骨粗しょう症と関連する「脆弱性骨折(ぜいじゃくせいこっせつ)」とは?
骨粗しょう症になっても、痛みはないのが普通です。
しかし、骨粗しょう症による骨折は、通常では折れないようなわずかな外力でも、簡単に折れてしまうのです(そのため、「脆弱性骨折」と呼ばれます)。
例えば、家の中で尻もちをついただけで骨折することも。若い人なら同じ状況でも骨折しませんが、骨がスカスカになってもろくなっているために、ちょっとしたことでも簡単に折れてしまうわけです。まさに、骨粗しょう症の大きな問題といえるでしょう。
そして、骨粗しょう症になると特に骨折しやすくなるのが、以下の3つの部位です。
1位/背骨(椎体(ついたい)骨折 / 圧迫骨折)
骨粗しょう症に関連する骨折の中で最も多いのが、「脊椎の椎体骨折」です。要するに「背骨」ですね。
一般的には「圧迫骨折」とも呼ばれますが、医学的にはさまざまな骨の折れ方があるため、最近では椎体骨折と表現されることが多くなっています。
どんなときに起こる?
• 転倒して尻もちをついた
• 重いものを持ち上げた
• 前かがみの動作をした
• 特に原因が思い当たらないのに、いつの間にか折れていた(=いつの間にか骨折)
この骨折が起こりやすいのは、背骨の中でも「胸椎(きょうつい)」と「腰椎(ようつい)」の部分です。軽症や無症状もあるため、正確な頻度は不明ですが、既存骨折がある場合、将来の骨折率が4倍になるともいわれています。
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2位/大腿骨(大腿骨近位部骨折 / 頸部(けいぶ)骨折 / 転子部骨折)
次に多いのが、大腿骨の上部(股関節に近い部分)で起こる「大腿骨近位部骨折」です。
以前は「大腿骨頸部骨折」とも呼ばれていましたが、現在は大腿骨の上の方で起こるさまざまな骨折を総称して、大腿骨近位部骨折と言います。
どんなときに起こる?
• 転倒時(特に室内での転倒が多い)
• 筋力が低下し、足がもつれて転んだとき
この骨折は60代ではあまり見られませんが、70代後半から急増し、90代までの高齢者に多く発生します。
骨折をきっかけに歩けなくなり、寝たきりになるリスクがあるため、特に注意が必要ですが、多くの場合、治療には手術が必要です。
また、日本では大腿骨近位部骨折の患者数が増加しています。2009~2014年に日本整形外科学会と日本臨床整形外科学会が調査した結果では、女性の骨折は男性の3.6倍多いこともわかっています。
3位/手首(橈骨(とうこつ)遠位端骨折(えんいたんこっせつ))
3番めに多いのが、手首の骨折(橈骨遠位端骨折)です。
これは、転倒した時に手をついてしまい、手首に強い衝撃が加わることで起こります。
どんなときに起こる?
• 転倒して手をついた
• 自転車で転んだ
この骨折は、比較的若い年代(50代頃)から増え始めるのが特徴です。70代以上の高齢者は自転車に乗る機会が少なくなるため、50〜60代の女性の方が注意が必要です。
実際に骨折をすると、次のような症状と影響があります。
• 手首に強い痛みがあり、短時間で腫れてくる。
• フォークを伏せて置いたような変形が見られることがある。
• 手がぶらぶらになり、力が入らず支えが必要になる。
• 骨折や腫れによる神経圧迫で、指がしびれることも。
治療法は、軽度の場合はギプス固定、重度の場合はプレート固定手術が必要となります。
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骨折はQOLの低下、介護の要因にも!
これら3つの中でも、足の付け根(大腿骨近位部)の骨折は、令和4年度の調査から、「介護が必要になった原因の第3位」となっています。
寝たきりになり、家族への介護負担が増えるだけではなく、本人のQOLを著しく低下させる骨粗しょう症は、将来の死亡リスクも高めることにもなりかねません。
OurAge世代の方々は、転倒しないように注意するのはもちろん、目には見えない骨への意識を、ぜひ高めていただきたいと思います。
【教えていただいた方】

国家公務員共済組合連合会 九段坂病院 診療部長。脊椎・脊髄疾患の専門医、医学博士。日本整形外科学会 整形外科専門医・認定脊椎脊髄病医・認定運動器リハビリテーション医日本脊椎脊髄病学会 脊椎脊髄外科指導医・脊椎脊髄外科専門医。頚椎から腰椎まですべての脊椎・脊髄疾患の保存治療および手術治療を行っている。
イラスト/かくたりかこ 取材・文/井尾淳子