アラフィフ世代はスマホ&タブレットをどう使ったらよいのか②
東京出張の夜。友人と食事に入った日本料理店のカウンターの奥で、女性が一人で食事しながら焼酎を飲んでいた。キャリアウーマン、それも管理職のオーラ。ヘアもファッションも決まっている。
半年前に東京から福島に移住して田舎生活を送っている私は、同じ年代のその女性に、かつて東京でばりばり働いていた自分を重ね合わせた。こういうタイプの女性は、田舎ではまず見かけない。
が、しかし。
洗練された雰囲気でありながらも、残念ながらその女性はちっとも素敵ではないのだ。むしろその逆で、非常に「残念な」感じなのである。
その理由は、スマホ。
一心不乱という言葉がぴったり。スマホにかじりつき、ひっきりなしに何か入力している。時々飲み物を口に入れ、料理をつまみ、その間もずっとスマホ。入力が妙に早い。
そんなに夢中になって、いったいスマホで何をやっているのだろう。
チラ見すると、特徴あるあのキャラクターが見えたので、「LINE」だとすぐにわかった。友達とのLINEでの会話にすっかり夢中になっているようだ。
たしかに、夜の飲食店はカップルやグループばかり。女性が一人で食事するのは勇気がいるし、居心地が悪い。スマホの向こうの友達は、そんな彼女の状況を救ってくれる救世主のようなものかもしれない。私自身も似たような経験があるのでよくわかる。
でも改めて客観的に見ると、いい年齢の女性が背中を丸めて食事しながらスマホに夢中になっている姿というのは、決してよろしくない。
よろしくないどころか、かなり悪い。
ずばり言ってしまえば、美しくないのだ。
「エレガント」とか「グラマラス」という言葉とは真逆。たとえ彼女がファッション雑誌から出てきたような美人だったとしても、それを一瞬でぶちこわしにするほどの破壊力がある。女性から見てもそうなのだから、男性目線ではなおさらだろう。
若い女性が同じことをしていてもそんなに気にならないのに、アラフィフだと違和感があるのはなぜだろうか。
こういうことかもしれない。
20代、30代の若い女性と違って、アラフィフ女性はいろいろと人生経験を経てきたぶん、広い視野でものごとを見られるはずだ。目の前60度しか見えない若い人に、「顔を上げてごらん、もっと広い視点を持ってごらん」と諭す立場なのである。目尻のシワが化粧でごまかせなくなり、頭のてっぺんから白髪が次々に生えてくる世代だからこそ、まわりを見渡す度量の広さと、余裕の笑みがほしい。それこそが若い女性がひっくり返っても真似できない大人の魅力というものだろう。
モバイルやSNSには中毒性があり、ついつい使いすぎてしまう。過ぎたるは及ばざるがごとし。小さな画面にあまり夢中になりすぎると、他を寄せ付けないオーラが出てしまうので注意が必要だ。
そんな面倒なもの、やらないでおこうと思う人もいるだろう。でもこの時代、デジタルを避けて生きていくのは難しい。あまりにアナログすぎるとおばさん扱いされてしまうこともある。それはそれでちょっとつらい。
では、私たちアラフィフはどんなふうにデジタルやモバイルとつきあっていったらいいのだろうか。