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十和子道第19回 「君島家の夫婦円満、家族仲良しの秘訣。それは…」

君島十和子

君島十和子

君島十和子. 1966年生まれ。モデルとして活躍後女優に。1996年、結婚を機に芸能界を引退。現在は自身のコスメブランド「FTC」のクリエイティブディレクターとして数々のヒットを生み出している。2女の母。

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取材期間1年以上、収録写真は約400点。自宅で撮影し、オール私服で登場した〝ライフスタイルブック〟の決定版、それが『十和子道』。発売されるや瞬く間に大増刷され、なんと6刷を記録した大ヒット本です。その本のもととなった連載(過去にOurAgeにて配信されたもの)の一部をお見せします!

「十和子道」 第19回

「君島家の夫婦円満、家族仲良しの秘訣。それは…」

 

家族水いらずで、おいしい食事をいただくこと。

それは今の私のいちばんの楽しみであり、生き甲斐であり、幸せでもあります。

 

仕事のお付き合いでの会食も多く、何より元来、食いしん坊ですから外食も大好きです。

お店でいただくごはんは、日々の家事から解放される主婦のお楽しみでもありますし、家庭ではお目にかかれないゴージャスなカトラリーやテーブルウェアなどプロフェッショナルなサービスを堪能し、シェフの「技」に舌鼓を打つ至福な時間と空間でもあります。

 

けれど、私がいちばん好きな食事は、自宅で食べる地味だけれど心が温まるごはん。

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「おいしいね」を何度も何度も言いながらいただくごはんの、なんとおいしいことか。

ひとりで食べる食事がいまひとつ味気ないのは、「いただきます」と「おいしいね」を言い合う相手がいないからだとわかりました。

そして夫婦円満、家族仲良く暮らせているのは、家族でいただく食事のおかげもあると思っています。

 

職 場や学校で嫌なことがあったり、夫婦や親子で小さないさかいをおこしたり。

そんなことは日々の生活の中で当たり前に起こることです。

けれど、どんなにぎく しゃくした空気でも、ときに険悪で剣呑であっても、ごはんのときは「いただきます」と声を出して手を合わせるのが、君島家のルールです。

主人が「絶対!」 と決めた約束です。

沈黙したまま、不機嫌なまま、仏頂面でごはんをいただくことはルール違反。なにはともあれ、個人の事情や感情はいったん脇に置いて、き ちんと挨拶してからいただく。

 

主人が大切にしているもの、守ろうとしているものが言葉ではなく家族に沁みていくようで、私は素敵な約束ごとだと思っています。(まあ、夫婦ゲンカをしたときなどは、若干歯をくいしばり気味に、「いただきます」を搾り出しているようですけれど(笑)。でもごはんをいただいているうちに なぜかリセットできちゃうんですよ。単純なんでしょうか)

 

できることなら1日3食自分が手作りした料理で、家族の胃袋を満たしてあげたいと思いますが、仕事を持つ身ではそうもいかない現実があります。

スケジュール上、自宅で夕食の支度ができない日の夕方は、娘の顔が浮かび働く母としてのジレンマに心がひりひりと痛みます。

 

ここ数年は、仕事帰りにスーパーに飛び込んで買い物をし、大慌てで帰宅して、「20分で夕食を準備!」というのが、私のお決まりになりつつあるパターン。

君島十和子 夫婦円満の秘訣

(会社から近い行きつけのスーパーマーケット「紀ノ国屋インターナショナル」にて)

 

凝ったお料理は休みの日以外は、なかなかできなくなりました。

主婦業を存分にやらせてもらっていた頃に比べると、作れるお料理は限られていますが、それでも時間や予算や体調…いろんな制約の中で、「そのときできる一番いい食事を家族に作る」と、決めています。

 

「いい食事」とは「高級なレストランでの外食や、徹頭徹尾オーガニック素材を使うことや完璧なスローフード」という意味ではありません。

「心のこもった食事」という意味です。

 

休日など時間があるときは、ふだんの不義理(?)をまとめて果たそうとしているのでしょうか(笑)、料理のとき以外でも、キッチンにいることが多い気がします。

ミルクティーを立ち飲みしながら、ダイニングにいる家族をぼーっと眺めていたり。

主人に「冷蔵庫の前にいられると、邪魔、邪魔!」なんて言われても決してどかず(笑)。

君島十和子

 

