更年期以降の便秘の背景には、女性特有の骨盤底筋の緩みや、 腟の劣化がかかわっています。放っておいたら大変なことになる便秘の実態を知り、今のうちに対策を!
教えてくれたのは…
山名哲郎さん Tetsuo Yamana
松峯寿美さん Hisami Matsumine
更年期以降は 直腸性便秘が増加します
便秘には腸のぜん動運動が鈍くなる 〝弛緩性便秘〟、ストレスによって腸の動きが過敏になる〝ストレス性便秘〟、便が出にくくなる〝直腸性便秘〟の3つのタイプがあります。最も多いのは弛緩性便秘ですが、食物繊維が豊富な食事をとっているのに改善しない場合には〝直腸性便秘〟の可能性が大。
直腸性便秘は便が直腸に到達していながら、排便できないケース。腹筋の衰えや、肛門がうまく開かないなどの原因のほか、閉経以降の女性の場合、骨盤底筋や腟の緩みがもとで直腸性便秘になるケースが多いのです。
婦人科医の松峯寿美先生によれば、「骨盤底筋が緩むと、子宮や直腸が下垂して、直腸性便秘を招きやすくなります。『便が出ない』と強くいきむと、緩んだ腟内に子宮が落下する〝子宮下垂〟、腟外に子宮が飛び出す〝子宮脱〟を招くことも。すると直腸も下がってきてしまうのです。お尻に負荷をかけない排便習慣を心がけましょう」
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あなたはどれ? 便秘の種類は3種類。 タイプをチェック!
A、B、Cの項目でそれぞれふたつ以上当てはまったら、それがあなたの便秘のタイプです。
【A】
□便通は週2回以下
□1週間近く便が出ないときもある
□下剤を使わないと便が出ない
弛緩性便秘
便の材料となる食物繊維の不足、運動不足が原因で、大腸のぜん動運動が鈍くなり、便が通過するのに時間がかかります。「何日も便が出ない」など排便回数が少ないことが特徴
【B】
□お腹の張りとともに痛みがある
□突然、強い便意におそわれることがある
□便秘と下痢が交互に起こる
ストレス性便秘
ストレスによって自律神経が乱れ、大腸の一部が痙攣したり、感覚が過敏になって現れる便秘です。医学的には〝過敏性腸症候群〞に含まれ、便秘と下痢を繰り返す人もいます
【C】
□食物繊維をたくさんとっても、便通がよくならない
□強くいきまないと、便が出ない
□排便後も残便感がある
直腸性便秘
便意を感じにくくなったり、便を押し出す力が低下するなど、いきんでも便が出にくくなります。骨盤底筋や腟の衰えによって直腸が変形する〝直腸瘤〞が原因の場合も(直腸性と弛緩性を併せ持つ複合タイプの人もいます )
イラスト/内藤しなこ 取材・原文/大石久恵