「ミシュランガイド」のホテル版が認める「素晴らしい滞在」を由布院で体験!
↑入口はまるで森の美術館という雰囲気
ミホ 今回、体調不良で私は行けなくなってしまって…。更年期だから体調が安定しなくて(泣)。
ミワ ミホさん、気にしないで。揺らぎ世代はいつなんどき体調を崩してしまうかわからないもの。無理をしないのが一番よ。
ミホ 私も本当に楽しみにしていたのに残念だわ。だってずっと行きたいと思っていた温泉地・由布院のオーベルジュなんですもの。
ミワ しかもただのオーベルジュじゃないのよ。「ミシュランキーホテル」をご存知?
ミホ あの有名な「ミシュランガイド」のホテル版で、特に優れたホテルには星がつくのでしょ。
ミワ さすがミホさん、ご名答! 今回うかがった「ENOWA YUFUIN」は、国内初となる「ミシュランキーホテル」で、「素晴らしい滞在」という評価にあたる「2ミシュランキー」を獲得した、日本では17施設しかないうちのひとつなのよ。
ミホ まぁ! それはすばらしいオーベルジュに違いないわね。もちろん、お湯も素晴らしかったのでしょ? 温泉は日本文化に欠かせないもの。
ミワ もちろん! 一人で寂しい思いをしている私を気遣って、LINEのやりとりで旅に参加してくれたミホさんに、私が体験した夢のような1泊2日の旅を詳しくご紹介するわね。
↑木々に囲まれた山の中腹に建つ、ヴィラタイプの客室
ミワ 「ENOWA YUFUIN」は約4万4000㎡の森の中にひっそりたたずむように建っていて、とても静か。こんなに広い敷地なのにヴィラ10室、ホテル棟9室の19室しかない、自然のままの地形を生かした贅沢なつくりなの。
ミホ 森の中の隠れ家という感じね。プライベートが守られて安心だわ。
源泉かけ流し100%の天然温泉を部屋付き露天風呂&インフィニティプールを満喫!
↑120㎡の広い空間にツインベッドとソファがしつらえられた、広々とした部屋。大きな窓が気持ちいい!
ミワ こちらが私の宿泊したヴィラタイプのお部屋。「プリミティブラグジュアリー」をテーマにした客室は、無垢材や石など、素材自体の持つ温かみがそのまま生かされていて、お部屋にいるだけで癒されるような、何とも居心地のよい空間だったわ。
ミホ ステキ~♡ 大きな窓の先に見えるのが温泉かしら?
↑夜はインフィニティプールからの星空を眺められる
ミワ そう! 源泉100%かけ流しの露天風呂とインフィニティプールよ。
ミホ まぁ、プライベートプールまで‼
↑建物の裏手からもくもくと煙をたてながら湧き出る源泉と、お湯の冷却装置「湯雨竹」。
ミワ こちらの温泉の温度管理はとてもユニーク。宿泊棟の裏に「湯雨竹(ゆめたけ)」という大分独特の温泉冷却システムがあるのね。くみ上げられた約70度の自家源泉のお湯を「湯雨竹」に流して50度くらいに冷ますから、一切加水をせずに各部屋に源泉かけ流しのお湯を供給できているのよ。
ミホ あえて時間をかけて源泉を冷ましているところに温泉愛を感じるわ~。
ミワ 冷ましたとはいえ、露天風呂の温度は42~43度と少し熱め。湯もみをしたり、お好みで加水をしたりして、自分好みの温度にすることができるの。山からの風がとても気持ちがよくて、少し熱めの温度がちょうどよかったから、私は一切加水も湯もみもナシよ。
↑手前が温泉。湯温は42度前後。プライベート温泉だから、熱くても、水に薄めても好みのお湯は自由自在
ミホ 泉質はどう?
ミワ ニオイがなく無色透明で万人受けするお湯。pH値7.6の弱アルカリ性で少しとろみのある、肌にやさしい美肌の湯だったわ。
ミホ 露天風呂の先のプールも気になる~。
ミワ でしょ? お湯につかって体が熱くなったら、ぬるめの温泉が流れ込んだインフィニティプールに飛び込むの。適度に体が冷まされるし、何より景色がいいから、最高に気持ちがよかった~。
ミホ しかもそれをひとり占めでしょ?
