京都室町通は、昔から呉服商が多い通り。そこにある明治34年創業の「宮井株式会社」という袱紗・風呂敷問屋の老舗が、平成19年に風呂敷文化の発信および啓蒙活動の拠点として「唐草屋」という風呂敷専門店を開業しました。
布というものが生まれてから、ものを包む布「風呂敷」の歴史はスタートします。ものを保管、運搬する「風呂敷」は、まさにあらゆる時代に日本人の生活に欠かせないものとして存在してきたのです。でも、今、ものを運搬する道具として、日常的に「風呂敷」を使う人の数は激減。さまざまなタイプのバッグが、「風呂敷」に替わっています。
日本文化のひとつである「風呂敷」の魅力を、現代の人にもっと知ってほしいという宮井社長の思いから生まれた風呂敷専門店「唐草屋」。そこには、現代の生活でも、さまざまなシーンで活躍できるカラフルでモダンな「風呂敷」が、種類豊富に並んでいます。
「風呂敷」と一口に言っても、そのサイズはさまざま。金封やお弁当などを包む45センチ幅から布団2組をすっぽり包む238センチ幅まで、包むものによっていろいろな種類が揃っています。実は、正方形と思われがちが風呂敷ですが、実は、縦の長さが横より2~3%長くなっているのだそう。それは伸縮作用がより働き包みやすさがアップするため。長い歴史の中で生まれた先人の知恵なのです。
また素材も、絹、綿、レーヨン、ポリエステルなど、包むものの大きさ、重さ、目的によって選ばれてきました。
本当に風呂敷の種類の多さに驚くばかりです。
さて、このお店を訪れて、あまりの種類の多さに、自分に合う風呂敷を見つけるのに悩んでしまいます。そんな人には、お店の方が用途にあった風呂敷をアドバイスしてくれます。また、ただ結ぶだけではなく、まるでバッグのように開閉が容易で持ちやすい結び方や扱い方なども教えてもらえます。
「どんなものでも包めるんですよ」とお店の方。瓶や立体的な品々など袋に入れにくいものでも、風呂敷なら、持ちやすく、また美しい姿になり、そのまま贈り物にも…。「ワインを包むのも素敵ですよ」と。
さらに布のデザイン、その配色具合で、1枚の風呂敷もさまざまな表情を見せてくれるのに感激。結び方で内側の色が外に現れたり…そのバリエーションの多さも風呂敷ならではの魅力です。
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折り畳めば、コンパクトなサイズになり、バッグに常備しておけば、エコバックのようにいざという時、重宝します。「デザインが素敵だから、スカーフのように使いたくなりますね~」というと、「そうですね。バンダナなどになさる方もいらっしゃいます」とのこと。
和のテイストが強いと思われがちな風呂敷ですが、ここのデザインは、モダンなものも多く、洋服にもマッチし、シックな色のバッグと合わせて持ちたくなります。
特に旅行では、スーツケースに衣類などを包み入れておくと、部屋で荷物をまとめるのに便利です。「バッグのような結び方を知っていると、旅館で食事処や大浴場に行くのにバッグでは…という時、バックのように結んだ風呂敷いいですね~」と旅行好きの私。「そうなんです。旅行では風呂敷が1枚あると宿やホテルで本当に重宝すると思いますよ」と。
また、ある日、お茶会の待合室やホテルのクロークなどで着ていた和服のコートや襟巻を持参した風呂敷でさっと包んで係の方にお預けする女性を見かけたことが…。そのさりげない心遣いに感心したこともあり、風呂敷の素敵な使い方をさらに知りたくなりました。
ここには、「唐草屋」オリジナルの風呂敷が多く、お土産として海外観光客にも人気。確かに嵩張らないお土産品は、贈る側にも好都合です。京都の風物をデザインした遊び心いっぱいの風呂敷です。風呂敷の価格は、大きさや材質で異なりますが、50センチのサイズなら648円から。90センチサイズでも1620円からで求めやすい品々が揃っているのも嬉しいこと。贈り物のつもりで求めた品は、いつの間にか、自分のバッグに常備する品になりました。
唐草屋
京都市中京区室町通六角下ル鯉山町510宮井京都ビル1階
075‐221-0390
営業時間:11:00~18:00 定休日:火曜 年末年始
小原誉子
ブログ「ネコのミモロのJAPAN TRAVEL」