昨日は次女とふたりでマカロニグラタンを作りました。

娘が学校の調理実習で習ってきたというので、さっそくおさらいをかねて、お手並み拝見。

 

これがけっこう本格的で、「まずはルーのホワイトクリームから作ります…えっとバターを溶かして、粉をふるいにかけます」なんて言われて、ちょっとびっくり。

ベテラン時短主婦の私の場合、マカロニグラタンといったら、鶏肉、タマネギ、マッシュルームをバターでささっと炒め、そこに小麦粉を振り入れ、具材全体に粉がなじんできたら、牛乳を少しずつ差し入れていくという、具を炒めながらルーも作るという一石二鳥方式。

 

 

もちろん小麦粉も牛乳の量も按配をみながら「適宜で」というやり方です。

それにひきかえ、娘のマカロニグラタンといったら、その調理の工程の多さと、作業の丁寧さに思わず感心しきり。

「はい、小麦粉を粉ふるい器にかけて…」「え、わざわざふるい器で?」「そう、ふるい器でっ」と、きりっと言われたりして。

 

 

少々面倒くさかったりもするのですが、でもきちんとした手順で丁寧に作った料理は、大きなミスも出ず(調整がしやすいんですね)、いかんせん見栄えがよく、思いのほかおいしくできあがる。

ときにはこんなふうに真剣にレシピを見ながら、手間暇かけてお料理するって大事だなと、主婦歴21年目にして、初心にかえった次第です(笑)。

 

 

とはいえ、娘は料理1年生ですから、「手際」に関しては、まだまだ。

タマネギの薄切りも、慎重にゆーっくり、ゆーっくり。

 

「それじゃ、日が暮れちゃうわよ。しかも薄切りってあなた…これを薄いとはいいません」なんて、心の中でつぶやいたり、ついつい口に出して言ってしまったり。

娘とあーでもないこーでもないと言いながら、キッチンでにぎやかに料理する時間は本当に楽しいものです。

 

 

私が実家で暮らしていた間は、母と台所に一緒に立って料理をするなどしたことがなかったので、現在の母娘でキッチンに立つというのはとても新鮮でした。

またひとつ日々の生活の中のお楽しみが増えたことに感謝です。

 

 

一方、私がひとりでいただく昼食などは、うって変わって時短中の時短メニューです。

でも手は大いに抜きますが「気」は抜きません。

 

 

自分ひとりだと、ついつい「コンビニのサンドイッチやおにぎりでいいかな」と、なりがちです(その気持ちはよくわかります)。

でも、私は自分に対しても、今ある状況の中で自分にとっての最善のごはん選びをしたいと思っているのです。

 

 

例えば、調理する時間も外食する時間もない日は、「おにぎりとお味噌汁だけのお昼ごはん」です。

 

レトルトの発芽玄米ごはんに、じゃこやごまや梅干や昆布の佃煮やお漬物を刻んだものをまぜて(そのとき冷蔵庫にあるもので)、キュッキュッと握り、いただきものの丸山(海苔店)の海苔を豪勢に一枚まるまる使ってくるんで、おにぎりを作ります。

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汁物は昨日のお鍋に使った野菜のあまりで作ったお味噌汁に、卵を一個落として半熟でいただく。

これだけでも、コンビニのおむすびよりはきっとおいしい、ずっとやさしい昼食になります。

 

いよいよ時間がないときは、納豆(1~2パック)とお味噌汁だけのときもあります。

 

納豆は黒豆、大粒、小粒…なんでも好きですが、今は大豆の味が濃くひきたつ、ひきわり納豆がお気に入り。

すりごまをどっさりと大匙スプーン1杯入れて、七味も少々。

よく噛んで味わっていただきます。(お醤油の代わりにごま塩でも美味)

 

テレビの情報番組でやっていた、「小さじ一杯のお酢を入れて混ぜるとふわふわの泡が立つ」という裏技もさっそく試してみました。

確かにクルクルと混ぜるとあっという間にほわほわの泡がたち、納豆のにおいが低減され、あっさりとしたお味になります。

 

余談ですがテレビの情報番組は、北大路魯山人が提唱した「納豆の練り方作法」(右に200回左に200回も練るらしい)は、納豆自体がつぶれてしまい、納豆メーカーさん的にはあまりオススメはできないともいっていました。

