腸を健康にして便秘・下痢・肥満・ガンを防ぐ
おなかすっきり「腸」健康法
健康な「腸」になる、食べ方やレシピを、連載でお届けします。
おなかのきれいが
心と体のきれいにつながります
腸(結腸)には、約100兆個、重さにしたら1kgもの細菌がすみついています。それだけの細菌がまるでお花畑のように、それぞれ活発に活動を繰り返しています。最近話題の、「腸内フローラ」とは、このことです。やっかいなのは、その菌に400~500もの種類があって、私たちの体にとってよい働きをする善玉菌と悪さをする悪玉菌がいるということ。
この善玉菌と悪玉菌は絶えず覇権争いをしています。野菜やくだものをしっかり食べて、食物繊維をたっぷり摂る食生活をしていれば、善玉菌は安泰です。でもひとたび、偏った食事が続くと悪玉菌が台頭してきます。不規則な生活や環境の変化によるストレスも悪玉菌がはびこる原因となります。
腸は「第二の脳」といわれるように繊細な働きをしています。そこでこれから連載「おなかすっきり腸健康法」では、腸のしくみを解き明かしながら、善玉菌を増やしておなかも体も肌もきれいになる方法ご紹介していきます。どれも簡単でお手軽なレシピを心がけました。ぜひ、試してみてください。
今回はまず、自分の腸の状態のチェック法や、どうすれば腸の健康が保てるのかなど、「腸と健康のメカニズム」について、医学博士・管理栄養士の本田京子先生に教えていただきます。
【まずは腸年齢をセルフチェック!】
消化吸収という重要な営みを担っている腸は、思いのほか繊細な器管。個人差もかなりあり、日々の生活の積み重ねの中で、年齢より若く元気な腸の人もいれば、年齢よりもずっと老けてしまうこともあります。あなたの腸年齢はいったい何歳なのか。セルフチェックしてみましょう。
①肉料理を食べることが多い
②ファストフードやインスタント食品を利用することが多い
③野菜不足だと思う
(緑黄色野菜120g +淡色野菜230g = 350g が目安)
④寝つきが悪く、睡眠不足になりがち
⑤イライラしたり、くよくよすることが多い
⑥肌荒れや肩こりが気になる
⑦最近、太ってきた
⑧階段を上ると息切れする
⑨朝食後に便意がない
⑩トイレタイムが長い
■あなたの腸年齢は?■
●0~3の人
あなたの腸は若くて元気いっぱい。お肌のコンディションも良好。でも、一つでもあてはまるものがあった人は改善する努力を。
●4~7の人
今は元気と思ってもカラ元気の感が。とにかく要注意。このままの生活を続けていると、腸年齢はどんどん高くなってしまいます。
●8~10の人
はっきりいって、とても心配です。あなたの腸は実年齢よりかなり老化していて、お肌のコンディションも最悪。今すぐに生活改善を!
【美と健康を左右する腸は、第二の脳】
ストレス時代、腸の病気が増えている!
腸は精神的ストレスによっても反応するきわめて繊細な消化器官です。ストレスやイライラがあると、自律神経のアンバランスから腸管神経への指令部分が過剰反応の状態になって、腸が異常な運動を起こすわけです。
毎朝のことではなくても、たとえば旅行先で便秘になる人も多いはず。楽しいはずの旅行ですが、心身は意外に緊張しているために起きるストレス性の便秘。脳で感じるより先に腸が反応する……それが、腸は第二の脳と呼ばれるゆえんなのです。
食べ物はよく嚙むことが、健康の第一歩
まず食べ物は口に入ります。ここからすでに消化の旅はスタートしています。食べ物を嚙みはじめると、唾液が分泌されます。唾液には糖質を分解する酵素が含まれていて、嚙み砕かれて細かくなった食べ物と混ざります。唾液には抗菌作用や発ガン性物質を排除する酵素も含まれているので、よく嚙んで唾液をたっぷり出すことが健康の第一歩。
また生活習慣病の元凶となったりシミやシワを増やす活性酸素を消去するカタラーゼやSOD 酵素なども含まれています。胃が疲れているときをのぞいて、日ごろからきっちりと歯ごたえのある食べ物をしっかりよく嚙んで食べることが大切なのはこのためです。
【食物繊維の足りない食事が続くと、免役力が弱まる】
腸はびっくりするほど周到に食べ物を消化吸収し、私たちの健康を維持しています。とくに大腸は100兆個もの常在菌の力を借りて、発酵という技術を用いながら、みごとに未消化物を分解し、スムーズな排泄へとつなげていきます。その精巧なメカニズムも、腸が第二の脳といわれるゆえんなのです。
忘れてならないのは、腸も神経を持っているということ。さまざまな肉体的、精神的ストレスによって、便秘や下痢のほか、潰瘍やポリープなどの病気を引き起こすことがあります。
ジャンクフードやファストフードばかりに頼る食生活を続けたり、食物繊維の足りない食事が続けば、腸はたちまち悪玉菌の巣窟になり、免疫力が弱まり、体調を悪くすることにもつながります。
次回は、善玉菌が優勢だと健康が維持され、悪玉菌が増えると体調が悪くなるという「腸内細菌」について詳しくご紹介します。
撮影/吉田篤史 構成・原文/おおくにあきこ