目から下を支えている咬筋の硬直が大きな原因
ほうれい線は年々深くなり、特にコロナ禍のマスク生活でそれに拍車をかけた人は少なくないはず。ほうれい線は笑ったときにできるので、それほど気にしていなかった人も、いつのまにかくっきり深いシワが刻まれていることに、ある日突然気づいてあ然とするものです。
「ほうれい線の原因はさまざまな要因が重なっています。加齢や紫外線による肌の乾燥や弾力の低下、筋肉の衰え、骨格が痩せるなど。もちろん肌の保湿は必須ですが、私が注目しているのは咬筋の硬直です。
咬筋は頬骨と下あご(エラ)をつなぐ筋肉。ものを咀嚼するときや会話、あくびなどで、下あごを引き上げて、あごを閉じるときに使われています。
現代人は硬いものを食べる機会は減っていますが、食いしばりの癖がある人がとても増えている印象です。食いしばると咬筋や側頭筋を使います。
ここを使いすぎて筋肉が過剰に発達して硬くなり、筋膜が癒着を起こすと、顔のほかの筋肉がバランスを失って衰えます。すると頬の脂肪の重さを支え切れずにたるんで、ほうれい線が深くなるのです」(木村友泉さん)
咬筋とそのまわりの筋膜をリリース!
咬筋は頬骨からエラに向かって広範囲につながっています。この部分をまずは緩めることから始めます。
ウォーミングアップ
咬筋の部分の筋肉と筋膜を揺すって緩めます。
両手のひらで両頬と両目にかけて覆います。
手根(手のひらの根元)がちょうど頬骨の下に当たるようにして、左右に小刻みに揺らします。微振動を与えることで、咬筋とまわりの筋膜を緩めていきます。
これを4~5秒行います。
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頬骨に沿って圧をかける
【1】手根で頬骨を下から押し上げる
右手の手根を頬骨の下に当て、左手を右ひじに当てて支えます。頬骨を上に向けて押すように圧をかけて2秒静止します。
【2】頬骨に沿って5カ所プッシュ
この要領で、小鼻の斜め下からこめかみの方向に、頬骨に沿って位置を少しずつ変えて5カ所を目安に押していきます。
左手を右ひじに添えるのは、安定させて圧をかけやすくするためです。左手の代わりに右ひじをテーブルに置いて行ってもOK。左手で左側の頬も同様に行います。
ほうれい線のへこみをのばす
右手の4本の指(人差し指、中指、薬指、小指)を右頬の上部に置き、左手の3~4 指の腹を頬骨の上からほうれい線の下に向けてスライドさせます。ほうれい線を引きのばすようなイメージです。これを3~4ライン行います。
同様に左頬を行います。その場合は左手で押さえて、右手をスライドさせます。
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咬筋をつまんでほぐす
右の頬骨のすぐ下にある咬筋を、右手の親指と人差し指の腹でつまみ、左右に小さく揺らします。硬くなっている部分が、咬筋がこって筋膜が癒着しているところです。そうした部分を探して、数カ所に行うといいでしょう。左頬も同様に行います。
一連のケアのあとには、刺激を加えた部分を耳の下方向に向けて優しくなで、顔全体を慈しんであげましょう。
「特に噛みしめ癖がある人はこのあたりがとても硬くなっていると思います。1日1回はここをリリースして、筋肉疲労と筋膜の癒着を取るようにすると、頬がふわっとハリを取り戻し、ほうれい線が目立たなくなります」
【教えていただいた方】

LHJ(Life &Health Joy)代表。薬剤師として勤務するかたわら、リンパケアのインストラクターに。体に負担がなく、効果的な美容・健康法であるリンパケアの普及に取り組んでいる。テレビ、ラジオ、講演などで活躍。著書に『60歳からのリンパケア入門』(宝島社)、『1日10分でどんどん若返る! 一生使える若返りリンパケア』(三空出版)など多数。
撮影/フルフォード海 取材・文/山村浩子