更年期の不調から脱するため、次々チャレンジしてきた作家・横森理香。
閉経前後の体験を描いた『コーネンキなんてこわくない』(集英社刊)は、
“コーネンキ”を明るく乗り越えるヒントがいっぱいの一冊だ。
さて、今回は、東北、岩手県は世界遺産・平泉へ。
毛越寺で座禅、中尊寺で写経・・・と、マインドフルネス体験を!!
さて、その後、彼女が味わったものは・・・!?
世界遺産・平泉は、夜も朝も極楽浄土・・・!?
世界遺産・平泉。二泊目は中尊寺から五キロほどの山合いにある「そば庵 しづか亭」に泊まった。
そんな山奥なのに稼働率75%を誇るイケてるお宿で、温泉も出る。中尊寺まで迎えに来てもらえるし、なんとお料理は、目の前の自家菜園で採れたお野菜を使った大人女子垂涎のヘルシー蕎麦御膳だ。
量もちょうどいい。なんせ寄る年波、旅館の食事は量が多すぎていただけない。でも、美味しいものをチョコチョコいただけるなら、浴衣でお部屋でがサイコー✨
夕方、いつもなら、洗濯物を畳んでペットの世話をして家族の食事の支度をして・・・という、お忙しい主婦なら、風呂入ってごはん出て来るという旅は、まさに「極楽浄土」♥
明日からまた頑張ろうという気持ちにもなれる。
この日も、なんせ一万三千歩も歩いたわけで、夕食後、お布団敷いてもらうと私はすぐに、コテっと寝てしまった。編集者Kが「もう一回、お風呂行ってくるわ」と出かけた後、電気を煌々とつけっぱなしでw
翌朝、いつも通り早起きした私は、ひんやりした朝もやの中、ヤッケを着て表に出た。
目の前の菜園と山に向かって、朝の準備体操をするためだ。
朝も、主婦ならばペットの世話や家族の朝ごはん作りで、またお勤めの方は、出掛ける支度でお忙しいだろうが、こうやって自分のために時間を使えることの、なんと贅沢なことか。
空は朝焼けで美しい。
北上から平泉、岩手を旅して気づいたことだが、空の抜け感が素晴らしいのだ。
美しい風景の向こうにポーンと、鮮やかな青空と白い雲がある。
どこで写真を撮っても素晴らしく、光の具合も理想的。気持ちも晴れ晴れするとともにインスタ映えするから、ぜひ大人女子旅に出かけてほしい。
朝の準備体操をしてから、なーんか冷えちゃったなぁと思い、朝風呂へ。
♪おはらしょうすけさん、なんでしんしょうつーぶした? 朝寝、朝酒、朝湯が大好きで、それでしんしょうつーぶした、はぁもっともだぁ、もっともだぁ、と、小さい頃親に教わってよく歌っていた歌を思い出し、一人笑った。
この宿では、朝ごはん前に、自由参加で菜園の散歩ツアーがある。
野菜のお世話をしている農家のおじさんに、そこに生えてる野菜やハーブの説明を受けられ、ものによっては採って食べることもできる。
お蕎麦も育てているが、ここのだけじゃ足りないから買ってもいるらしい。
虫よけはカモミールなどのハーブで。
ハーブも野菜も、ケールなど今風のものが満載でお洒落✨
いちごやブルーベリーも、とびきり大粒で甘いのを摘んでいただけた。
キュウリももいで、朝ごはんに出してもらった。とれとれのキュウリを味噌で♡
朝ごはんをいただいてから、再びお部屋で寝落ち。
編集者Kは知らないうちに朝風呂に行っていた。
朝ごはんを食べてからもう一度寝られる、これもまた「極楽浄土」。
私たちの日常はかくも気ぜわしく、忙しい。だからこその、大人の休日w
たまのリトリート(お隠れ)が必要なのだ。
噂のパワースポットに行ってみることに・・・
十時のチェックアウトまでゆったりした我々は、宿から車で十分ほどの「達谷窟毘沙門堂」(たっこくのいわやびしゃもんどう)に向かった。
ときの征夷大将軍、坂上田村麻呂が創建したと伝えられる御神域だ。
大きな岩にめり込むような形で建てられたお堂は、無人。「最強のお札あります」とメモが。料金は千円。お代はお賽銭箱にと。
冗談みたいだが、「最強のお札」と言われたら、買わないでか!!
