OurAge世代なら他人事じゃない!
目の病気「加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)」
年齢とともに、今まで感じなかった体の不調が出てくるのがOurAge世代。
目の疾患も例外ではありません。
ここでは、目の前に浮遊物が見えてしまう「飛蚊症」とともに、特に気になる症状「加齢黄斑変性」について徹底リサーチ!
今回は、視力をつかさどる重要な細胞が集中している目の中がどうなっているのか、そして、眼科ではどのような診察を行うのかなどについてご紹介します。
“老化”以外に
生活習慣もその原因に
「加齢黄斑変性のおもな原因は老化ですが、生活習慣も影響しています。なかでも喫煙者は、発症の頻度が高くなることがわかっています。ほかに太陽光の刺激や高血圧、肥満、偏った食生活、遺伝とのかかわりなども指摘されています」(大倉萬佐子先生)
本を読んだり文字を書いたりするのが困難になる、財布の中のお金の判別がしにくくなる、野菜を切る際に手元が見づらいなど、病気が進むと日常生活にも支障が出てきます。
目の中はどうなっているの?
■「加齢黄斑変性」の「黄斑(おうはん)」って何?
物を「見る」とは、目から入った光が脳に伝えられ、映像として認識されることを意味します。最初に瞳孔から入った光は水晶体で屈折し、硝子体を通って網膜に到達します。網膜に到達した光は電気信号に変換され、視神経を通じて脳に伝わり、映像として認識されるのです。
カメラにたとえると、水晶体がレンズ、網膜がフィルムになります。「黄斑」は網膜の中心部にあり、視力をつかさどる重要な細胞が集中しています。
A

黄斑の中心部は「中心窩」といい、網膜の感度が最も高い場所。文字などを見るのもこの部分です。ここに異常があると、視力の低下が深刻になります
■「加齢黄斑変性」は、新生血管が原因でも起こります
加齢黄斑変性は、Cのイラストのように脈絡膜から発生する新生血管を伴う「滲出型」と、細胞の組織が徐々に萎縮する「萎縮型」に分けられます。滲出型は病状の進行が早く急激な視力低下が起こるため、早期に検査と治療を受けることが大切です。
一方、萎縮型の進行は緩やかで、視力もすぐには落ちません。ただし、「萎縮型」も新生血管が発生する可能性があるため、萎縮型と診断されたら定期的に検査を受ける必要があります。
B

正常な黄斑の状態がこれ。「萎縮型」の加齢黄斑変性とは、加齢により、網膜色素上皮細胞とブルッフ膜の間(位置はAの図を参照)に老廃物がたまり、網膜の組織が徐々に萎縮していくことをいいます
C

脈絡膜から新生血管(正常ではないもろい血管)が発生した「滲出型」の症状。正常な血管ではないため、血液の水分(滲出液)が漏れ出し、血管が破れて出血しやすくなります
■病院ではどのような診察、検査をするの?
眼科では問診、アムスラーチャートでの見え方チェック、視力検査、眼底検査(網膜の状態を調べる)、蛍光眼底造影検査(腕の静脈に造影剤を注射し、眼底カメラで網膜や脈絡膜にある血管の状態を観察する)、網膜断層検査(光干渉断層計という機械を使って網膜の断面の状態を調べる)などを行い、網膜と新生血管の状態を確認。加齢黄斑変性かどうかを診断します。


アイクリニック天神

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次回は、「加齢黄斑変性」になってしまったときの対処法と、自分でできる予防対策をご紹介します。
イラスト/内藤しなこ 取材・原文/上田恵子 監修/大倉萬佐子


