閉経前から備えておきたい
50歳は 「骨力の曲がり角」!
自分の骨についてどこまで知っていますか?
骨粗しょう症なんて、まだまだ先のこと…と思っていませんか? 実は50歳は「骨力」の曲がり角。更年期は骨についてしっかり学ぶ、いい機会です。
そこで、細井孝之先生にお話をうかがいました。
ぜひ自分の骨の状態=「骨力」を知って、骨粗しょう症の予防にお役立てください。
今回と次回にわたり、骨に関する様々な疑問や基礎知識をQ&A方式にし、2回に分けてご紹介します。
骨に関する素朴な疑問Q&A
今さら聞けない基礎知識から、今だからこそ知っておきたい骨についての疑問まで…。まずは、Q&Aの1~3です。
Q1
骨はいつまで成長しますか?
A1
骨量は30歳をピークに下降線をたどります
骨は幼児から思春期の成長期の間に、カルシウムが蓄えられ、骨のベースが出来上がり、骨量がピークになるのは30歳頃。その後は古い骨を破壊し、新しい骨をつくる骨代謝を繰り返しながら、緩やかな下降線を描きます。
つまり、丈夫な骨になるかどうかは、幼児~20歳頃までに摂取する食事や運動にかかっています。この時期の無理なダイエットや偏食、運動不足は後々の骨力にも悪影響を与えます。
特に女性の骨量は閉経を期に、一気に低下します。子どもの頃の骨づくり、それ以後の骨量の維持が、老後の生活にまで関係していくのです。
Q2
骨にはどんな役割がありますか?
A2
血液をつくりカルシウムも貯蔵します
骨の役割で普段実感できることは、骨格をつくり、体を支え、脳や心臓などの臓器を守ること。そして筋肉や腱と共同作業で体を動かしているということでしょう。それ以外にも、骨には私たちの生命維持に欠かせない重要な働きがあります。
それは、骨の中にある骨髄で血液(赤血球、白血球、血小板)をつくり、骨の中にカルシウムを貯蔵すること。カルシウムは人の生命機能に重要で、常に血液中のカルシウムを一定に保つ必要があります。
食事からの不足を感じると、骨からカルシウムを引き出して使う、いわば貯蔵庫の役割も担っています。
Q3
閉経後、骨がもろくなるのはどうしてですか?
A3
骨代謝に関与する女性ホルモンの低下が原因
成長期以降、私たちの骨は骨破壊と骨形成をしながら、新陳代謝を繰り返します。骨を破壊するのは、血液中のカルシウムが不足したとき。必要に応じて骨からカルシウムを溶かして供給するのが目的です。
女性ホルモンは骨破壊を抑制し、骨形成を増やす働きがあることがわかっています。また、腸からのカルシウム吸収を増やし、腎臓でのビタミンD活性化を助ける働きも。閉経で女性ホルモンが急激に低下すると、血中カルシウムが不足しがちになり、骨破壊のほうが優位に。
こうして骨からカルシウムが失われて、スカスカの状態になってしまうのです。
次回は今回に続き、骨に関する様々な疑問や基礎知識、Q&Aの4~5をご紹介します。
撮影/板野賢治 オブジェ製作/田中靖夫 構成・原文/山村浩子