読者の中には、年老いた親の介護をしている人が結構いると思います。
本当に本当に大変よね。お金もかかるし、時間もかかる。しかもいくら面倒をみてもあまり良くならないばかりか、だんだん子供みたいになってきて、どんどん要求が増えていくんだよねぇ。今まで当たり前のようにできていたことができなくなって、風呂やトイレも自由にひとりでできなくなれば、悔しいやら情けないわで、そりゃあ親の方もつらいよね。
介護する方もされる方もつらい!この問題を解決するには、ハイパー介護ロボット登場しかないのかなあ。 ロボットなら何回も悪いなあとか気にしなくてもいいし、介護保険をちゃんと払っている人には国からレンタルしてほしい!!ほしいよね!
ってことで介護ロボットってどの程度進歩してるのかちょっと調べてみたら…。
アカーン!!人間並みの能力がある介護ロボットができる前に、一条は間違いなく死ぬな。介護アシストロボットはできても、完全型介護ロボットはちょっと無理!
万一できたとしても地獄のような値段だろうし、それよりも、元気で長生き、介護知らずの体を目指す方が、よっぽど金もかからず現実的だわ。
そのためにはズバリ!!親を甘やかさないことよ!
人間はちょっと楽ができると思ったら、どこまでも楽を追求する生物です。親とて例外ではありません。友だちの話を聞いて驚いたんだけど「それ、やりすぎなんじゃない?」って思ったことが。
食事中、親がお茶を飲みたそうにしていたから、土瓶から湯飲み茶碗にお茶を入れてあげてたんだって。よく気がつく娘よね。親としても居心地いいはず。
大した手間じゃないし、お茶ぐらいいつでも入れてあげようという気持ちは美しいけど、けどね、それが当たり前になって、親が自分でお茶を入れなくなったのよ。
そしたらよ、たかがそんなことで腕の筋力が弱って、土瓶が持ち上げられなくなったんだって!!冗談みたいな話だけど、老人の筋力低下スピードはそこまで早いってことよ。それで友だちは恐ろしくなって、親にお茶を入れてあげるのをやめたって言ってたわ。で、どうなったかと言うと、ギリギリセーフだったらしく再び土瓶を持ち上げられるようになったんだって。良かった良かった。
つまりね、こっちが良かれと思ってやっていることが、じつは親をダメにしてるってことがあるのよ。親はまだそこそこ元気なのに、ちょっと危なっかしくても自分のことは自分でできるのに、「親孝行な娘でいたい」「いい嫁だと思われたい」とかいう気持ちが強すぎて、本人ができることまで世話を焼くんだよねえ。
だから何でもかんでもやってあげればいいんじゃなくて、できることは、本人がやるべきだし、できたら親にも何か仕事を与えたほうがいいと思う。郵便受けから新聞を持ってくるのを任せるとか、トイレットペーパーの交換をやってもらうとか、山のようにある家事の何かを分担してもらえるといいよね。
あと会話はとっても大切。また同じ話かよと思っても、嫌がらないでたくさん話をした方がボケ防止にもなるはずです。
ということで、親にいつまでも元気でいてほしかったら、散らばった豆を拾ってあげるんじゃなくて、むしろ「豆をまいて拾わせろ」と思う一条でした(笑)。
「有閑倶楽部」集英社文庫<コミック版>
取材・文/佐藤裕美
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