【教えていただいた方】
富永ペインクリニック院長。医学博士。日本麻酔科学会専門医。 1993年より聖隷浜松病院などで麻酔科医として勤務、2万人を超える(通常1日2名のところ、1日12名)臨床麻酔実績を持つ。2008年愛媛県松山市に富永ペインクリニックを開業。痛みの専門家として全国でも珍しい性交痛外来を開設し、1万人超のセックスの悩みをオンライン診断している。性に特化したYouTubeチャンネル『女医 富永喜代の人には言えない痛み相談室』は、チャンネル登録者数28万人、総再生数は6600万回超。SNS総フォロワー数44万人。真面目に性を語る日本最大級のオンラインコミュニティー『富永喜代の秘密の部屋』(会員数1.6万人)主宰。『女医が教える性のトリセツ』(KADOKAWA)など著書累計98万部。
「年のせい」「手の使いすぎ」と言われても、あきらめてはダメ!
ペットボトルのフタが開けにくくなった。
最近、急に指輪が入らなくなってきた。
朝起きると、手指がこわばっていることが多くなった。
あなた自身、またはあなたのまわりで、そんな手指に関するボヤキが増えていませんか?
これ、40代以降、特に更年期の女性にとても増える症状です。
「いよいよつらくなって整形外科に行けば、『リウマチではありません』『年のせいです』『手の使いすぎ』『進行したら手術です』などと言われて帰されてしまう。
これは本当に多いパターン。
痛いから行ったのに、それでは何の解決にもならんでしょう。
『ああ、何もできることがないんや』と思ってガマンしてしまう。
でも、手指の痛みや変形は刻々と進んでいく。
そうして困って悩んで、私のペインクリニックに来る患者さんがすごく多いです。もうね、全国からやって来ます」
こう話すのは、愛媛県松山市にある「富永ペインクリニック」の院長を務める、麻酔科医の富永喜代先生。
OurAgeの更年期連載でも痛快トークを繰り広げていて、大人気の先生です。
患者さんたちの信頼も厚いのだろうと想像できる歯に衣着せぬ発言、方言混じりの気取らない物言い…。
ヘバーデン結節をはじめとして、手指のトラブルに関する著書も大好評を得ています。
手指の痛みは放置しない! リウマチなどを見逃さないために、一度は医療機関を受診して
「痛みと骨や関節の変形は比例しません。例えば、腰が曲がっているけど痛みはないというおばあさんはいるでしょう?
一方で、腰は曲がっていないけど激痛を訴える患者さんは多いわけです。
痛みというのはX線に写らないんです。
ただ、X線に写らないから何も手立てがないというのは間違ってる。
医者に『年だから』と言われてあきらめるしかないと思ってしまう。
でもよく考えて。40歳、50歳で『年だから』だったら、世界中の80歳女性は、全員指が曲がってるはず。そんなことないでしょう?
『手の使いすぎ』と言われても、仕事や家事なら避けては通れない。
手を休めろと言われても休められない。
じゃあ、どうするの?
それをなんとかしてあげるのが私の仕事やし、自分自身でケアできるようにしてあげるのが使命やと思っています」
先生によれば、問題なのは手指の違和感、痛み、しびれ、こわばり、腫れ、変形などを放置してしまうこと。
40代以降の女性は、手指のトラブルが起こりやすいことを肝に銘じて。
まずはセルフチェックしてみましょう。
上の項目に3つ以上当てはまったら、早めに医療機関を受診してほしいという富永先生。なぜなら…
「違和感や痛み、変形に気づいたら医療機関で診断をしてもらうことは必要です。
自己免疫疾患のリウマチ、糖尿病、脳梗塞など重大な病気を見過ごさないために、まず検査して診断してもらうことが大切なんです。
そこで『年齢のせい』『手の使いすぎ』と言われたら?
原因がわからなくても仕方がない。
自分でどう対策するかがすごく大事。私とともに、セルフケアで治しましょうよ」
撮影/天日恵美子(富永先生) イラスト/カツヤマケイコ 取材・文/蓮見則子
■富永喜代先生の OurAge 更年期連載はこちら!