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骨粗しょう症予防の第一歩は、骨密度を測り、自分の骨を把握することから!

骨粗しょう症とは、骨強度が弱くなり、骨折するリスクが高くなる疾患。日本の患者数は男性300万人、女性980万人。骨粗しょう症にかかるのは女性のほうが多く、「6人に1人」かつ「70代以上は50%」という事実! OurAge世代には喫緊の課題といえる骨粗しょう症ついて、九段坂病院・整形外科医の大谷和之先生に伺いました。

【教えていただいた方】

大谷和之
大谷和之さん

国家公務員共済組合連合会 九段坂病院 診療部長。脊椎・脊髄疾患の専門医、医学博士。日本整形外科学会 整形外科専門医・認定脊椎脊髄病医・認定運動器リハビリテーション医日本脊椎脊髄病学会 脊椎脊髄外科指導医・脊椎脊髄外科専門医。頚椎から腰椎まですべての脊椎・脊髄疾患の保存治療および手術治療を行っている。

知っておきたい「骨密度」と「骨粗しょう症予防」

WHOの定義では、「骨粗しょう症は、低骨量と骨組織の微細構造の異常を特徴とし、骨の脆弱性が増大し、骨折の危険性が増大する疾患」とされています。日本での患者数は男性300万人、女性980万人、合計1,280万人と推計され、女性は6人に一人、70代は50%という結果に。また、40歳以上の日本人における骨粗鬆症の有病率(腰椎)は、男性3.4%、女性19.2%で、大腿骨頸部では男性12.4%、女性26.5%でした。

 

先述の通り、女性での有病率は年齢と共に高くなり、80歳以上では腰椎43.8%、大腿骨頸部65.1%にのぼります。

 

そして、女性の年齢の骨密度でいうと、当然ながら子ども時代の骨はあまり強くなく、18〜20歳ぐらいの頃に人生の最大骨密度を迎え、その後しばらくはそれを維持します。しかし、50代を過ぎると、閉経による女性ホルモンの急激な減少によって、骨密度は一気に下がり、骨粗しょう症になりやすくなります(それ以前は、女性ホルモンがカルシウムの吸収を助け、骨を壊して吸収する「破骨細胞」を抑える作用が働いていたのです)。

 

ということは、この最大値は、残念ながら20歳頃には決まってしまう、ということ。ですから、子ども時代に十分な運動、栄養が足りなかった人は、最大値そのものがスタートラインから低いのです。そういう人は、40代、50代でひどい骨粗しょう症になるケースが少なくありません。

 

今できる大切なことは、自分の骨密度=立ち位置を知ること!

 

骨密度は、銀行の預金残高と同じようなもの。若い頃に「骨貯金」をたくさんしていれば、年齢とともに減少しても、ある程度の余裕を持てます。しかし、どのくらいの貯金(骨密度)があるのかは人それぞれ異なり、お伝えした通り、幼少期からの生育環境や生活習慣によって変わってくるのです。

40代、50代の今、すでに骨密度のスタート地点は決まっています。そのため、今できることは何かというと、「自分がどの位置にいるのか」という立ち位置を知ること。まず骨密度の測定を行い、自分の骨の状態を把握しましょう。

 

正確な骨密度を測るには?

 

骨密度は医療機関で測定できます。「骨粗しょう症の疑いがある」場合は保険診療で検査を受けることが可能ですし、健康診断の場合でも実費で検査できる医療機関が多いようです。また、多くの人間ドックにも骨密度検査が含まれています。

 

世界標準の測定方法は「DXA法(デキサ法)」を用いた腰椎と大腿骨の測定です。簡易的な方法として、手首の骨やかかとの骨を超音波で測定することもありますが、正確な値を知るには、腰椎と大腿骨での測定が推奨されます。DXA法による測定は、大きな総合病院などで受けることができます。

骨粗しょう症_骨密度をDXA法で図る女性

 

記事が続きます

骨粗しょう症の診断基準

• 骨密度が若年成人平均(YAM)値の80%以上→正常
• 骨密度が若年成人平均(YAM)値の70%以下 → 骨粗しょう症と診断される
• すでに骨折を経験している場合、YAM値の80%以下 → 骨粗しょう症と判断される
*YAM:Young Adult Mean
若年成人平均値。腰椎では20~44歳、大腿骨近位部では20~29歳の健康な成人の骨密度平均値を100%として、それに対して何%であるかを比較するための指標。

 

測定結果の数値から、骨粗しょう症と診断された場合は、骨密度を増やす具体的な治療を専門医とともに進めることになります(その方法などについては別の回でお伝えしていきます)。

 

骨粗しょう症を予防するためには、正しい測定方法で自分の骨密度を確認し、早めの対策を始めましょう。健康な骨を保つことは、これからの人生を元気に過ごすための大切なポイントです。

 

 

イラスト/かくたりかこ 取材・文/井尾淳子

 

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