「人生100年時代」と言われるようになった昨今、100歳まで生きるのが当たり前の時代になりました。長寿化した現代において、定年のその先の老後について、お金に苦労しないための備えは出来ているでしょうか? 前回に引き続きお金のエキスパート、井戸美枝さんに、「幸せ定年夫婦」になるための今からできる準備についてお聞きしました。
ファイナンシャルプランナー(CFP)
社会保険労務士
井戸美枝さん
社会保障や身近な経済問題について
の相談のほかに、講演、 執筆、テレビ
・ラジオ出演も。暮らしに役立つ情報
のわかりやすい説明が好評。近著『定
年男子定年女子』(大江英樹 氏と共
著・日経BP社)、『身近な人が元気な
うちに話して おきたいお金のこと介護
のこと』(東洋経済新報社)も人気
〝人生100年時代〞の「定年夫婦の新常識」に乗り遅れるな!
まずは下のチェックリストにお答えください。YESはいくつあるでしょうか?
お金に困らない「定年夫婦」への常識チェンジ!
4つのポイント
チェックテストはいかがでしたか? YESが多い人ほど、「変化」に適応しやすいタイプ。このチェックのポイントから4つを、井戸さんが詳しく解説。しっかり押さえて、今どき「定年夫婦」
へ、マインドシフトしましょう!
◆1 「早めのリタイア」は時代遅れ
ほんの10年くらい前までは「早くリタイアして、元気なうちに老後を楽しもう」というのが理想でした。
今はどうでしょう? 定年を迎えた60歳から7、8年たっても、まだ皆さん十分元気。しかも、さっさと働くのをやめて遊びはじめたら、よほどの富豪でない限り、すぐに資金が尽きてしまいます。今後はインフレも心配とか。少しでも長く働いて、手元の貯金を増やしておくことが大切です。
◆2 マネー情報更新していますか?
おしゃれなアワエイジ読者の皆さん、メイクやファッション情報は更新していますよね。では、お金情報は? お金情報は、去年、今年もどんどん変わっています。特に「定年夫婦」に覚えておいてほしいのは、チェックにも入れた「iDeCo(個人型確定拠出年金)」と、「つみたてNISA」。
年金支給が先になることを見越して、定年後(老後)に使える資産作りを奨励する意味もこめて作られたのがiDeCo。60歳まで解約できませんが、払い込んだ分が所得税から控除され、運用時の利益も非課税になるため、ダブルで節税! めっちゃお得です。「つみたてNISA」は、投資初心者でもチャレンジしながらお金が貯められる制度。従来のNISAより、期間も20年と長く、その分積み立て金額も多くなります。利益は非課税です。
こうした制度を利用して、上手にお金を「育てていく」ことも考え、いっそう長く続く生活の安定を目指しましょう。
注目の「定年夫婦」向け金融商品をチェック!
NISA・つみたてNISA・iDeCoの比較
NISA
投資可能期間/2014年から2023年まで
税制優遇(拠出時)/─ ─ ─ ─
税制優遇(運用時)/非課税(5年間)
税制優遇(受取時)/─ ─ ─ ─
投資対象/上場株式、投資信託など
加入資格、対象年齢/その年の1月1日時点で20歳以上の日本居住者
年間限度額/120万円
途中引出/いつでも可
申込先/銀行、証券会社など
つみたてNISA
投資可能期間/2018年から2037年まで
税制優遇(拠出時)/─ ─ ─ ─
税制優遇(運用時)/ 非課税(20年間)
税制優遇(受取時)/─ ─ ─ ─
投資対象/投資信託(一定の要件あり)
加入資格、対象年齢/その年の1月1日時点で20歳以上の日本居住者
年間限度額/40万円
途中引出/いつでも可
申込先/銀行、証券会社など
iDeCo
投資可能期間/限定なし
税制優遇(拠出時)/全額所得控除
税制優遇(運用時)/ 非課税
税制優遇(受取時)/公的年金等控除、退職所得控除
投資対象/投資信託、預貯金、保険商品など
加入資格、対象年齢/20~59歳(厚生年金加入者は20歳未満も可)の自営業、学生、会社員、公務員、専業主婦など
年間限度額/14万4,000円から81万6,000円
途中引出/原則60歳まで不可
申込先/銀行、証券会社、保険会社など 国民年金基金連合会のホームページに記載
iDeCo専門相談窓口も!
今、旬のiDeCoは、注目度も大。仕組みをよく知って、 活用したい。2017年秋にはiDeCo専門の個別相談窓口も登場して話題沸騰。
りそな銀行「つみたてプラザ」東京八重洲と大阪枚方の計2店。加入手続きから運用までじっくり相談できる。
*予約優先http://www.resona-tb.co.jp/401k/kojin/tsumitateplaza/
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◆3 今の60歳は「気分年齢48歳」で
80 歳だと思っていた寿命が100歳に。20年延びたので、「老後」も20年先送りして、「定年」時のマインドも変えなくては、です。社会的な年齢感を20歳若返らせたら、60歳も〝40歳〞。あるいは現実の体力を考えて8掛けの〝48歳〞に。そんなイメージでちょうどいい。今50歳の人も、40歳の人も、今から「2割若いマインド」でいるといいですよ。遊ぶことも、働くことも、チャレンジすることも「もう○歳だから」という言い訳は必要なし。どんどん動いて、年をとるのを忘れましょう!
◆4 「定年夫婦」は夫婦観も更新!
定年夫婦、メリットも多いけれどリスクもあります。出かけることが減り、二人で家に閉じこもっていると、イライラもつのるし、柔軟性もなくなります。どちらかが先に旅立ったときに、影響が大きすぎるのも問題です。
「定年夫婦」への移行は、生活、経済、交友、どの面においても、これまでと違う新たな関係を作るチャンス。二人で働くのもいいし、夫が家にいるのもいい。夫婦の関係がフレキシブルだと、長い時間も新鮮な気持ちで過ごせます。定年後の40年、明るくつき合っていきたいものですね。
続きは単行本で…
『100歳までお金に苦労しない「定年夫婦」になる!』
現在好評発売中の単行本では、井戸さんから、「定年夫婦」に向けて、もっと詳しく「必要なお金を知る」「貯める」「増やす」などの具体的なアイデアをご紹介。年金やプチ投資のお得な情報や、上手なマネー計画の立て方、人生100年時代の夫婦像など、今知りたい情報が満載です。40代、50代、60代すべての「定年夫婦」必読の一冊!
井戸美枝 著・集英社 1,300円+税
購入はこちらから、
http://books.shueisha.co.jp/CGI/search/syousai_put.cgi?isbn_cd=978-4-08-333153-4&mode=1
また、著者井戸美枝さん登場の、本書刊行記念セミナーも、開催中です。詳しくは、下記記事内のリンクよりご覧ください!
※イベントはすでに終了しました
https://ourage.jp/column/topics/133663/
撮影/露木聡子 ヘア&メイク/yum(i Three PEACE) 監修/井戸美枝 写真提供/iStock.com/calvste, /Kerrick