リフォームの決断には「きっかけ」と「納得」が必要だけれど、どっちもないから進まない、と、言い訳をし続けてきた私、マドレーヌ。しかし、ついに再スタートを後押しする「きっかけ」がやってきた。
◆ 1月●日
住んでいるマンションが築13年を迎え、大規模修繕が行われることになった。
ルーフテラスで励んでいるガーデニングの植物も、ベランダのタイルも、防水工事のために、すべて1度撤去しなくてはならない。廃棄したり倉庫を借りて運んだりガーデンデザイナーに預けたり、再設置の手はずも整える必要がある。
結構な労力だ。しかも大規模修繕の工事の時期は決まっているから、後延ばしできない。
当然ながら、これらが完了したあかつきには、我が家のテラスやベランダは整理・修理されて、こぎれいに戻るのだ。
だったら…
「この機会に、テレビ周りのインテリアもちゃんと完成させよう」
大規模修繕が「きっかけ」となって、ついに、やる気スイッチが入った。
あとは
どこに依頼するかを決めるための「納得」が必要だ。
【依頼先探し】
どこに依頼するか、本腰を入れて探し始めた。
依頼先探し その1 雑誌の切り抜きに載っていた建築家
まず、こういうときは、雑誌のリフォーム特集の切り抜きが参考になるはずだ。大量の切り抜きを見直して、「この女性建築家は趣味が合いそう」と一瞬心が躍る。しかし建築家のサイトを見ると「リフォーム中心価格帯1000万円以上」と牽制されるのだった。頼めばやってくれるのだろうが、家全体を直すわけではないので、やはり気がひける。
依頼先探し その2 流行のリノベ会社
次に後輩のインテリア担当の30代男子編集者に、「ちょっとした収納棚を作ってもらう家具屋さんかリフォームの会社でお勧めない?」と聞いてみると、即答で、
「今、リノベと言えば●●っすよ」。
リ、リノベね。
サイトをチェックすると、今どきのリノベに世代の差を感じて愕然とする。自宅がおしゃれ店舗かカフェになってしまう。落ち着かないぞ。
新しい建材を古く見せる加工をしたり、床に部分的にレンガを敷いて、少しぐらい足が冷たくても我慢しなきゃいけない。
なにかと不便そうだ。
本物の骨董の器は私も大好きだけれど、骨董〈風〉は、昭和育ちの私は惹かれない。
あ~、50代の自分の好みが流行とずれていることはよくわかった。でも、依頼先には、私の希望を理解してくれて、かつセンスのいい人を求めたいのだ。そういう人は、どこにいるのだろう?
依頼先探し その3 収納のユニット家具
次に、収納のユニット家具のショールームに行ってみた。機能性が勝れているはずだ。しかし、すべてが統一規格なので、板やハンドルは、そこにある数種類の中から選ばねばならないらしい。気に入るハンドルが見つからなくて、すぐにあきらめてしまった。
依頼先探し その4 インテリアコーディネーター
困り果てて、こうなったらインテリアコーディネーターに相談するのがいいのでは、と思いついた。はて、インテリアコーディネーターという職業の人は、どこにいるのだろう。
ネットで検索してみた。
インテリアコーディネーターを紹介してくれるサイトがあったが、実施例の写真が、若い夫婦向け中心で、またもや趣味が合うかどうか不安になった。加えて、家具を家具屋さんで購入することが前提のようだ。家にあわせたオーダー家具となるとどうなんだろう。う~ん。
依頼先探し その5 以前取材したリビングデザインセンターOZONEを思い出す
そうして悩み、行き詰ったときに、以前取材したことのあるリビングデザインセンターOZONEのことを思い出した。
建築家を紹介するシステムがあったではないか。
施工例から、いい建築家が見つかるかもしれない。サイトを覗いてみよう。
リビングデザインセンターOZONEのサイトの、OZONE家designというコーナーの中に、3つのコンサルティングのコースがあった。「新築コンサルティング」「リフォームコンサルティング」と並んで書かれていたのが、
