もちろん中には天賦の才に恵まれて、みじめでカッコ悪いことなど経験しないで、成功する人もいるけれど、たいていの人は、大きな失敗をしたり、うまくいかなくて悔しい思いをしたはずです。
かくいう一条も仕事中に男と別れるはめになり、涙や鼻水を垂れ流しながら原稿を描いた記憶があります。今思い出しても、初期の中島みゆきの世界そのままだけど、道に倒れて誰かの名前を呼び続けたことはないです!
アレコレみじめったらしい目にあったこともあるけど、過ぎてしまえばみんなかすり傷だし、私は健康で毎日ご飯も美味しいし、何より今は平和です。
だから、みじめでカッコ悪いということをそんなに否定しなくてもいいと思うよ。
そもそも「カッコ悪い」という言葉の定義が何なのか分かりにくい。何がカッコ悪いのかっていうデータがあるわけじゃないし、人によって感じ方は違うわけだから、私が見たら素敵で他の人が見たらカッコ悪いかもしれないし、完全な主観でしょ?ただの個人的な感想じゃないかな。
それで相手を「イケてない」って決めつけて笑ったりする人は、いつか誰かに笑われる人になるんじゃないかな。まさに《天に向かって唾を吐く》ような行為だと思います。要は人のこと、バカにして、マウンティングして優越感を持ちたいだけの小物です。だから、こういう《個人の感情と雰囲気だけで価値を測るような言葉》に翻弄されてはダメよってことですね。
昔は「ヲタク」なんて、カッコ悪くて、イケてない人の代表だったけれど、今やすっかり市民権を得ているように、価値は時代によって変わります。スティーブ・ジョブズだって、学生時代は、家のガレージでコンピュータばっかいじってるような“変人のヲタク”で、きっと女子にもモテなくて、悔しい思いをした…かは、分からないなあ(笑)。まあとにかくジョブズが、ヲタクだったのは事実のようです。
それが今やAppleの創設者となったわけだからね。カッコ悪いという言葉を気にしていると自分自身を見失うことになりかねないので、体裁を気にして大事なことを見失わないよう、他人の評価に振り回されないように気をつけましょう!!
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取材・文/佐藤裕美
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