一見、平凡な「長引く咳」、「手のこわばり」でも、思いがけない病気が隠れていることも…。それを見逃さないためにも、併発する症状などから、隠れた病気の可能性をチェック!
今回の話を伺った先生
総合診療医。東京医科歯科大学医学部附属病院・総合診療科科長。同大学院 医歯学総合研究科 全人的医療開発学講座 総合診療医学分野教授。三重大学名誉教授
長引く咳
咳は気道から異物(ウイルスやたんなど)を排出する、体の防衛反応。ですが、あまり長引くようなら喘息(ぜんそく)や重篤な病気を疑ってみるべきかも。
「慢性気管支炎」は気管支に炎症が起き、その粘液を排出するため咳が出ます。「後鼻漏」は鼻水が喉のほうに垂れてしまうのが咳の原因に。「咳喘息」は空咳が続きますが、気管支喘息のようなヒューヒューという喘鳴(ぜんめい)はありません。風邪を引いたあと、咳が2~3週間以上続くようなら咳喘息の可能性あり。気管支喘息の初期症状と考えられており、近年増加傾向です。いずれも早めに医療機関の受診を!
強い酸性の胃液などが逆流して、食道に炎症が起こる病気。原因は、食道と胃の境目にある下部食道括約筋の筋力の低下や、便秘で腹圧が高まることなど。治療は薬物療法が中心になります。
アレルゲンやちょっとした刺激で気管支が狭くなり、呼吸困難になります。ヒューヒューといった喘鳴を伴うのが特徴です。
「肺結核」は肺や気管支に結核菌が感染する病気。「肺がん」とともに、初期の症状は咳や痰です。急速に悪化していき、呼吸困難や血痰などの症状も。早期発見・早期治療が何より大事です。
手のこわばり
朝の手のこわばりは、更年期症状の場合は30分ほどで解消します。もしもこわばりが長引く場合は、治療が必要な病気かも…。
免疫の異常で、手足の関節が腫れて痛む病気です。進行すると骨や軟骨が壊れて関節が動かせなくなりますが、今は薬物療法で症状をコントロールできます。
手指の第一関節に腫れ、痛み、変形が起こります。多くは良性ですが、進行すると指が変形し、動きが悪くなることもあります。
イラスト/木下綾乃 構成・原文/山村浩子