【今回のOurAge賢者】
吉川千明
美容家、オーガニックスペシャリスト。自然や植物の力に着目し、オーガニックコスメをはじめ、スパ、漢方、食にいたるまで、ナチュラルで美しいライフスタイルを提案。連載「ハッピー女神プロジェクト」でも、更年期の健康、美容について多角的に発信している。産婦人科医・対馬ルリ子氏との共著『「閉経」のホントがわかる本 ~更年期の体と心がラクになる!』が好評発売中
<お悩み>めまい・フワフワ感、ギシギシとした腰痛、月経周期の乱れ、手指の腫れ…不調が押し寄せてきます。でも検査では異常なし
この一年ほどで、今までにはない不調、症状を感じ始めるようになりました。たとえば、めまい・フワフワ感、ギシギシとした腰痛、月経周期の乱れ、手指の腫れ。でも健康診断での血液検査をはじめ頭部MRI、手指のX線検査、リウマチや膠原病などの抗体検査では全く問題なしの結果に。これは更年期の始まり?今でもつらいのに、これ以上ほかの症状が出てきたら生活していけるのかと不安です。(41歳・会社員)
<回答>更年期症状だと思います。更年期治療をしましょう。不安にならなくて大丈夫。ただ、閉経年齢が早い人は、老化も早い。婦人科の受診で、減りゆく女性ホルモンを食い止めてください
自ら検診を受けて調べようとする姿勢、立派です
相談者さんに対してまずお伝えしたいのは、「本当に頑張りましたね」ということ。急にこれだけの不調が出てきて不安もある中、ご自身でいろいろな検査を受けに行かれたのですね。そんなふうに、しっかりと行動にうつされている点が本当に素晴らしいなと思いました。
私自身は37歳からプレ更年期が始まったので、次々に襲われる不調に悩まされる日々を過ごしました。喉に魚の骨が詰まったような感じになったり、胃がしくしくしたり、もの忘れや不眠、手の痛み、皮膚のかぶれ等々。心臓がバクバクするようになった時は心配で、心電図を取りにも行きました。そしてあなたと同じようにあらゆる科を受信したあげく「どこも異常なし」と言われ、何もせずに帰されました。
ですからあなたのお気持ちはとてもよくわかりますし、共感します。文面にもあるように、検査を受けて一つずつ原因を潰してくださってきたおかげで大事なアドバイスをすることができるので、「ありがとう」と、お礼をお伝えしたいくらいです。
そしてこのご相談者さんのお悩みについて結論から申し上げると、更年期症状だと思います。「ここからは早めに、婦人科を受診してください」ということになります。そして、もう一つ。「大丈夫です。全くもって不安にならなくて!」と重ねて申しあげます。
ただし、絶対に放置しないことです。
更年期症状が出るには、年齢が早いのが気になります
めまいやフワフワ感があれば、「脳の異常?」と思い、MRI検査を受けようと思うことでしょう。また、手指の腫れがあれば、「整形外科でレントゲンを」とも思うでしょう。それは普通の人の感覚であれば当然のこと。
でも更年期について正しい知識を持つと、ご相談者さんの症状は、すべて更年期の症状を表していることがよくわかります。文面には、「月経周期の乱れ」ともありますね。更年期かどうかの判定は、血液検査でわかるホルモン値がすべてではなくて、月経周期の乱れのほか、更年期特有の症状が出ているかどうかで判定することができます。他科で受けた検査でどこも異常なしが出てますし、症状からみても、すでに更年期が始まっている可能性は十分に考えられるのではないでしょうか。
そこで気になるのは、相談者さんのご年齢。41歳で、これだけの更年期の典型的な症状が出ているのは、ちょっと早いように感じました。かつて私がそうだったように、ハードワークからのストレスを受けていたり、生活習慣が乱れていたりすることで卵巣機能が低下し、年齢的には早くても、更年期の症状が前倒しとなって現れることはめずらしくありません。相談者さんの場合もそのようなプレ更年期なのか、あるいは本格的な更年期なのかまだわかりませんが、ここから先は婦人科の領域の話になっていくと思います。
いい婦人科医を探して、タッグを組みましょう
一日も早く婦人科の受診をおすすめしたい理由は、症状の改善のみではありません。何よりも心配すべきは、更年期が早い=老化も早く始まってしまう、ということ。
女性は閉経以降、更年期の後半に差し掛かると、骨粗しょう症や生活習慣病、泌尿器系のトラブルが時系列にやってきます。すると、40代で閉経する人と50代で閉経する人とでは、ともすると10年の差が開いてしまうことはありうるのです。更年期は女性ホルモンが急激に減ってしまう時期ですが、私たちの老化を食い止めてくれているのもまた、女性ホルモン。閉経年齢が早い可能性がある人の場合は決してその状況を放置しないことです。ホルモン補充療法(HRT)、あるいは生理があれば低用量ピルの服用などによって、最強の武器である女性ホルモンを補う方法を婦人科の医師とともに探りましょう。
ただ、更年期による女性ホルモンの増減は、血液検査では数値に上がってこないこともしばしば。「数値は正常なので、更年期ではありません」と返されてしまうことも少なくないことは知っておいてください。私も更年期が始まった当時、数値は正常でしたが、いろいろな症状は本当につらかったです。ですから、マイ婦人科を持つことと同様に大切なのが、いい婦人科の先生を見つけるということ。
いい婦人科医とは、数値だけを見るのではなく、患者さんの症状や訴えに着目し、つらい気持ちに寄り添ってくれる先生だと思います。『更年期、良い産婦人科の選び方』(前後編)と題した私の過去記事もあるので、合わせて参考にしてください。
それでも相性のいい婦人科医を見つけることが難しかった場合は、ぜひ産婦人科医の対馬ルリ子先生と私の「女性ライフクリニック新宿」にいらしてください(2024年1月以降、毎週金曜日の午前中に対馬ルリ子先生は治療、吉川千明さんは更年期カウンセリング・アンチエイジングカウンセリングを行って、二人一緒にいます。*吉川さんのカウンセリングは要予約)。
フランスでは、更年期症状などの不調で仕事を辞める女性はいないと言われています。一方で日本では、更年期症状によって仕事に何らかのマイナスの影響があった「更年期ロス」に当たる人は推計100万人を超えると報告されています(2021年NHKが実施した調査/独立行政法人労働政策研究・研修機構発表)。
私もメノポーズカウンセラーとして、この国のすべての女性が正しい更年期の知識を持ち、いつまでもエネルギッシュに活動できる未来を目指して、ますます本気で取り組みたいと思っているのです。
取材・文/井尾淳子
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