みんな、よく「個性的になりたい」「個性がほしい」って言うけど、「個性」って、実はすごく厄介なものだと思う。
たとえば、よく例に出すのは明石家さんま。もし私が中学とか高校の先生で、さんまが私の生徒だったら、どう想像してもきっと私はさんまがウザくて嫌だと思う。多分クラスの人気者だろうけど間違いなくうるさいだろうし、いつも注目されたがって余計なことばかり言って落ち着きがなく、おまけにすぐ先生の上げ足とりそう…でも、彼が芸人になって、成功したから、今ではそれが個性になっているのよね。
スティーブ・ジョブスなんて、ミニマリストとか言われて、ほめそやされてるけど、ただのケチなんじゃないかと私は思ってます(笑)。
自己中でワンマンでとんでもなくめんどくさそうな人だけど、それだからこその傲慢な集中力でApple を作ったんだと思う。
すごいとは思うけど、一条はAppleが嫌いです。ジョブスの傲慢さがすごくとがってて、「これはこうやって使え!それ以外許さん!」みたいな感じで、カスタマイズが全くできない。俺様臭がプンプンして苦手だ。
ノーベル賞を取る人なんかもたいてい変人だと思う(笑)。
興味のあるところにしか目が向かなくて、それ以外は無関心。そういう偏屈な人じゃないと、ノーベル賞なんか取れないと思うのよね。家のことなんか、まったくやらないに違いないだろうから、きっと奥さんにインタビューしたら不満だらけに違いない(笑)。とか、勝手に想像してるだけだけどね。
でも、ノーベル賞をとれば、「あの人はすごい集中力だ」「研究一筋」って美談になったりして。人に嫌われる欠点もその人が大成すれば素晴らしい「個性」。
つまり、未熟な個性はただの迷惑で、花開いてこその個性です!
結論として、個性は身につけようと思って身につくものでなく、何かを極めることで得られるというもの。個性的になりたい人は、まずは他のことはどうでもいいくらいの勢いで、何かを極めて、その道の一流を目指してください。
って、相変わらず私っていつも「どうにかなりたいのなら努力しろ!怠けるな!!目標を間違えずに努力しろ!!」って言ってる…正論をぶちかますクソうるさいばばあって言われそうだけど、ギリギリセーフなのは漫画家として世間が認めてくれているからなのよね。
痛い若作りの格好をしようが、それこそ大ぶり袖を着ようが(まだ着てません)、世間は漫画家だから変わっているのだと、諦めてくれると思う。
漫画家➡常識知らずの変わった人
という定説が日本津々浦々にしっかり定着している昨今、面倒な言い訳をしなくて済むので、とっても便利で助かります。
「プライド」コーラス2009年11月号扉
取材・文/佐藤裕美
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「不倫、それは峠の茶屋に似ている
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