精神を安定させるだけでなく、体の不調を改善する効果も期待できるのが「ZEN呼吸法」。心と体の元気を取り戻したい人に。
椎名由紀さん
Yuki Shina
呼吸アドバイザー。心身の不調を江戸時代の禅呼吸法で克服した経験を基に「ZEN呼吸法」を確立
内臓ひとつずつを温める
イメージで腹式呼吸
ZEN呼吸法は江戸時代の禅僧・白隠の残した呼吸法を基に呼吸アドバイザーの椎名由紀さんが確立した方法。
「禅には“三調”という言葉があります。まず姿勢を調える調身、次に呼吸を調える調息。そしてこのふたつが調えば心も調うという調心です。ZEN呼吸法もこの3つの手順で行います。
ZEN呼吸法は深く長く吐く腹式呼吸で行います。横隔膜が大きく動くので酸素が十分に取り込まれて内臓も刺激され、血流がよくなり代謝も上がります。呼吸をする際に最も重要なのは、頭の上に体を元気にする“お薬バター”がのっていて、これが溶け出して臓器のひとつひとつが温まっていくイメージをすることです。これは禅の“軟酥(なんそ)の法”という方法。このイメージをするだけで、内臓ひとつひとつの機能が高まるんです。
実際私はこの呼吸法に出会った31歳のとき、15年間も苦しんでいた冷えや肩コリ、頭痛、便秘、めまい、倦怠感などの不調がすべて消えました。
呼吸によって精神を安定させる神経伝達物質セロトニンが増え、自律神経も調うので、ストレスに負けない心と体がつくれます!」
STEP.1 調身
正しい
姿勢をとる
女性に多いのが胸を張って腰を反らせた姿勢。一見、よい姿勢に見えますがこの状態だと横隔膜が動きにくく、呼吸が浅くなります。まずこの姿勢を改善。
1. 足を肩幅に開いて立つ。左右の足裏の、親指、小指、かかとの内側、外側の計8点に均等に体重をのせます
2. 膝を軽く緩めて、お尻を後ろに突き出し、尾骨に指先を当てて、そのまま少し上にずらして手のひらで仙骨を覆
うようにします
3. 仙骨の下方を前に押し出します。下腹部が締まるのを感じたら体の中心軸と下腹部がぶつかる部分に意識を向けて全身の力を抜きます
4. 最後に、胸を張りすぎて反っている肋骨を戻すため、肋骨の下に指を軽く当ててぐっと押し、肋骨を立てます。これで姿勢が調います
STEP.2の調息については次のページで。
STEP.2 調息
呼吸を
調える
次は呼吸を調える調息。腹式呼吸をしながら頭にのったお薬バターを内臓ひとつひとつに行き渡らせるイメージで行います。これを行うことで心も整います。
1. 「調身」で調えた正しい姿勢で立ち、膝を緩めます。頭の上にレンガ大の、体を元気にしてくれる〝お薬バター〞がのっているのをイメージします
2. 深い腹式呼吸で吐く息とともにお薬バターがトロ~ッと溶け、脳からのどを通って内臓ひとつずつへ浸透しながら下に落ちて行くのをイメージ。吐き切ったら鼻から吸い、再び吐く息でバターを下へ流します。最後に股間中央の会陰にバターを集めて体外へ流すのをイメージ。6分半ほどかけて行って。朝に行うのが特におすすめ
次回はストレス耐性を強化する「コーピング」をご紹介します。
撮影/天日恵美子 ヘア&メイク/木下 優(ロッセット) モデル/栗本奈央 スタイリスト/井川翔子
イラスト/内藤しなこ 取材・原文/和田美穂 撮影協力/アワビーズ