「サラダよりスープが100倍強力?!」
聞き捨てならない言葉に、どういうことか伺ってみると。
「がんをはじめ、ほとんどの病気に関わるのが、活性酸素です。人間の体には、その活性酸素を消去する『スカベンジャー』という抗酸化物質を作る働きがあるのですが、加齢とともに衰えます。
それを外から補わないといけないわけですが、野菜はファイトケミカルという、抗酸化物質の宝庫です。スープで摂れば、これがより効率よく摂れて、生活習慣病などの病気を防ぐことができるのです」
そう話すのは、がんの権威、前田浩先生です。
では、どうしてスープの方がいいのでしょう?
「ファイトケミカルは、野菜の細胞内にあります。でも細胞はセルロースに囲まれているので、人間が野菜をよく噛んだくらいでは、大半の細胞壁は壊れません。
ところが、野菜をゆでると、細胞壁はあっという間に壊れ、ファイトケミカルはスープに溶け出します。実験では、生野菜をつぶしたものより、野菜を煮出したスープのほうが、10~100倍も抗酸化作用が高かったのです」
前田先生は、熊本大学名誉教授で、がんの治療や予防、フリーラジカル(特に活性酸素と一酸化窒素)の研究をしていらして、『抗がん剤の世界的権威が直伝! 最強の野菜スープ』という著者もある方なのです。
その最強野菜スープの作り方を聞いてみると。
「作り方は、季節の野菜を中心に6~10種類、30分煮るだけです。炒めてから煮るとコクが出ます。基本のスープには味付けはしませんが、調味料やスパイスを加えて、飽きないようにしてもOKです。昆布やシイタケ、鰹節、鶏肉などで出汁をとってもいいですね。また、野菜が切ったまま入るごろごろスープのほかに、ハンドブレンダーやミキサーでなめらかになるまでかくはんしてポタージュにすると、口当たりもよく、するする飲めます」
「野菜は95~100℃のお湯で5分ほど煮ることによって、細胞壁が壊れ、細胞内の成分の80%がスープに溶け出します。つまり、野菜は加熱してスープにしたほうが、栄養素の体への吸収が格段に高くなるのです」
「また、ビタミンCは加熱すると壊れると言いますが、単体では加熱に弱いけれど、ビタミンEやファイトケミカルなど他の抗酸化物質と共存していると、酸化から守られ、加熱しても分解されずに大半が残ります」
家にある残り物の野菜や、好みの野菜を入れてもOK。
煮るとかさも減るからたくさん摂れるのもいいですね!
そんな体にいいことづくめのウェルネス「野菜スープ」。
フードコーディネイターで管理栄養士の美才治(びさいじ)真澄さんは、
「365日飽きずに食べるには、野菜以外の材料や調味料もプラスするといいですよ」と提案しています。
「6~10種類の野菜を使いましょうと言った時に、家にある残り野菜でいいという楽な気持ちで作ったほうが、長続きしますよね」
確かに、肉や魚介など入れると、1品でバランスおかずになっちゃうし、ある野菜を入れたら、余っているものを無駄にしないでいいですよね。
そんな美才治さんのレシピをひとつ、ご紹介します!
これは、豚肉団子入り野菜スープ。
豚肉は、たんぱく質のほか、糖代謝に必要なビタミンB1も多く含有。クレソン、にら、万能ねぎ、香菜には、クロロフィルやビタミンA B Eも。
作り方は、
1.豚肉150gに酒(大1)と片栗粉(大1)をもみこみ、一口大にざっくり丸める。
2.親指大のショウガは皮ごと細切り、にら(10本)と万能ねぎ(10本)の根元、香菜(1束)の茎は小口切り、香菜の葉、にら、万能ねぎ、クレソンはざく切り。ミニトマト(8個)はへたを取る。
3.鍋にごま油(小1)を入れて熱し、1を転がしながら炒める。両面が色づいたら、ショウガ、にらと万能ねぎの根元、香菜の茎を加えてさらに炒める。
4. 3にかつおだし(400ml)とオイスターソース(小1)を加え、煮立ったらクレソン、残りのにら、万能ねぎ、香菜の葉、ミニトマトを入れ、5分ほど煮る。
確かに、これにいろんな野菜を足してもよさそうです。
野菜スープはコンソメ味になりがちですが、かつおだしにオイスターソースが新鮮で美味しい!
「ナンプラーやオイスターソース、味噌、バジルペーストなど、出汁に何かを加えて味変すると、飽きずに食べられたりしますよ」
前田先生のウェルネス「野菜スープ」と、アイデア豊富な美才治さんの、飽きない+食材&調味料のおいしいスープのレシピをいろいろ知りたい方は、
MyAge2020冬号の、ウェルネス「野菜スープ」をチェックしてみてください!
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撮影/三木麻奈 料理/美才治真澄 スタイリスト/西崎弥沙 取材・原文/和田美穂