お参りをして、反対側の階段を降りると、そこには「岩面大佛」が。つまり岩に、大佛が彫ってあるのだ。
こ、これって、なんかあれ、グランドキャニオン?
「うわー、すごい、スリランカみたい」
編集者Kが目をきらきらさせて見上げている。
彼女はスリランカのリピーターで、なんでもそこにはこんな風な岩場があり、やはりパワースポットなのだという。
「横森さんもスリランカ、行かなきゃだよー」
と盛んに勧めるが、私はもう、国内旅行でじゅうぶんだった。十時間とかのロングフライトはもうイヤなのだ。
三時間以内で行ける国内で、行ったことのないところがまだまだ沢山ある。そしてじゅうぶん楽しめるし、食事もちょうどいい。
大人女子の旅のテーマは、「癒し」、「祈り」、「休息」、それに尽きる。
お参りが終わった我々は、そこからすぐの景勝地「厳美渓」(げんびけい)に赴いた。
平泉の景勝地は、「けい鼻渓(けいびけい)」と「厳美渓(げんびけい)」。
紛らわしいが、「川下り」のほうが「けい鼻渓」で、「団子」のほうが「厳美渓」だと、地元の人は説明する。
川下りはそれだけで一時間半かかり、新幹線の駅「一ノ関」より遠いから、近くの「厳美渓」で名物「空飛ぶ団子」をいただくことに。
「空飛ぶ団子」とは何ぞや?
それは、籠にお金を入れ、木の札を叩いて知らせると、その籠が渓谷の向こうにある団子やさんにすーっと飛んでいき、しばらくすると、こっちにあるあずまやに、お団子とお茶が籠に入って届くというシステムで、まぁ一つの、プリミティブなエンターテイメントとなっている。
しかしそこには、台湾から来た団体さんがいて、ごった返していた。
こ、こんなところまでインバウント!!
仕方がないので渓谷をしばし散策してから、吊り橋を渡り、団子屋さんまで食べに行った。
そして我々は、「空飛ぶ団子」を発明したおじいさんの像(木彫り)と対面するのであった。
この団子屋の創業者、千葉酉吉は実にアイディアマンであった。
籠をロープで操り、団子を向こうの東屋に届ける。このシステムは団子以外でも、景勝地で時折見かけるが、ここが発祥だという。
「見ていかれますか?」
と、お店のお姉さんに勧められ、我々は、狭い急な階段を上がり、お二階に。そこには、狭いお座敷に四人ほどのおじさんがいて、手作業でお団子を飛ばしていた。
で、
「やってみますか?」
と勧められ、なぜかロープを手繰って空の籠を手繰り寄せる編集者Kと私w
座禅から始まり写経、そしてお団子を飛ばす、なかなか濃ゆい旅とあいなった。
さて、美味しいものを食べに・・・!!
平泉、一ノ関あたりはお餅文化でも有名だ。年間通して日本一お餅を食べるところで、なんと三百種類以上のお餅料理があるという。
せっかくなので、最後の最後、一ノ関の駅にほど近い世嬉の一酒造の蔵元レストラン「せきのいち」で、お餅御膳をいただいた。
お餅はハレのお料理なので、塗りのお膳に乗ってくる。
お雑煮はもちろん、沼えび、ゴマ、あんこ、ずんだの四種類。真ん中に甘酸っぱい大根おろしがあり、箸休めの若芽やお漬物とともに、甘→辛→甘の無限ループに嵌る。
つきたてのお餅は柔らかく、美味しい。いくらでも食べられちゃう感じだった。
「あー、やばいやばい、太った太った」
と編集者Kは言うが、旅の時ぐらい、太ったってええじゃないかと、私は思った。
だって、「極楽浄土」だよ?
いつも頑張ってる自分はしばし忘れて、快楽に浸ろうじゃないか!
・・・・世界遺産・平泉の旅★終わり・・・・
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作家・横森理香が更年期の不調解決のため、空中ヨガ、イケメン太極拳、コルギ、観光ウォーキング、グルテンフリーなどに次々チャレンジ。読むだけで気持ちが前向きになる一冊です。
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