ミワ もちろん。大人の一人旅の醍醐味! 温泉とプールの交替浴を満喫したら、バスローブを着て、テラスのチェアでひと休み。鳥や虫の声、風のささやきに耳を傾けていると、自然の一部に溶け込んで、心が整っていくのを感じられるの。夢のようでしょ?
ミホ 温泉付き竜宮城のよう(笑)。聞いているだけで気持ちよさそうだわ。
↑冷蔵庫の中のドリンクはフリー。コーヒーや紅茶、お茶も完備
ミワ 冷蔵庫に入っている地元産のクラフトビールやジュースを飲んで、また温泉に入ってをくり返して、1人リトリートを満喫しちゃたわ。
ミホ あら写真のオレンジジュースが飲みかけだけど。
ミワ バレました(笑)? 喉が渇いて写真を撮る前に飲んでしまったの(笑)。地元産の「吉沢さんちのみかんジュース」も大分名産のかぼすジュースも、フルーツそのままの濃い味。冷凍庫に入っていたパティシエ手作りのグラスフェッドミルクを使ったアイスクリームも、おいしすぎて写真を撮り忘れてしまった(笑)。滞在中、夜も朝も日中も、何回この露天風呂に入ったのかわからないほど。やさしい源泉かけ流しのお湯は1泊2日なのに、長期間湯治をしたように心と体の緊張がほぐれて、普段の疲れはどこへやら。もちろん、肌もうるおってしっとり、すべすべ。
ミホ 聞けば聞くほど、いいお湯ね。
↑サウナからの見晴らしは最高! 心も体も一気に整います。写真提供/ENOWA YUFUIN
ミワ 部屋付きの露天風呂のほかに、施設の一番高い場所には貸し切りで利用できる由布院の街並みを一望できる「ヒルトップサウナ」(別料金)があるの。3時間貸し切りなんだけど、薪をくべて適温になるまで3時間かかるというから、結局、一組のお客様のために6時間かけて提供するという最高級のサウナよ。
ミホ 6時間も!
ミワ 立ったまま入れる水風呂やシャワー、ドリンクも付いているのですって。ゴージャスよね~。
“畑がメニューを決める”「FARM DRIVEN」という
新スタイルの食事を生み出すファームを見学
↑シェフのタシさんやスタッフの方々が手塩にかけてつくりあげた農園。その広さは10反(約10,000平方メートル)も! 写真提供/ENOWA YUFUIN
ミワ 「ENOWA YUFUIN」で話題なのが、自社農園「ENOWA FARM」で育てられた野菜を一番おいしいときにおいしい状態で提供するレストラン「JIMGU」でのお食事。リピーターの多くはこのお料理に魅了されてまた違う季節に訪れるのですって。そのお料理が生まれる自社農園のツアーがあって、そちらを案内していただいたの。
ミホ お料理が生まれるのはキッチンではないの?
ミワ お料理は素材が命。その大地の恵みを生み出しているのがファームなのよ(ドヤ顔)。
ミホ ミワさんたら、どなたかの受け売りね(笑)。
↑こちらがレストラン「JIMGU」のエグゼクティブシェフのタシさん。写真提供/ENOWA YUFUIN
ミホ あらイケメン! こちらはどなた?
