アンジェリーナ・ジョリーになれますか?

つまり、これは予防的切除の意味もあるのだ。乳がんになりやすい家系のハリウッド女優、アンジェリーナ・ジョリーが、健康な乳房を予防的に切除して、世界的にニュースになったのは最近のことだ。

 

 

彼女の手術をめぐって、賛否両論が渦巻いたが、わたしはアンジーの決断に拍手を送ったひとりである。家族を乳がんで亡くし、まだ小さな子どもを育てている彼女が、自分のためのみならず、わが子のためにも、健康でいたいという気持ちは尊重すべきだし、気持ちは痛いほどわかる。

 

 

しかし、いざ自分が選択を迫られてみると、心は揺れる。しかも、最初の医師が臓器は取らないという治療方針を打ち出していたので、なおさらだ。
「あの、どうしても取らなきゃいけないもんでしょうか?」私が聞くと、医師は言った。

 

 

「今回は良性ですが、卵巣がんになると大変ですよ。僕は、あなたに、『取ったほうがいい』って言ってるんじゃない。いいですか? 僕から言わせると、『取らなきゃいけない』んですよ。マストです。取らないというなら、本人の自由ですが、のちに後悔しないように、自己責任で決めてください」

 

佐々さん_photo

 

 

実感がこもっていた。医師は金もうけのためにすぐ切りたがると批判する人がいるが、わたしは同意しかねる。卵巣がんの治療は簡単な方ではないらしい。たくさんの患者さんが苦しむのを診てきての彼の実感なのだろう。診察室を出るとき、彼はこう言った。

 

 

「これが僕の身内なら、嫌がっていても手術を受けさせます」
わたしは、地下鉄の駅に降りると、ぼんやりした頭のままで、次の電車が来るのを待っていた。

 

 

今回はたまたま良性だったが、悪性であることを言い渡される人もいるだろう。もしかしたら、これは天が与えてくれたチャンスであるかもしれない。がんだと言われてからでは遅いこともある。

 

 

「切っちゃってもいいかもしれないな……」
そんなことを思いながら、銀色の列車が構内に入ってくるのを、わたしはぼんやりと見つめていた。

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