【教えていただいた方】
スペイン・バルセロナ在住。骨格矯正メソッド・ヤムナボディローリングとピラティスが専門。モットーは、アラフィフから健康でいるための体作り。Instagram、YouTubeを中心に、大人のボディ&フェイスを快適に整えるエクササイズを発信している。書籍『更年期世代の不調を取り去る 大人ピラティス』(KADOKAWA)も好評発売中。
“平たく大きくなっていく”大人の顔も
姿勢と頭蓋骨リリースで小顔へ導ける!
40代、50代と年齢を重ねるうちに気になる悩みのひとつが「顔の大きさ」。若い頃に比べると卵形から横へと広がり、さらに頭部全体が大きくなっているような…。はたして大人のデカ顔は、直るのでしょうか⁉
「大丈夫! 顔ピラティスのエクササイズで大人になってからでも小顔はつくれますよ」と、満面の笑みで答えてくれたNORIKOさん。まずは、前シーズンに行った『顔ピラティス』のおさらいも兼ねて、大人の顔がなぜ肥大化していくのか、というところからレクチャーしてくれました。
「大人の顔や頭の形が変わっていくのは、更年期による骨量の変化に加え、日々の姿勢のクセの積み重ねで、前頭骨(頭頂部の下からまぶたのあたりまでを覆う大きな骨)が、前にずり落ち、その下にある骨や筋肉を押し下げていくのが原因です。さらに私たちアジア人女性の骨格は、欧米人に比べると横に平がっていきやすく、これは頭や顔の骨も例外ではありません。
下垂しやすい前頭骨については、連載第1回で行ったように、後頭部を支えながら、おでこ全体の骨をゆっくりと頭頂へ向かって押し上げるエクササイズで整えていくことができます。そして今回はさらにブラッシュアップ! 歪みがちな姿勢を正し、前頭骨のさらに上にある、頭頂部付近の骨と筋肉の硬さやこりを優しくリリースして、頭蓋骨全体を整えていきましょう」
“顔デカ予備軍”からサヨナラできる
正しい座り方、3ステップをマスター
まずはニュートラルな姿勢のキープから! 全身鏡を置き、鏡の前で横向きに座ると姿勢の確認がしやすくなります。
1.椅子に腰かける。膝は90度ぐらいの角度にする。
2.足を骨盤の幅に開き、坐骨と骨盤全体を真っすぐ立てるようにする。
3.軽くあごを引き、目線は正面を見る。頭は天井から引っ張られているように、お尻は地面に近づけるような気持ちで、背骨全体を上下に伸ばす。自然と下腹部に軽く力が入るはず。写真のように、横から見たときに、頭、背中の上、そしてお尻のラインが一直線になっていればOK。
「頭蓋骨は背骨の上に乗っかっています。まずはこの背骨を整えることで頭の位置を正していきましょう。頭を正しい位置に戻すことで、うつむき姿勢や猫背などから起こりがちな、前頭骨の下垂を防ぐことができます。美しい姿勢は小顔づくりの基礎だと思い、日々の生活の中でも意識してみてくださいね」
頭のツボ“百会(ひゃくえ)”付近をゆっくりほぐすことで、
頭蓋骨のこわばりを取り、後頭部に丸みを出していく
ニュートラルな姿勢をキープできたら、いよいよ頭頂部のエクササイズへ。
1.両手で頭のてっぺんをふわっと包み込む。頭の中心にあるツボ・百会のまわりに向かって、優しく囲むようにするのがコツ。
2.百会を中心に、手のひら全体で頭の骨を包んでいるのを感じながら、ゆっくりと前、後ろ、横、斜め、片手で前後互い違いにと頭蓋骨を動かしていく。このとき、指先だけに力をこめないように気をつける。力を抜き、肩が上がりすぎないようにもすること。
「髪の毛が滑るという人は、手のひら全体で、頭皮を直接包み込んでみてください。でも頭皮マッサージではなくて“骨”を動かして。
頭のてっぺん・百会付近にある骨は、赤ちゃんの頃は開いていてしなやかに動きますが、大人になるにつれてガチガチに固まりがちに。百会のある頭頂骨をゆっくりと動かして緊張をほぐすことで、まわりにある骨同士にも隙間ができ、頭全体のこわばりがほどけていきます。
ポイントは、とにかく柔らかい力で動かすこと。最初は“動くか、動かないか”ぐらいでOK。硬くなっている大人の頭は、そんなに簡単には動きません(笑)。焦らずに、前、後ろ、横、左右ジグザクとやってみて。その時々で動かしづらい方向や、逆に気持ちのよい動きがあることに気づくはずです。
頭の骨とその上にある頭皮全体がしなやかになっていくのが感じられたら、上手にエクササイズできています」
「地味~な動きですが、この頭頂骨のマッサージは、前頭骨を引き上げるエクササイズと組み合わせてやるのがおすすめ。続けていくうちに後頭部に自然な丸みができ、横へと広がって大きくなりがちな大人の頭の形を整えてくれます」とNORIKOさん。まずは頭蓋骨から美しさを手に入れ、次は宿敵「顔デブ」を退治しましょう!
撮影/藤澤由加 取材・文/石井絵里