうが好みかも♡
ミホ ミワさん、さっきから、黒湯と黄金の湯を交互に入って、温まったら水風呂に入るっていうのを何度も繰り返してるわね(笑)
ミワ こんな贅沢なプチ湯治が近所でできるなんて、ミホさん、うらやまし〜。サウナは、約90度の湿潤サウナで、子どもが入れるくらいだからラクに入れそう。今回は混んでるから入らなかったけど、次回は試したいわ。
ミホ 岩盤浴もあるんだけど、わりと空いていることが多くて穴場よ。
ミワ 近所にあったら、通いつめて常連になりそう。
ミホ 武蔵小山には、「パルム」って言う有名な長〜いアーケード商店街もあって、下町風で楽しいから、帰りに寄って帰りましょ〜。
Data
武蔵小山温泉 清水湯
東京都品川区小山3-9-1
☎ 03-3781-0575
営業時間 平日12:00~24:00 土曜12:00~24:00 日曜8:00~24:00 祝日12:00~24:00
定休日 月曜(祝日の月曜は営業)
料金 大人¥550 岩盤浴¥1,500 サウナ¥450
うぐいす色の源泉掛け流し温泉と、枯山水の苔庭に癒される
板橋区の「前野原温泉 さやの湯」
ミワ 今度は、私のおすすめの都内の温泉を紹介するわ。板橋区にある「前野原温泉 さやの湯処」よ。
↑前野原温泉 さやの湯処
ミホ 板橋区に温泉があるなんて、これまた意外ね〜。しかも、健康ランド感がない、どっしりした和風の建物がいいわね。
ミワ 元々は、昭和21年に建てられた、とある実業家の方の住まいを再生したものなの。当時造られた美しい日本庭園が食事処の前に残っていて、それが何より魅力だから、お風呂上がりにぜひ見てほしいわ。
ミホ それは楽しみ! とりあえず、まずはお風呂に入りましょ。
ミワ ここのお風呂のイチオシは、都内では珍しいうぐいす色の源泉かけ流しの温泉。PH7.4の弱アルカリ性、塩分濃度の高いナトリウム塩化物強塩温泉よ。
ミホ 都内の温泉だと黒湯が多いけれど、うぐいす色は珍しいわね〜。優しい色合いに癒されるわ。感触もまろやか。確かに口に入ると、結構しょっぱいわね。
ミワ 塩分が肌に付いて汗の蒸発を防ぐから、保温性が高くて湯冷めしにくくて、「熱の湯」と呼ばれているそうよ。
ミホ 芯からポカポカして、これからの寒い季節によさそう。結構、人が多いけれど、露天風呂スペースが広いから、そこまで混雑感がないのもいいわね。つぼ湯とか寝ころび湯とか、いろいろなお風呂があって、1日いても飽きなさそう。
↑緑に囲まれた露天風呂。天然温泉(循環)や、つぼ湯、寝ころび湯、薬草塩蒸風炉などお風呂の種類が充実
↑うぐいす色の源泉掛け流しの「熱の湯」
ミワ 内湯にある高濃度炭酸泉の炭酸具合もレベルが高くて、肌への刺激が心地いいわよ。あと、薬草塩蒸風炉も入ってみて。蒸気の蒸し風呂だから、サウナが苦手なミホさんも、気持ちよく入れるし、体に塩をすりこんで入れば、いっそうポッカポカよ〜。
ミホ 確かに、この薬草塩蒸風炉なら、ホットフラッシュが気になる私も入っていられるわ。薬草の香りも気持ちいい♡
ミワ 私は、以前は、ここの岩盤浴が好きで、友達と通ってたの。春、夏、秋の3種類の岩盤浴と冷たい冬の部屋があって、それぞれの部屋で爆睡するのが至福の時間だったのよね〜。だから温泉のほうをよく覚えていなかったんだけど、久しぶりに温泉にゆっくり入ると、やはりいいわね〜。
↑高濃度炭酸泉や、マッサージ風呂、サウナなど内風呂も種類が多い。
ミワ 温泉三昧したところで、湯上がりに、枯山水の日本庭園に面したお食事処「柿天舎」に行ってみましょう。私は、大好物のかき氷を食べたい!(訪れた日は残暑厳しい9月頭)。
ミホ この「柿天舎」、想像以上に素敵〜!! 人は多いけれど、みんな静かに過ごしているし、古い日本家屋の趣のある雰囲気と、目の前に広がるお庭が本当に素晴らしい! いきなり京都にでも来た気分♡ 軒先で鈴虫が鳴いているのも、風情があるわね〜。
↑食事処「柿天舎」に面した日本庭園。四季折々にさまざまな自然の表情が
↑「柿天舎」のかき氷。右が氷マンゴー、左がブルーベリー氷(かき氷は9月30日で終了)。秋は蕎麦ぜんざいなどの甘味が楽しめる
ミワ お風呂上がりに、こんな眺めを見ながらかき氷が食べられるなんて、かき氷マニアの私にとって最高。「柿天舎」でゆっくり過ごすためだけにも来る価値あるわね。
ミホ お蕎麦とか海鮮丼とか定食とか食事メニューが充実しているのもうれしいわ。「栄養士さんおのおすすめご飯」っていうヘルシーメニューがあるところも、私たち世代にぴったり。
ミワ そう言いながらミホさん、おつまみとお酒のメニューしか見てないじゃない!
ミホ ちょっとした居酒屋並みにおつまみとお酒のメニューが充実してて、こんな空間で湯上がりにゆっくり呑めるなんて最高すぎるわ! 湯上がり後に休める「うたたね処」もあるし、アロママッサージが受けられる「香処」や、マッサージや足ツボを受けられる「手もみ処」も。こんなスポットが東京にあったなんて! 私、日々の推し活に疲れたら、今度からここに来て、1日過ごすわ!
ミワ え、仕事疲れじゃなくて、推し活疲れなの!?
ミホ あら、推し活って、やることいっぱいあって結構疲れるのよ!
ミワ …ともかく、また来るなら、土日より、平日が狙い目かもね。ここはホームページで現在の浴場状況(混雑具合)をチェックできるから便利。混雑していないときを狙って、また来ましょう。
前野原温泉 さやの湯処
東京都板橋区前野町3丁目41番1号
☎03-5916-3826
営業時間 9:00〜24:00 岩盤浴9:00〜23:30 お食事処「柿天舎」 10:00〜23:45(食事のLOは〜22:30)
料金 大人 平日¥930 土曜・日曜・祝日¥1,300
タオルや館内着のレンタルあり
【ミホ&ミワ プロフィール】
ミホ
健康、医療、美容、ダイエットをテーマに雑誌やWEB、書籍で執筆するヘルスケアライター。ワインエキスパートの資格あり。20年以上前に温泉ソムリエを取得。温泉と酒と鉄道をこよなく愛す。特に秘湯が好きで、過去に「日本秘湯を守る会」のスタンプ帳を2回コンプリートした経験あり。最近ハマっているのは推し活(平野紫耀くん強火担・Number_i箱推し)。
ミワ
ダイエット、美容記事のほかトラベル媒体でラグジュアリーホテル、宿の取材歴多数。健康と美容と旅を追求するヘルスケア&トラベルライター。温泉好きが高じて温泉ソムリエを取得。温泉とマッサージと猫をこよなく愛し、いいお湯を求めて、全国の温泉を渡り歩く。
画像協力/武蔵小山温泉 清水湯、前野原温泉 さやの湯処 取材・文/和田美穂