前回までは、アワエイジ世代5人の骨折体験談をリアルに語ってもらいました。今回からは、骨に関する最新情報をお届けします。骨の意外な働き、見た目の老化は骨次第など、最近になってわかったこと、知っておきたい新情報をまずはチェック!中村格子先生の教えていただきました。
強い骨プロジェクト⑥最新NEWS
骨は若返りのメッセージを
全身の臓器に送っている!
骨から送られる
微少物質が若さをつくる
骨は体の骨格を形成し、臓器を守り、血液をつくったり、カルシウムを貯蔵するなど、さまざまな働きをしています。実は最近になり、それだけでなく、ホルモンのような微少物質を分泌して、多くの臓器にメッセージを送っていることがわかってきました。
「その物質はオステオカルシンといいます。骨には、古い骨を壊す破骨細胞と、骨をつくる骨芽細胞があり、これがバランスよく働くことで、新陳代謝を繰り返しています。オステオカルシンはこの骨芽細胞から発せられるメッセージ物質で、骨の中から血管を通して全身にも届けられています」(中村格子先生)
オステオカルシンは2007年に、米国・コロンビア大学のジェラール・カーセンティ博士によって発見され、その働きが次々にわかってきました。
「例えば、膵臓(すいぞう)に働きかけてインスリンの分泌をよくすることで血糖値をコントロールしたり、肝臓に働きかけて脂肪をエネルギーに変える働きを促します。また、免疫力を高め、ニューロンという神経細胞を活性化して、記憶力や認知機能を高めるという実験結果もあります」
また、ほかのドイツの研究者は骨芽細胞が出す別のメッセージ物質、オステオポンチンが免疫力に関係しているとして注目しています。骨が出す、こうした微少物質が全身の臓器の若返りに一役買っているわけです。いずれも骨芽細胞が活発に働くと、これらの物質も増えることがわかっています。骨の健康を守ることが、結果的に全身のアンチエイジングにつながっているわけです。
次回もまた、骨に関する最新情報をお届けします。
構成・原文/山村浩子