40代以降はなぜ骨折しやすくなる?
●骨折しやすいのはこんな所
いつの間にか骨折しやすくなる理由
40歳を過ぎると骨折しやすくなるのは、運動不足や骨に必要な栄養素の不足も原因ですが、最も大きな理由には、女性ホルモン“エストロゲン”の減少が関係しています。
「エストロゲンには骨が壊れるのを抑え、つくられるのを促す働きがありますが、40代以降になるとエストロゲンが減少し、骨がつくられる速度より壊れる速度が速くなり骨がもろくなりやすいのです。特にエストロゲンが急激に減る更年期や、分泌量がゼロに近づく閉経後は骨がもろくなり骨折しやすくなります」(中村格子先生)
●女性の年齢と骨量・女性ホルモンの変化
女性ホルモンと女性の骨量には相関関係があり、女性ホルモンの分泌量が急増する10歳から16歳で、骨量は急激に増えていき、40代以降に女性ホルモンが減っていくと骨量も減少。特に閉経を迎える50歳前後に女性ホルモンが激減し、それとともに骨量は急速に減りはじめます。
50歳以上の女性は一生のうちに
背骨の骨折…3人に1人
脚の付け根の骨折…5人に1人
実際、50代以上に骨折は急増するというデータもあるそう。
「50歳以上の女性がその後の生涯で骨折する確率は、椎体(脊椎)骨折が37%、脚の付け根が22%という研究報告があります(下グラフ参照)。つまり50歳以上の女性は3人に1人が背骨を、5人に1人が脚の付け根を骨折するのです」(太田博明先生)
●日本人の50歳男女の一生に骨折する確率
上のグラフは、日本人の50歳の男女における一生のうちに骨折する確率を部位別に示したもの。すべての部位において男性より女性のほうがリスクが高く、最も発生率が高いのが背骨の骨折で37%。次いで脚の付け根の22%、手首17%、上腕の付け根10%と続きます。
更年期の不調が出はじめたら骨密度の低下が始まると心得て
更年期の不調が出はじめたら、骨密度の低下が始まるサイン。特に閉経後には骨粗しょう症が急増します。でも骨粗しょう症は今や治せる時代。骨はいくつになっても若返るので、日々の「骨貯金」と最新治療で乗りきりましょう。(太田博明先生)
【教えていただいた方】
日本産婦人科学会専門医、日本骨粗鬆症学会認定医、日本抗加齢医学会監事・専門医。日本の女性医療をリードするパイオニア。骨粗しょう症・アンチエイジング分野の第一人者
Dr.KAKUKOスポーツクリニック院長。スポーツドクター。一般患者からアスリートまで広く診療にあたる。健康な体をつくるエクササイズ指導も人気
イラスト/平松昭子 取材・原文/和田美穂