2月は寒いし、能登はまだまだ大変だし、漫画家界隈は悲しいニュースにざわついてるし…。暗い話題が多いので、突然ですが、今でも語り草になってる一条の『マジかよ結婚披露宴』の話で明るく盛り上げたいと思います。いつもと違って、ためになる要素ゼロだけど、笑ってやってくださいませ。
あれは37年前のこと。当時の担当編集者、7歳下の男性と結婚することとなりました。披露宴に選んだのはホテルオークラ。
どこがいいか税理士に相談したら、「集英社の編集者と集英社の専属漫画家の結婚式なので、一条さんに合わせるなら帝国ホテルかオークラ、旦那に合わせるなら明治記念館が無難かな」と言われたので、オークラに決定しました。
だってね、おいしいのよ!オークラの中華!それでホテルの披露宴担当の人といろいろ打合せをしたんだけど、笑っちゃったのが、係の人が一条のことを「お嬢様」って呼ぶのよ〜(笑)。
へっ?お嬢様ってもしかして私のこと?うわぁ〜人生で初めてお嬢様と呼ばれた━━!!
いやいやいや、その時一条37歳!さすがにお嬢様はないだろうと思ったら、なんとま、新婦になる方は誰でも「お嬢様」って呼ぶのが決まりで、たとえ80歳でもお嬢様と呼ぶそうです。ホテルオークラ、いい仕事してるわ。
で、基本こっ恥ずかしい演出が嫌いなので、新郎新婦のキャンドルサービスとか、両親への御手紙とか花束贈呈とか、いろいろ勧めてくるもの全部NO。ウエディングケーキはいらないけど、代わりに樽酒で鏡割りをやりたいと言ったのよ(笑)。
だって結婚式のケーキって、たいていパサパサで、どーでもいい味じゃない。それより旦那も私も浴びるほど酒を飲むタイプなので、ここはやはり樽酒一緒に叩き割って、めでたく一本締めでパンっていうのやってみたかったのよね。「有閑倶楽部」を一緒に作ってた漫画家と担当の結婚式なんだから、やっぱコレでしょ!?
そしたらホテルの人が、「お嬢様、結婚披露宴で“割る”とか“別れる”は禁句でございます。鏡開き、ですね」って。あーはいはい(笑)。
それで銘柄は忘れたけど大きな樽酒をオーダーして、ケーキ入刀の代わりに2人で木槌を手に蓋を叩き割り、その酒をキャンドルサービスの代わりに振る舞いました。なんというか、ほとんどウェディングドレス姿のホステスさん。そのうち客が勝手に樽まで注ぎに行ったり、私も旦那もあちこちのテーブルからお声がかかり、この状態を通りすがりの人が見たら、ただのパーティーだと思ったであろう。
招待客は忘れたけど100人以上はいたと思う。当時、私は東村山に住んでいて、近所の仲良しのおばさんたちも招待したんだけど、そのおばさんたちが歌った歌が『別れても好きな人』(笑)。いや確かに、何でも気にしないで好きに言っていいとは言った!言ったけどまさか歌うか、『別れても好きな人』。見事だ!素晴らしい!きっとホテルオークラの披露宴担当者の伝説になっているであろう。
無礼講で盛り上がって、招待客が帰る時は、「いや、楽しかったわ」「来年もやってね!」っと大好評でしたが、冗談じゃありませんことよ。むっちゃ高かったんだからね。
ウェディングドレスの話とか、美味しい中華の話とか、色々ネタが尽きないのでなんと次回は初の続きで、乞うご期待あれなのだ❣️
「有閑倶楽部 ウェディングエクスプレス」コーラス2002年4月号扉
取材・文/佐藤裕美
この連載が1冊の本になって発売されました!おかげさまで大好評、たちまち重版に!!
「不倫、それは峠の茶屋に似ている
たるんだ心に一喝‼ 一条ゆかりの金言集」(1,760円・税込)
詳しくはこちらへどうぞ!