「インテリアコンサルティング」
というコース。
「あ、これかも!?」
そこをクリックして、あちこち見てみると、こう書かれていた。
「インテリアのポイントとなる、カラーコーディネート、家具の選定・レイアウト、照明器具選定、ウィンドウトリートメント、時にはアートまできめ細やかにご提案するコースです。お客様が大切に想うイメージをOZONEインテリアデザイナーが一緒に考え、より楽しく豊かな空間をプランします。」
「これだ」
載っている施工例にも、心惹かれるものがたくさんある。依頼主の年齢は若い層から大人まで幅広そうだし、いろいろなスタイルの施工例があるから、私に合うものが見つかりそうだ。
やっと納得できそうな依頼先を見つけた気がする。
すぐに、以前、仕事でお世話になったことのあるリビングデザインセンターOZONEのAさんに連絡した。
◆ 2月●日
リビングデザインセンターOZONEのAさんは、私の悩みを聞き、こう答えた。
「そういうことならウチは最適だと思いますよ。
その人に合った建築家やメーカーとの間をつなぐのがOZONEの仕事です。ひとりの建築家や1ヵ所の家具屋さんに頼むと、そこの得意なスタイルになるけれど、OZONEは、たくさんの建築家やメーカーさんを知っています。お客様のご希望にあった建築家やメーカーにつないで、さらに第3者の視点でアドバイスしながら、いっしょに作り上げていくことができるんです」
お、お~。
そして「インテリアコンサルティング」コースに関しては、こう言っていた。
「リフォームをする時に、家全体の間取りを変えるといった“箱から考える”方法だけでなく、“お気に入りの家具や色、インテリアスタイルから広げていく”方法もあります。OZONEではインテリアデザインを10年以上やってきて、そのあたりにも長年の蓄積があります。そこで、あらためて昨年(14年)、『インテリアコンサルティング』というコースとしてスタートさせたんですよ」。
なるほど~。
そこにちょうど私が「自分のためのコースだ」と思って、飛び込んだわけだ。
また、こんな話もしてくれた。
「新築もリフォームも、お客様はたくさんの理想を持っている。でも、建築制限やスペースの問題、予算の都合などで、全部を叶えることは、たいていできないんです。OZONEのインテリアデザイナーは、その優先順位をクリアにしていく作業をいっしょにしていきますよ」
はは~!
頼もしいではないか! ずっと悩んでいたことを、いっしょに考えてくれるとな。こじらせている私を解放してくれそうだ。いっきに気が楽になった。
その後Aさんは、リビングデザインセンターOZONEのインテリアデザイナーであり、インテリアコーディネーター&二級建築士の資格を持つ山田佳代子さんを紹介してくれた。
◆ 4月●日
リビングデザインセンターOZONE 7Fにある、ガラス扉のきれいなミーティングルームで、インテリアデザイナーの山田佳代子さんに会う。
山田さんは、私よりは若いが、ベテランで落ち着いていて、いかにも頼りになりそうな女性だ。私がなかなか決断できない時にも怒らなそう、と内心安心した。
事前にAさんから言われて、山田さんに資料を送ってあった。マンションの間取り図や現状の悲惨な写真あれこれ。そのほか、リビングから見えるルーフテラスの植物の様子。そして、理想とする部屋やインテリアの切り抜き。
雑誌の切り抜きの中でお気に入りだったのは、13年前のリフォームのときにも使った2000年頃のフランスのインテリア雑誌に載っていた南仏のモダンな家のもの。淡いべ-ジュの幅広の木のフローリングと白い壁、かなり天井が高い、たぶん石造りの一戸建てだ。
それと、日本の雑誌では、何年も前の人気料理家の自宅のインテリアルポと、人気エッセイストの暮らしぶりのページ。おふたりの家は、洗練されたアジアンテイストのアンティーク家具使いに惹かれた。
