骨格を整え、眉まわりの顔の左右差を整えた前回。ここで気になってくるのが、顔の下の部分。特にあごの周辺は、たるみや二重あごが年々、存在感を増してきます…。
「首のたるみ対策の顔ピラティスは、第7回の“エリマキトカゲ・エクササイズ”でもやりましたね。今回は、さらにステップアップ! 舌の筋肉を鍛えることで、あごのまわりを引き締めていきましょう」
なんと舌の筋肉が、二重あごなど、あごのたるみに関係していたとは!
「そうなんですよ。舌の骨につながる筋肉は、総称して舌骨筋(ぜっこつきん)と呼ばれます。その中でも、あごの下にある舌骨上筋群(ぜっこつじょうきんぐん)が衰えてしまうと、顔と首の境目に脂肪がたまったり、たるんだりする原因になります。今回のエクササイズもとても簡単! 舌を上→右→左→と動かすだけで、あごのまわりがすっきりとしていきます」
まず「姿勢を正す」&「頭蓋骨を整える」ところからスタート!
「エクササイズを始める前に…」とNORIKOさん。「もうこの連載を読んでくださる方にはおなじみですよね(笑)。第8回で解説している正しい姿勢で座り、さらに第1回の、前頭骨エクササイズで頭蓋骨を引き上げておきましょう。特に今回の舌のエクササイズは、頭蓋骨の位置を正しておくのがとっても大事。実は頭の骨の位置が下がっているだけでも、どんどん二重あごやたるみができてきます。まずは前頭骨をしっかりと上げて下さいね」
準備が整ったら、舌のエクササイズをスタート!
舌を上方向へと出しながら、舌の付け根の筋肉を鍛える
1. あごを軽く上げ、目線を上方向へ向ける。
2. 舌の根元を意識しながら、舌全体を上へ巻き込むようなイメージで口から出していく。
3. 舌の先が、NORIKOさんのように上を向き、同時に舌の付け根部分にも力が入っていると感じられればOK。鏡で確認すると、二重あごでダルンとしがちなあごの下、そして首のラインが伸びているのがわかるはず。
右→左→前へと出し、さらに舌の筋肉をエクササイズ!
1. 付け根から舌を右側に出す。
2. 目線は舌と同じ方向に、でも頭と首の位置は正面を向く。
3. おでこにシワを寄せないように。あくまでも舌だけの力を使って動かす。
1. 同じく、舌を左側にも出していく。
1. 最後にあごを少し引き、顔を正面へ。喉の奥から真正面に向かって、舌を出していく。
2. 舌の先端は、NORIKOさんのように、巻き込むようにして少し上げる。
舌エクササイズは二重あご・たるみ防止だけではなく、口呼吸の予防にも!
シンプルながら、じわじわと効いてくる舌のエクササイズ。自分なりのペースで動かしていくと、あごのまわりがポカポカと温かくなってくるのも感じられます。
「舌が思うように口から出せない、と思う人は、舌の筋肉が弱っている証拠。少しずつ続けていくうちに、滑らかに出せるようになります」
そして、こんな舌の筋力の測定方法も教えてくれました。
「口を閉じてみてください。その際に、舌先が軽く上あごに触れるのが自然な筋力を保っている舌の位置です。でも筋肉が弱まると、口の中で舌がだらんと垂れ下がり、一緒に口もあいてしまう。その結果、口呼吸も招いてしまうんですね。
口呼吸は外部からの雑菌やウイルスをそのまま体内に取り込むので、風邪をひきやすいなど、健康にもかかわってきます。そして口呼吸でいつも口が半開きになっているのも、二重あごが加速する原因のひとつ。意識して、舌を自然な位置に戻していきましょう! 舌のエクササイズで素敵なフェイスラインとヘルシーな体、両方をつくりたいですね」
引き締まったフェイスラインを手にしたならば、鎖骨まわりもきれいに見せたい!
というわけで、次回は大人のヘルシーなデコルテつくっていきます。
【教えていただいた方】
スペイン・バルセロナ在住。骨格矯正メソッド・ヤムナボディローリングとピラティスが専門。モットーは、アラフィフから健康でいるための体作り。Instagram、YouTubeを中心に、大人のボディ&フェイスを快適に整えるエクササイズを発信している。書籍『更年期世代の不調を取り去る 大人ピラティス』(KADOKAWA)も好評発売中。
撮影/藤澤由加 取材・文/石井絵里