いし こんにちは。ぐうたらライターいしまるこです。
前回に続き根来教授が最新医学に基づいた「視床下部を鍛える根来式脳トレ」をレクチャーしますよ。
根来 こんにちは、根来秀行です。今回は視床下部の睡眠・覚醒中枢を整えていく眠り方を伝授します。
いし 視床下部には睡眠と覚醒の中枢があるんですね。
根来 視床下部での睡眠と覚醒の切り替えをスムーズにするには、自律神経とも連動している体内時計を整えることが大切です。
いし 睡眠と覚醒のリズムは体内時計が調整しているんですよね。
根来 はい。睡眠と覚醒によるリズムを調整しているのは、ひとつひとつの細胞に備わっている時計遺伝子ですが、1日に11分ほどの微妙なズレが生じます。
このずれを修正する標準時計の役割を担うのが、視床下部のすぐそばにある「視交叉上核(しこうさじょうさかく)」です。左右の視神経が交差するあたりに位置します。
いし 視交叉上核は眉間の奥のほうにある約1万個の神経細胞ですよね。以前、根来教授に習いました。えっへん。
根来 さすが、よく覚えていましたね! 目から入った朝の光が視交叉上核から脳幹にある松果体(しょうかたい)へと伝わると、体内時計がリセットされ、替わりに15〜16時間後に、眠りを誘い、成長ホルモンの分泌を促すメラトニンが分泌するようセットされます。
how to sleep
早起きしてすぐ陽の光を浴び、
夜はデジタルデトックス!
いし 視床下部の睡眠&覚醒中枢を整えるには、サーカディアンリズム(概日リズム)を整えることが大前提ということですね。そのために気をつけることは?
根来 朝6〜7時に起きてすぐ朝の光を浴びると、21〜22時頃にはメラトニンの分泌が始まり、眠くなってきます。そのまま23〜24時に眠りつけば、成長ホルモンの分泌のピークとも重なり合い、相乗効果で質の高い深い眠りが得られ、朝から元気に脳が働きますよ。
いし 休日は昼過ぎまで寝ていたいなあ。
根来 朝10時過ぎに起きるとメラトニンの分泌が激減し、陽の光を浴びても体内時計がリセットできないので、休日も朝から活動しましょう。
いし はぁ〜い。
根来 あと、夕方から夜にかけて強い光を浴びると、体内時計が後ろにずれて眠くなる時間が遅れます。とくにスマホやパソコンは、ブルーライトが視神経を刺激してメラトニンを抑制するだけでなく、電磁波がメラトニンを破壊します。交感神経も刺激されて寝つきを悪くしますから、睡眠2〜3時間前にはそれらの電源はすべて落とすことをすすめます。
いし 夜の原稿書きやメールチェックは御法度ってことですね! でも根来教授も仕事で夜中にハーバードとのやりとりをすることが多いんじゃ……。
根来 そこは悩ましいところですが、そんな時は翌日にいつもより早めに眠りについて、起きる時間は合わせます。また、そんな時ほど3食はしっかりとることで、できるだけサーカディアンリズムをずらさないで睡眠負債を返済するようにしています。
それではみなさん、今日も素敵な1日を!
(次回のテーマは「脳内たんぱく質がパフォーマンスを上げる!」です。お楽しみに!)
取材・文/石丸久美子 撮影/森山竜男 イラスト/浅生ハルミン