どちらにしろ、ごく一般的なマンションにダンボールとものがごっちゃり並ぶ我が家とは、似ても似つかない。
切り抜きを見た山田さんが、「どうしたものか…」と困惑している様子が見て取れた。
【あぶりだされる我が家の問題点と希望】
リビングデザインセンターOZONEのインテリアデザイナー山田さんと、切抜きや自宅の写真を見ながら話すことで、だんだん問題点と希望がクリアになっていった。
その1 ものが多すぎて、整理がつかない。
かごも花瓶もカメラも書類もはみ出していて、収納しやすい場所が必要。でも、全部が入る収納なんて作ったら、さらにものが増えて、家が物置になってしまう。整理して減らした上で収納せねば。
その2 好みが変わってきたので、家具も飾りも少々大人テイストに
13年前から年齢の分だけ、趣味も大人になった。90年代にパリや南仏好きだった影響で、ぽってりした素朴な器や花瓶などをたくさん持っている。しかし、私も50代。最近の好みの、もう少し渋い洗練されたものを飾りたい。それが合う家具にしたい。
おまけに、この数ヵ月後に実家から骨董がたくさんやってくる事態が起きる。大人シフトへの希望はさらに強まることになった。
その3 アンティーク家具を置きたいが、どこに?
夫の熱帯魚が、リビングの私コーナーの一番いい場所を占領している。夫曰く、水槽に直射日光が当たってはいけないので、ここにしか置けないから、と入居時に床の補強工事までした。本当は、ここにアンティーク(アジアか和)のローキャビネットを置いて、上をディスプレースペースにしたいのに。 う~ん、どうしよう? アンティーク家具を置くのは、L字の角か?
その4 テラスの眺めとの調和
リビングの西側の窓を通してテラスで育てている植物を見るのが好きだ。窓からウッドデッキが見える。それらとも合うインテリアにしたい。
その5 ペンダントライトをつける?
照明位置の関係で、テーブルの半分がやや暗い。老眼が始まって新聞が読みにくいことがあるのだが、ペンダントライトを下げるとどうだろうか。
山田さんに質問されて答えたり、写真を見せて説明しているうちに、どんどん整理されてくるのがわかる。
「入れたいものが入る機能的で上質な収納家具」を作り、その傍らに「雰囲気のあるアンティーク家具」を置きたい。
ということははっきりわかった。
アンティーク家具の置き場所や収納家具の細かいことは、まだ見えないけれど…。
山田さんの薦めにより、OZONEのインテリアコンサルティングの中にある4つのコース「トータルコーディネートコース」「インテリアコーディネートコース」「ウィンドウトリートメントコース」「オーダー家具コース」の中の「オーダー家具コース」で進めることが決まった。
これは、OZONEのサイトによると
「お部屋のスペースやインテリア、お手持ちの家具やお気に入りのコレクションに合わせた、オリジナル家具のデザインと製作を承ります。空間をより素敵に見せる収納家具など、既製品ではなかなか実現しにくいご希望も叶えます」
というもの。
おお、まさにぴったりではないか!
収納家具作りが中心だが、それにまつわることも相談に乗ってくれるという。
ペンダントライトの相談はもちろん、Aさんに勧められて設置に乗り気になった「二重窓」の工事、元から使っているウッドブラインドの装置の交換、さらに大規模修繕で撤去されたベランダのタイルの設置等も、山田さんにOZONEの登録・関連業者さんを紹介してもらって、同時にすすめることになった。
予算は、全部併せて300万円を予定した。
ここで
「オーダー家具コース」の契約を結んだ。
¥118,000(基本料金¥60,000、箇所料金¥40,000 現地調査費¥18,000 税抜)を振り込む。
苦節(放置?)13年。
これでやっと、前に進める。
<つづく>