閉経前から備えておきたい
50歳は 「骨力の曲がり角」!
自分の骨についてどこまで知っていますか?
骨粗しょう症なんて、まだまだ先のこと…と思っていませんか? 実は50歳は「骨力」の曲がり角。更年期は骨についてしっかり学ぶ、いい機会です。
そこで、細井孝之先生にお話をうかがいました。
ぜひ自分の骨の状態=「骨力」を知って、骨粗しょう症の予防にお役立てください。
今回は、骨粗しょう症とその予防についての詳しい解説です。
骨粗しょう症にならないために
骨粗しょう症になってしまう要因を知り、今から的確な対策を!
自分の骨について知る検査を受けましょう
骨粗しょう症は骨量(=骨密度=骨のカルシウム量)が減り、骨がスカスカになってもろくなる病気です。初期の頃は無症状なので、気づかないうちに、症状が進んでしまうことも。
ちょっとしたことで転んで、手をついた瞬間に手首を骨折したり、自分の体重を支えられなくなって、椎骨が圧迫骨折を起こすこともあります。そんなことになる前に、自分の骨の状態を知ることが重要です。検診で骨量の異常が指摘されたら、検査設備が整った医療機関を受診しましょう。
検査では骨密度のほかに、問診、体の診察、X線検査、血液・尿検査などを行います。「骨量検査には手の指、前腕骨、かかとなど測定部位は測定器によってさまざまですが、できれば、DXA(デキサ)法で最も骨折しやすい腰椎か大腿骨頸部での測定がおすすめです。
診断基準は、骨量測定値がYAM(20〜44歳の骨量平均値)の70%を下回っていると骨粗しょう症と診断。背骨の変形や圧迫骨折がない場合は、80〜90%を骨量減少と呼び、予備軍と位置づけています」
骨粗しょう症は内分泌疾患、慢性消化器疾患、ステロイド剤の使用などが原因で発症する〝続発性(二次性)〞のものもあります。そのあたりも含めて、専門医による診断を受け、正しく治療を始めることが重要です。
骨質劣化型による新しい骨粗しょう症にも注目!
また、最近は、骨量はあるのに骨が弱く骨折してしまうケースが、注目されています。
「骨の強度をつくっているのは骨量だけでなく、〝骨質〞も関係しています。骨の構造はコラーゲンの鉄筋に、カルシウムが付着している状態。この鉄骨に当たるコラーゲン線維同士を支えている架橋が、酸化ストレスなどで弱くなると、骨質の劣化が起こります」
その原因は糖尿病、慢性腎不全、関節リウマチなどの疾病。ビタミンKの不足でも起こります。
「この悪玉コラーゲン架橋による骨粗しょう症を〝骨質劣化型〞と呼んでおり、同じ骨量同士で比べると、骨折のリスクが約1.5〜2倍に高まると言われています」
つまり、骨量があるのに骨折しやすいのが大きな特徴です。
「そのため、治療開始の数値は、通常の場合は70%からですが、骨質劣化型が疑われる人は80%が目安。少し早くから治療を考える必要があります」
骨質劣化型かどうかを知るには、血液や尿の検査が有効ですが、それができる医療機関は限られているのが現状です。
加齢に伴う骨の変化
骨の強さは骨量+骨質で決まる!
骨質の劣化の仕組み
次回は、「骨力」をアップに必要な生活習慣の見直し方をご紹介します。
撮影/板野賢治 オブジェ製作/田中靖夫 構成・原文/山村浩子