発酵食品も菌の一種。とりすぎるとカビを増やします
最近はネットやテレビでも健康情報があふれています。
そのため、腸内環境を整える重要性を知り、発酵食品を積極的にとっている人は少なくないでしょう。
「しかし、特に明確な病気がないのにお腹を壊す、疲れやすい、慢性的な皮膚湿疹に悩まされて来院した患者さんで、その原因に『お腹のカビ』が疑われるなかには、こうした食事に気をつけているヘルシー志向の人がとても多いのです。
日本で食べられている主な発酵食品は、
大きく『カビ類』、『麹菌類』、『酵母類』、『菌類』に分かれます。
『カビ類』はかつお節、カマンベールチーズやブルーチーズなど。
『麹菌類』は醤油や味噌、みりん、米酢など。
『酵母類』はパン、ワイン、ビールなど。
『菌類』には納豆、ヨーグルト、ぬか漬け、キムチなどが含まれます。
このうち、今回の「お腹のカビ」はカビ類、麹菌類、酵母類を含めています。
このような食品はどれも適量なら体に有用なものです。そのために、健康を考慮して調理に必ず甘酒や塩麹、味噌、米酢を使う、納豆や漬け物、ヨーグルトを欠かさないという人がいます。
そして、なかには朝食はパン食、晩酌にはワインやビールが欠かせないと、摂取が習慣化している人もいます。
しかし前述のとおり、これらも大きなくくりの中ではカビの仲間です。すでに『お腹のカビ』が増えすぎて体調が悪いときには、さらに症状を悪化させることがあります。
すべての人に発酵食品がダメだと言っているわけではありません。
体調不良の原因が『お腹のカビ』と疑われる人は、まずは3週間ほど発酵食品をとらないようにします。それにより体調に変化が出るかを試すのです。これで体調がよくなれば、発酵食品のとりすぎの可能性が高くなるわけです。
また、ビタミンやミネラルを補給する錠剤のサプリメント、特に人工的に作られたものを過剰にとると、カビの栄養源になります。サプリメントに頼らず、栄養はバランスのよい食事から補給することが大切です」(内山葉子先生)
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カビが生じやすい食品に要注意!
ほかにも、健康によいとされる食品の中に、注意の必要なものがあります。それはナッツ類や果物。その理由はカビが生えやすいからです。
「最近はヘルシーなおやつとして人気が高いナッツ類ですが、カビが生えやすい食材であることを覚えておいてください。そのため輸入時に防カビ剤が使われています。一方で、『防カビ剤不使用』やオーガニックをうたっているものは、カビやすいので保管方法に気をつけて早めに食べることが大切です。
また、果物もバナナやパイナップルなどの輸入品は防カビ剤が使われています。果物は国産品であってもカビやすいので、収穫して長期間たったものは避けたほうがいいでしょう。
ほかに小麦、大麦、砂糖、コーヒー、とうもろこしなどもカビが発生しやすい食品なので、保管に気をつけて、早めに食べるようにしましょう。特に麦類や砂糖はカビの大好物なので避けたい食材です。
※砂糖に関する詳しい情報は第4回参照。
※麦類やパンに関する詳しい情報は第5回参照。
発酵食品のとりすぎをやめて、合成のサプリメントやカビが生じた食品、アレルギーのある食品を避けること。そして、バランスのよい食事をリラックスして、よく噛んで消化酵素を働かせてとることが、『お腹のカビ』を減らす大きなポイントです。
時には朝食を抜いたり、1日1食にするなどのプチ断食をして胃腸を休ませるのもいいでしょう。こうした食事を3週間続けてみてください。私の経験上、これでかなりの人がよい方向に向かいます」
【教えていただいた方】

「葉子クリニック」院長。関西医科大学卒業。大学病院・総合病院を経て、福岡県北九州市で「葉子クリニック」を開設。総合内科専門医、腎臓内科専門医。本当の健康とは「心」「体」「スピリット」が整った状態と考え、西洋医学だけでなく、東洋医学、自然療法、民間療法も取り入れてホリスティックに治療を行う。著書に『おなかのカビが病気の原因だった』(ユサブル)、『パンと牛乳は今すぐやめなさい!』(マキノ出版)、『デジタル毒』(ユサブル)など多数。
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イラスト/内藤しなこ 取材・文/山村浩子