ミワ レストラン「JIMGU」のエグゼクティブシェフ、タシ・ジャムツォさん。チベット出身のタシさんは、NYのミシュラン2つ星レストラン「ブルー・ヒル・アット・ストーン・バーンズ」でスーシェフを務められていた方。イケメンなのは顔だけじゃなくて、その心意気なのよ。タシさんは毎朝、畑に足を運んで、土と作物の様子を見て、おいしさのピークを迎えたお野菜を選んでディナーのメニューを組み立てるの。それもこれも、ゲストに一番いい状態の作物をできるだけ早く食べて頂いて喜んでほしいからなのですって。このタシさんが提供してくださるお料理は「FARM DRIVEN」という考え方に基づいているの。
タシさんによると「野菜はその日の天候や様子で毎日変わります。この農園は自然のままなので、天候によっていつどんな野菜がピークを迎えるのか正確な予測ができません。でもいつでも私たちは、その日最もいい状態の野菜をゲストにお出ししたいと考えています。だから毎日ファームを訪れ、スタッフと相談しながら、その日おいしさのピークを迎えた野菜を収穫し、それからメニューを決めています。それが“畑がメニューを決める”という「FARM DRIVEN」。自給自足の時代は当たり前だったそんな食事が、実は一番豊かで贅沢だと思うのです。ゲストのみなさんに、ファームから発信する“食”を通して、本当の意味でのラグジュアリーな体験を味わってほしいと思っています」
ミホ タシさんの熱い想いが伝わってくるわ。確かに高級食材を使うお料理もよいけれど、今の時代、目まぐるしく変わる天候や流通などを考えると、その日一番おいしいお野菜を頂けることって、とても贅沢かもしれないわね。
↑野菜をひとつずつ見て、触って、スタッフと相談しながら、その日のメニューを決めるそう
ミワ ENOWA FARMでは年間を通して30品目200品種の作物を栽培しているのですって。中には日本の市場には出回らない珍しいお野菜もあるそう。うかがった日はビーツ4種類、なす6種類、バジル4種類、かぶ10種類など、えっ、このお野菜ってそんなに種類があるの?と驚くほど、1つのお野菜で何種類も栽培しているのよ。
ミホ まるで植物園ね!
ミワ 無農薬だし、大量生産もしていないからご苦労も多いそうなんだけど、シェフをはじめスタッフの方の野菜への愛情がすごくて。お野菜を見る目がやさしいのよ。
ミホ こんな愛情たっぷりに育てられたお野菜が美味しくないわけないわね。
ミワ “美味しい”という言葉を超える、驚きのディナーだったわ~。
目に美しく、大地のエネルギーを感じる野菜が主役の料理は、驚きの連続!
↑料理で使うハーブや花も植えられているハーブガーデン
ミワ 前菜の2品はファームバーで。ハーブの香りと美しい緑に包まれて、アペリティフをいただくこの幸せ♡
ミワ オレンジスパークリングワインといっしょに、先ほどファームで見たきゅうりやフルーツパプリカは、野菜を収穫するように手でいただくという演出。
ミホ ガーデンで前菜! あまりの気持ちよさに、アペリティフなのにガブ飲みしてしまいそうね。
ミワ ディナーは先が長いからはじめからがぶ飲みは危険よ(笑)。その後はレストラン「JIMGU」に移動して、いよいよ本格的なディナータイム。頂いたメニューを見ると「Mini Tomato」や「Beets」「Cucumber」など、ほとんど野菜名で書いてあって、野菜が主役なことを実感!
↑2種のメロンとミニトマトのサラダ
ミホ お皿の後ろにあるワインは何かしら?