うーん、なんか奥深いです納豆道(笑)。

あと、ある女優さんが役作りで体重を落とすときによく召し上がっていたという、切り干し大根も使い勝手のいい、だけど信頼できる〝時短食〟の友です。

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(この日、キッチンから出して見せてくれたオーガニックの切干大根)

 

 

いつものサラダにさっと戻した切り干し大根をまぜて、ドレッシング代わりにポン酢でいただく。

生の大根よりこりこりとした歯ごたえがあって、食物繊維が水分を吸収し、満腹感もあり、ダイエットにもオススメです。

(注・切り干し大根はひと煮立ちさせて水で戻す。煮込んで柔らかくしないこと)

 

 

そんなちょっとしたひと手間って、きっと気持ちや愛情の証です。

ささやかでもひと手間かけられたごはんは、おいしいし健康的。

たかが納豆1パックでも、レトルトのごはんで作ったおにぎりでも、おいしくてなんだか幸せを感じるんです。

 

 

 

我が家のメニューで、季節を問わず頻繁に登場する食材はなんだろう…と考えみたら、発酵食品を除けばこんにゃく、レンコン、ごま…。

無骨で朴訥なラインナップに「地味だわ…」と、我ながら思わず苦笑してしまいました。

 

寒い季節には、何度となく食卓にあがるのが「こんにゃく豚汁」です。

ネギ、ニンジン、ゴボウ、レンコンなどの根菜類に豚バラ肉とたっぷりのこんにゃくが入った大人気のメニューです。

 

 

「肉よりこんにゃくのほうが多いじゃない」と以前、母に笑われたことがあるくらい、こんにゃく優勢の豚汁ですが、低カロリーで砂だしといわれるデトックス効果もあり、ぷるぷるの食感は大いに私好み。そしてなにより、こんにゃくがほっこりやさしく長くお腹を温めてくれる気がするんです。

だから、寒い冬、前の晩に作った豚汁は必ず翌朝のテーブルに上がります。

子どもたちが学校についてもポカポカのお腹でいられますように、と、大きなお鍋にどっさりと作るのも、我が家の豚汁のお約束。

 

「レンコン」は存在感のある脇役として、豚汁やカレーや炒め物など、いろいろな料理によく登場しますが、主役はこれ!

「レンコンのきんぴら」。

 

我が家のきんぴらは、レンコンだけで作る厚さ8ミリの硬派なツワモノ。

バリバリと噛み締めていただくときの爽快感といったら、意外かもしれませんがストレス発散になります。

お味もさることながら、ハードな噛み応えを味わいたくて作っている感もあるくらい(笑)。

れんこんきんぴら

嫌なことがあった日はきんぴらを作って、噛み締める。

咀嚼回数も増え、フェイスラインも鍛えられるし、食物繊維も豊富に取れて…美と癒しの一石二鳥フード、かな。

 

私の「ごま」好き歴はかれこれ、きっと40年以上。

年季と気合の入ったごま愛好家です(笑)。

私にとってごまは“隙あらば、かける”もの。おうどんや味噌汁はあたり前で、納豆、サラダ、冷奴、ごはん、お漬物、ヨーグルト…

なんにでもかけていただきます。しかも大量に(大匙1が最小単位です)。

スーパーに行くとついつい手に取り、ましてや見たことのない銘柄のものだったりすると人様から見たら、「一家庭でこんなに消費できるの?」と思われるほど購入してしまい、これはもはや習性かもしれません(笑)。

そんなふうに、今も相変わらず衝動買いを続けているのですが、とにかく大量消費するので、「買いすぎて余らせてしまう」ことはありません。

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(購入回数が一番多いのは「オニザキのつきごま」)

 

食生活で劇的に変わったのが「オイル」の摂り方です。

40代にはいってから、それまで「太る元凶」と、かたくなに避けていたオイルを積極的に摂るようになりました。

 

 

 

脂質は熱の発散を防いで体温を保ち、ビタミンの吸収を助け、ホルモンをつくる材料や脳の構成物質としての重要な役割もあるとか。

50歳になり、しみやしわはもちろんたるみやくすみなど、いよいよ抜き差しならない肌の事態を痛感する年代となりました。

これからの私にとって、良質なオイルは何より必要だと実感しているところです。

 

取材・文/稲田美保 撮影/冨樫実和、本多佳子 ヘア/黒田啓蔵

撮影協力  紀ノ国屋インターナショナル

*オールカラー、自宅で撮影、オール私服、収録写真400点

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