脳を元気にする「ブレインフード」徹底研究
認知症患者が激増している今、健康寿命を延ばすには、まず、脳の元気を保つこと! それが、毎日口にするもので変わってくるとしたら、その食材と食べ方を、ぜひ知りたいもの。
実は身近にあるブレインフードに注目して、毎日の食卓の工夫からできることを、探してみました!
ここでは、2回に分けて脳を元気に保つための食事について、心療内科医で医学博士の姫野友美先生にお話をうかがいました。
脳を元気にするには、何をどう食べればよい?
姫野友美先生が推奨する
食事ルール7
脳機能の低下は、OurAge世代の私たちの悩みのひとつ。
でも、それは「年のせい」だけではありません。食事が大きくかかわっています。
もう一度食生活を見直して、元気な脳を取り戻しましょう!
日々の診療に加え、テレビの出演や雑誌の取材、地方での講演など、いくつもの仕事をパワフルにこなす姫野先生。
その若々しさを保つために、日々どんな食事を心がけているのでしょうか?
「いろいろなものをバランスよく」がキーワードのようです。
今回は、姫野先生が推奨する、脳を元気にするための7つの食事ルールについてご紹介します。
1
肉は牛・豚・鶏を上手にローテーションさせて!
肉は良質なタンパク源。積極的に食べるようにしましょう。
また、肉はタンパク質だけでなく、ビタミン、ミネラルも豊富。これらは、タンパク質から神経伝達物質を合成したり、脳の働きをサポートしたりする働きを持っています。牛肉には鉄、豚肉にはビタミンB群、鶏肉にはカルシウムが多いなど、肉の種類によって多く含まれるものが異なります。
牛・豚・鶏のおかずをローテーションさせて、まんべんなくとりましょう。
2
さまざまな調理法で青魚も白身魚も貝類も!
魚は、タンパク質とDHAが同時にとれる優秀食材。DHAを多く含む魚というと、イワシなどの青魚が挙げられますが、DHAはどの魚介類にも含まれています。青魚にこだわらず、いろいろな魚介からとりましょう。
また、DHAは魚の脂に含まれているので、脂を落とさない調理法で無駄なく摂取したいもの。生食がベストですが毎日は厳しいので、いろいろな調理法で食卓へ。油で高温加熱する揚げ物は、油への流出が多いので避けてください。
3
「卵は1日1個」は古い。朝食やおやつにおすすめ
コレステロールが悪者扱いされたのは過去のこと。これからは「中年期以降はコレステロールをしっかりとろう!」の時代です。卵も以前言われていたように、「1日1個」に制限する必要はありません。卵は良質なタンパク質源(アミノ酸バランスを示すスコアで満点の100)です。
ゆで卵は朝食におすすめ。小腹が減ったときのおやつにも便利です。夜、まとめて作って冷蔵庫にキープを。コンビニでも購入できます。
4
植物性タンパク質もしっかり摂取!
植物性タンパク質の宝庫といえば豆。肉や魚などの動物性タンパク質からしかとれない栄養も多いので、タンパク源を植物性オンリーにするのはNG。しかし、逆に、肉・魚にはない長所も豆にはあります。
豆には食物繊維が豊富です。また、大豆であれば、脳を活性化するレシチンや女性ホルモン様の働きをするイソフラボンも摂取できます。
植物性1:動物性2くらいの割合でとるのがベストです。
5
小腹が減ったら乳製品かナッツを
乳製品は良質なタンパク質源であり、カルシウムも豊富。他の食品に含まれるカルシウムより吸収がよいというのも特徴です。おやつには砂糖を多く含むスイーツや、脳を硬くする脂質(トランス脂肪酸)の多いスナック菓子ではなく、ヨーグルトやチーズがおすすめです。
また、ビタミンやミネラル、不飽和脂肪酸を含むナッツを少しつまむのもいいですね。いずれも食べすぎはNG。適量を心がけて。
6
野菜は肉・魚とほぼ同量になるように
肉、魚などの動物性食品は栄養価の高い優秀食材ですが、唯一足りないのが食物繊維。食物繊維には腸内環境を整える働きや不要なものを排出する働きがあるのでとても大切。動物性食品とともに野菜や海藻、きのこなど、食物繊維が豊富な食品をしっかりとりましょう。肉や魚と同量か、それ以上を。
また、含まれるビタミン、ミネラルは野菜により異なるので、さまざまな野菜を。旬のものを食べるようにしましょう。糖質の多いいも類は控えめに。
7
ご飯やパンは控えて。スイーツも要注意!
糖質のとりすぎは、血糖値の乱高下を招き、脳を疲労させてしまいます。糖質の割合が非常に高い穀類(ご飯、パン、パスタなど)は、あえてとる必要はありません。糖質も人間にとっては必要な栄養素ですが、野菜や乳製品など、いろいろな食品に少しずつ含まれているもので十分です。
特に、砂糖は体内に吸収されやすく、急激な血糖値の上昇を招くのでNG。果物は糖質の少ないオレンジやいちごがおすすめです。
イラスト/かくたりかこ 構成・原文/瀬戸由美子