今年は猛暑が長く続くとか。外出自粛で体力が低下していると、余計に熱中症が心配です。そこで、日本薬科大学・特任教授の石川泰弘さんに予防法と緊急時の対応をうかがいました。
石川泰弘さんは(株)バスクリン勤務時代に「お風呂博士」として活躍、大塚製薬(株)を経て、現在は日本薬科大学 医療ビジネス薬学科 スポーツ薬学コースで特任教授をされています。私は(株)バスクリン時代からのお付き合いですが、教授になられるとはスゴイ! 聞けば、会社に勤務しながら漢方アロマや温泉学、スポーツ健康科学などを学ばれていたそう。努力を続ける人は違うな~と感心します。
地球の温暖化が叫ばれるようになって久しいですが、環境省による未来の予想最高気温は2100年に東京で44℃なのだとか。エ~! どうなっちゃうの? 夏がどんどん暑くなっているはずですね。
熱中症は高温の環境下で体内の水分と電解質(イオン)バランスが崩れて深部体温が上昇し、カラダの調節機能が働かなくなって起こる障害。そのため、予防にはまず水分補給とエアコンなどで深部体温を下げることが大切です。体内の水分は成人男性で60%、成人女性で55%とされ、摂取と排泄で常にそのバランスが保たれています。その水分に含まれている電解質はナトリウムやカリウムなど。暑い夏や運動時にスポーツドリンクでの水分補給が推奨されるのは、これらの電解質が含まれているからです。
そこでスポーツドリンクですが、配合成分を見ると目的に違いが!
ポカリスエットは汗の成分に合わせて開発されていて、ナトリウムやカリウムを含みます。こちらは失った体内水分の補充に。アクエリアスやVAAMなど必須アミノ酸を含むものは、エネルギーを使うスポーツ時などの水分補給に向きます。また、ヘルシアウォーターなどビタミンCを含むものは、水分補給をするとともに疲労対策にも。さらに、薬局で取り扱われるOS-1などの経口補水液は塩分とカリウムの量が多く、普段使いよりは「まさかの時に」摂取するものとして用意しておくのがオススメです。
水やお酒が熱中症対策に向かない理由をうかがうと。
「水分だけ補給すると電解質(イオン)が薄まってしまいます。体は常にバランスを取ろうと働くので、濃度を保とうとしてますます水分を排泄してしまうのです。また、お酒は利尿作用があるばかりか、体内でCO2と水に分解されて排出するので水分補給にはなりません」。
では、スポーツドリンクが必須かというと、そうでもなさそう。
「熱中症を発症する人は、たいてい水分不足以外にも要因があります。寝不足とか、きちんと食事をとっていないとか、疲労が重なっているとか。まずはよく寝て、栄養バランスのいい食事をとること。特に朝食は大切です。バスタブにつかる入浴や運動で体を暑さに慣らすことも効果的ですよ」。
結局はそこなのですね~! 熱中症対策には水分と塩分(電解質)、と言われる理由もわかりました。
熱中症かもしれない人に出会ったらどうすれば!?
まず、熱中症を疑う症状はこのようなものがあります。
*手足や腹部のけいれん、筋肉痛
*全身の倦怠感、脱力感、めまい、吐き気、嘔吐
*頻脈、顔面蒼白
*足のもつれやふらつき、転倒、立ち上がれないなど
外でこのような人に出会った時の対応ですが、まずは名前や場所などを聞いて意識障害があるかどうかを確かめます。対応が鈍い場合はすぐに救急車を! 対応できる場合は…。
「人は他人には“大丈夫”と言いがちです。ですから“大丈夫です”と言われても、キャップのついたペットボトルを渡して、自分で開けられるかを確認してください。自分で水分補給ができたら、涼しい場所に移して衣服をゆるめ、寝かせて経過観察します」。
キャップを開けて渡しちゃいそうですが、そうじゃないんですね!
更年期は熱中症とホットフラッシュの区別がつきにくいだけではなく、エストロゲンの減少により血中の水分が減る傾向もあるそう。寝て食べて、水分と塩分補給。日頃から体力維持に気を配って、元気に夏を乗り越えましょう。
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