ミワ 食事中ミホさんにお写真をLINEでお送りしたけれど、お返事は「そのワイン飲みたい」「そのワイン貴重よ~」ってワインに関するものがほとんどだったものね(笑)。
ミホ あらお食事の美しさもほめたたいたわ~。ワインと並ぶと、一枚のアートのように美しくてうっとりしちゃった。
↑ファームで採れた4種類のビーツも登場
ミワ 野菜そのままの色が鮮やかに引き出されているから一品一品がとてもキレイでしょ。驚いたのはその野菜の甘さと味の深み! トマトは甘いだけではなくて、懐かしいような土の香りがしたし、ビーツはこんなに甘いってはじめて気づいたわ。きゅうりは私の知っているスーパーで売っているものとは全く違う味わい。青々とした清涼感のある水分がじゅわ~と口に広がって、どれを食べても驚きと発見があるの。
ミホ そんなに奥深い味のお野菜って食べたことがないから興味津々。
↑4種類のソースによって、ナスの味がガラリと変わるから不思議
ミワ 中でも思わず声をあげてしまったのが、お野菜のブーケ。カラフルなソースと一緒に盛り付けられて登場してくるの。
ミホ かわいい♡ お野菜のブーケなんてステキな演出ね。
ミワ どのお料理にも野菜の味を最大限に引き出すように、やさしく寄り添うようなソースが添えられていて。タシさんの野菜への深い愛情が感じられるお料理ばかり。ディナー前にファームを見学させて頂いたから、どれだけ苦労してこの野菜が育てられたのかがわかると、感謝の気持ちがわいてきて。より味わい深いお料理に感じられたわ。
ミホ 食べる瞑想のようね。
ミワ ぜひこちらに来られる方は、ファームツアーへの参加をおすすめする。お料理を何倍も楽しめると思うもの。
日本一の目玉焼きと新鮮な野菜でエネルギーチャージ
↑朝から、新鮮なお野菜に手作りパンに3種の野菜&フルーツジュースほか、ボリューム満点の朝食
ミワ 夜は由布院の星空を見ながら、ゆっくり露天風呂に入って癒されまくったわ~。なんと、朝はお腹が空いて起きたのよ。
ミホ 夕食をあんなにたくさんいただいたのに?
ミワ 新鮮なお野菜はカロリーゼロじゃないかしら?(笑) 細胞が喜ぶお料理はすぐに消化してしまうのね。ハーブのお庭を散歩しながらレストランへ伺うと、待っていたのがこちらの朝ごはん。
ミホ 色鮮やかなお野菜のオンパレードね♡
↑野菜と目玉焼きとソースの彩りが美しい!
ミワ ファームでとれたサラダは、朝からエネルギーがわいてくるみずみずしさ! 3日に1度しか卵を産まないというアローカナの卵焼き 目玉焼きは、私的に日本一美しい卵焼きに決定!
ミホ 何から何までうらやましすぎる~。
↑ホテル内の高台からは、寒暖差の激しい日には眼下に雲海が見えるそう
ミワ ミホさん、次回は前もって体調を整えていっしょにいきましょうね。
ミホ でも、どれをとっても一級品だもの。お高いのでしょ?
ミワ そうね、正直言ってお安くはないわね。でも、今回、こちらに宿泊をして、ゆらぎ世代の私たちのは海外旅行もいいけれど、こういうリトリートで思う存分、心と体を癒すだけの休日がとても貴重じゃないかって思ったの。
↑ここで打ち合わせをする人もいるという、ワーキングガーデン。 開放感あるガーデン
ミホ わかるわ~。旅行に行ったのに忙しすぎて帰って来てからバタンキューってことあるもの。
ミワ 自然の中で、体が喜ぶお野菜をいただき、源泉を浴び、居心地のよいお部屋で何もせずにただぼ~っとする。これって究極の贅沢じゃないかしら?
ミホ 本当にそうね。家でぼ~っとしても癒されないし、私たち世代のリトリートにぴったりね。
ミワ でしょ? 今日からいっしょに「ENOWA YUFUIN」貯金をして、来年は2人で温泉&ファームリトリートしに行きましょうね。
ENOWA YUFUIN
住所 大分県由布市湯布院町川上 丸尾544
☎ 0977-28-8310
【ミホ&ミワ プロフィール】
ミホ
健康、医療、美容、ダイエットをテーマに雑誌やWEB、書籍で執筆するヘルスケアライター。ワインエキスパートの資格あり。20年以上前に温泉ソムリエを取得。温泉と酒と鉄道をこよなく愛す。特に秘湯が好きで、過去に「日本秘湯を守る会」のスタンプ帳を2回コンプリートした経験あり。最近ハマっているのは推し活(平野紫耀くん強火担・Number_i箱推し)。
ミワ
ダイエット、美容記事のほかトラベル媒体でラグジュアリーホテル、宿の取材歴多数。健康と美容と旅を追求するヘルスケア&トラベルライター。温泉好きが高じて温泉ソムリエを取得。温泉とマッサージと猫をこよなく愛し、いいお湯を求めて、全国の温泉を渡り歩く。
取材・文/山本美和