最近うっかりが多いのは、運動不足のせいもあるの? 「筋肉を鍛える」ことは認知症予防につながる、と知って、ますます「筋活」の必要性が身にしみているミーナです。
今も将来も、美しく健康でいるために
私たちには「筋活」が必要です!
「要介護」や「寝たきり」なんて、まだまだ先のこと…。そう思っていませんか? 確かに、寝込むのは先のことかもしれません。でも、それを防止するためには40代、
50代での「筋活」が必須! 筋肉を鍛えることを習慣化することが、何より大切です
「筋肉を鍛える」ことは認知症、うつ予防にも効果が!
筋肉の働きは、ただ体を支えたり、動かすだけではありません。
認知症やうつといった、脳に関係する不調の改善にも効果があることが、最近の研究でわかってきました。
今回は、筋肉が減ることによるリスクや、筋力アップがなぜ“認知症”予防に効果があるのかなどを、中高年の筋トレや健康について研究している久野譜也先生にお話をうかがいました。
久野譜也さん Shinya Kuno
profile
1962年生まれ。
筑波大学大学院人間総合科学研究科教授。
スポーツ医学の分野で、サルコペニア肥満、
中高年の筋トレ、健康政策などを研究。
2002年「つくばウエルネスリサーチ」を設立。
〝科学的根拠に基づく健康づくり〞を
基本理念に健康情報の発信を行う
筋力アップは、
脳や精神的な不調にも◎!
長寿大国、日本! 今や80歳、90歳を超えるお年寄りも珍しくない現在。一方で、65歳以上の7人に1人、80歳以上になると5人に1人が認知症という調査結果(厚生労働省調べ)も。寝たきりや要介護の人も年々増え、アワエイジ世代にとっては、今、まさに〝親の介護との闘い〞という人も少なくないでしょう。
「実は近年、各国で〝運動習慣に認知症を予防する効果があるかどうか〞の研究が進められています。その結果、まだ〝効果あり〞と断定できないものの、かなり有意義な効果が認められています」と久野譜也先生。
筋肉には体を動かす以外にも、内分泌器官としての役割があります。例えば、体を動かすと、筋肉組織からイリシンという物質が分泌。すると脳内でBDNF(脳由来神経栄養因子)という、脳の神経細胞への肥料の役割を果たすタンパク質が分泌されます。これが増えると、神経細胞が働きを活性化させ、細胞の新生や再生、シナプス(神経細胞間の情報伝達のための接触構造)の形成などが促されることがわかってきました。つまり、認知症の予防や症状を改善する効果が期待できるのです。
また、体を動かすことは、ストレス、うつ、不安といった、精神的な不調の改善にも役立つことがわかっています。
「筋肉は体を支えるだけでなく、脳の機能も支えているのです。しっかり体を使って筋肉を鍛えておけば、体も脳も若返ります。長寿になっても、長く寝たきりになっては意味がありません。今後の人生を健康で楽しく送れるかは、いかに筋肉をつけるか、今からの筋活にかかっているのです」
次ページでは、"認知症"予防と「筋活」について解説しますね。
"認知症"予防に今から筋肉を鍛えるべし!
認知症とは、何らかの原因で脳がダメージを受け、記憶力や判断力、思考力などの認知機能が低下する病気です。その原因は、約7割がアルツハイマー病、約2割が、動脈硬化などで脳内の血管が詰まったり、破れたりする脳血管障害にあるといわれています。この認知症の発症・進行には筋肉量が影響していることがわかってきました。
「筋力が低下すると、代謝異常が起こり、血管が硬くなり、生活習慣病になりやすくなります。やがて歩くのがおっくうになり、外出が減ります。人とのかかわりも減少し、ひきこもりに。その結果、認知症が進んだり、発症しやすくなります。認知症も、初期の段階なら有酸素運動などを行って血流を活性化させることで、健康な状態に戻る可能性も。何より予防のために、筋力アップは必須なのです」
Arch Neurol. 2009;66(11):1339-1344. doi:10.1001/archneurol.2009.240.
次回は、うつや不眠対策、ストレスの解消など、筋肉を鍛える「筋活」がもたらす好影響についてご紹介します。
撮影/板野賢治 図表製作/ビーワークス 監修/久野譜也 構成・原文/山村浩子