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【更年期の骨活】骨粗しょう症って、どんな病気? なるとどうなる? 何が怖いの?

更年期になると気になるのが骨がもろくなる病気、骨粗しょう症。なぜ閉経後になりやすいのか、どんな症状が出るのかなど、よくわかっていない人も多いのでは? 骨粗しょう症に関して知っておきたいこと、予防のための「骨活」について、「女性のための整形外科 かおるこHappyクリニック」院長の伊藤薫子先生に教えていただきました。

【教えていただいた方】

伊藤薫子
伊藤薫子さん
整形外科医
公式サイトを見る

いとう・かおるこ●「女性のための整形外科  かおるこHappyクリニック」院長。日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医。東京女子医科大学医学部卒業後、慶應義塾大学医学部整形外科学教室へ入局。関連病院勤務、アメリカ留学を経て、慶應義塾大学病院骨粗しょう症外来を担当。2021年7月、東京・帝国ホテル内に「女性のための整形外科  かおるこHappyクリニック」を開院。「いくつになっても背筋を伸ばしてハイヒール」をモットーに、女性一人一人の骨と関節の悩みに寄り添う診療に定評がある。院長が伴走するオンライン講座「4カ月の骨活プログラム」も全国から受講されている。

 

エストロゲン(女性ホルモンの一種)が減少すると、「骨が作られる速度」より「壊れる速度」のほうが上回り、骨密度が低下

骨折した女性

女性が閉経後に骨粗しょう症になりやすいということは、聞いたことがあっても、どんなメカニズムで骨粗しょう症になりやすくなるのか、よくわかっていない人もいるのではないでしょうか。

 

 

医師の伊藤薫子先生に、骨粗しょう症とはどんな病気なのかを伺いました。

 

骨粗しょう症とは、若年成人の平均と比べて骨密度が70%以下、つまり3割も少なくなってしまう病気です。

 

骨は、外側には硬い『皮質骨』という部分が、内側にはスポンジのような『海綿骨』という部分があります。

その海綿骨の骨密度が低下して、スカスカになってもろくなってしまうのが骨粗しょう症です」(伊藤先生)

 

骨粗しょう症の骨の模型

なぜ閉経後に「骨粗しょう症」になりやすくなるのでしょうか?

 

「骨は常に新陳代謝を繰り返しています。

この新陳代謝を担うのが、骨の中の破骨細胞と骨芽細胞です。

 

破骨細胞には、古い骨を溶かしてカルシウムを血中に流す働きがあり、骨芽細胞には、血中のカルシウムを取り込んで骨に定着させ、新しい骨に作り直す働きがあります。

 

破骨細胞が古い骨を壊すことを『骨吸収』、骨芽細胞が新しい骨を作ることを『骨形成』といい、このふたつがバランスよく行われることで、3〜5カ月ほどで新しい骨に生まれ変わるのです。

 

そしてこのバランスをとっているのが女性ホルモンのエストロゲンです。

エストロゲンには、骨形成を促し、骨吸収を抑える働きがあります。

 

ところが、40歳を過ぎた頃からエストロゲンは減少し始め、更年期以降になると急激に減ってしまい、閉経後は10分の1くらいになってしまいます。

 

すると、骨形成より骨吸収の速度のほうが速くなってしまうため、骨密度が低下し、骨粗しょう症になりやすくなってしまうのです。

 

閉経後3〜5年で少しずつ骨密度が下がり、50代以降の女性の4人に1人は骨粗しょう症になるといわれています」

 

 

記事が続きます

●破骨細胞が骨を壊す「骨吸収」と、エストロゲンの関係

女性ホルモンのエストロゲン 骨

●左の図【閉経前】

女性ホルモンのエストロゲンが、破骨細胞の働きを抑制する。

 

●右の図【閉経後】

閉経後、エストロゲンが減少し、破骨細胞が活発化する。

 

 

エストロゲンには、破骨細胞の働きを抑える作用があります。

閉経後にエストロゲンの量が10分の1くらいになると、破骨細胞の働きが骨芽細胞の働きを上回り、骨がもろくなってしまうのです。

 

●女性の年齢とともに「骨量」は変化します

女性の年齢と骨量の変化 グラフ

エストロゲンの量が10分の1くらいになる閉経後は、骨量が徐々に減っていってしまいます。

 

記事が続きます

一度骨折をすると、骨折を繰り返しやすくなったり、寿命を縮めてしまう可能性も!

 

骨粗しょう症になると、どんな症状が出るのでしょうか?
骨粗しょう症が怖い理由とは?

 

「実は、骨密度が低くなって骨粗しょう症になっていても、自覚症状はまったくありません。

 

そして、気づかないうちに骨がもろくなっていて、ベッドの脚に足の指をちょっとぶつけただけで骨折してしまったり、重いものを持っただけで圧迫骨折をしてしまったりというふうに、骨折しやすくなります。

 

すると日常生活に支障が出るのはもちろんですが、一度骨折をするとその後、骨折を繰り返すことも多いです。

 

また、特に怖いのが大腿骨(だいたいこつ/太ももの骨のこと。股関節から膝までの骨を指します)の骨折で、大腿骨を骨折すると、1年以内に亡くなる確率が約10%、5年以内に亡くなる確率は51%にもなるという報告があります。

 

亡くなってしまう理由のひとつは、大腿骨を骨折すると動き回ることができなくなるので、オムツをする生活になったり、尿道に管を入れることになることが多く、それによって尿路感染症になり、菌が全身に回って敗血症になることがあるからです。

 

また、動けなくなることで食べる元気がなくなってしまったり、入院中にせん妄(脱水、感染、炎症、貧血、薬物など、身体的な負担がかかったときに生じる「意識の混乱」のこと)を起こしたりすることで、食べ物の飲み込みが悪くなり、誤嚥性肺炎になって亡くなるケースもあります。

 

このような理由から、実は骨粗しょう症は命を失う危険もある、怖い病気なのです」

 

今から「骨活」をすることで、「骨粗しょう症」は防げる!

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そんな骨粗しょう症を、予防することはできるのでしょうか。

 

「骨粗しょう症を防ぐためには、20歳までに骨密度を上げておくことが理想的なのですが、今から“骨活”をすることでも防ぐことはできます。

 

人生の最後まで、自分の足で歩いてトイレに行けるようにするためにも、今日から骨活を始めることをおすすめします」と伊藤先生。

 

 

写真・イラスト/Shutterstock〈イメージカット〉 取材・文/和田美穂

 
 


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