悩んでいる人が多い毛髪と頭皮問題。現在、治療にはどのようなものがあるか、3人の素敵女医に対策について聞きました。
お話を伺った素敵女医は
住吉周子さん
Shuko Sumiyoshi
57歳 美容皮膚科・漢方内科 Shuko Clinic
杉野宏子さん
Hiroko Sugino
65歳 美容外科・形成外科 青山エルクリニック
坪内利江子さん
Rieko Tsubouchi
60歳 皮膚科・美容皮膚科 銀座スキンクリニック
原因が不明な女性の壮年性脱毛症
住吉 私の場合、もともと髪が細くて少ないねこっ毛。すぐにぺしゃっとなるので、いかにハリを持たせるかが若い頃からのテーマでした。
最近の悩みは白髪と髪の元気のなさ。幸いうねりは出ていないので、それだけはこれまで頑張ってきた成果かなと(笑)。
坪内 私は昔は毛量が多すぎるのがイヤだったのに、今は一本一本が細くなってボリュームが減るばかり。30代半ばからはうねりも出てきて、このとおりパーマをかけなくてもカールがつくようになっちゃいました。
杉野 私も量が多くて太い髪質だったのですが、40歳を過ぎて出産した途端、一気に抜けて。産後でヘアケアをする余裕もなかったので、回復に時間がかかりました。
坪内 薄毛に悩むアワエイジ世代の患者さんは多いですよね。でも、原因は男女で異なります。
住吉 男性の脱毛症は男性ホルモンに大きなかかわりがあることがわかっています。その男性型脱毛症(AGA)に対して、女性型脱毛症(FPHL)と呼んだりしますが、女性の原因は明らかになっていません。
坪内 現在、スタンダードな治療法は、ミノキシジルを配合した外用薬=育毛剤の塗布ですね。薬局で買える大正製薬の女性用育毛剤「リアップリジェンヌ」などがそうです。
杉野 日本皮膚科学会の脱毛症診療ガイドラインのなかで、最も推奨されている育毛成分がミノキシジル。日本では男性用で5%、女性用で1%の配合です。
うちのクリニックの場合、患者さんによってはもう少し濃度を上げた海外輸入品や、女性型脱毛症に効果が期待できるエルクラネルをおすすめすることもあります。
後者は人工的な性ホルモンで毛根の細胞を刺激して成長を促すと同時に、脱毛の原因となるホルモンの形成を抑制する育毛ローションです。
住吉 私のクリニックでは女性用として、ミノキシジル5%に血行をよくするビタミンEを加えた育毛剤を出していて、私自身も愛用しています。ミノキシジルはべたつきが強いので、メントールで清涼感をプラスしました。
男性用にはAGAの進行を抑え、髪が生え替わる周期を正常に戻すフィナステリドも配合しています。
杉野 女性の脱毛症は、出産や過剰なダイエットなどが原因になることも。
坪内 膠原(こうげん)病や甲状腺の疾患、鉄分や亜鉛の不足によって発症する脱毛症などもあって、その場合は原因となる疾患を治療したり、食生活を整えたりすることで改善することも少なくありません。
以前、脱毛治療の前に血液検査をしたら、患者さん7人中4人の甲状腺のホルモン値が低かったんです。40代~50代の女性に目立つ事例ですね。
<杉野宏子医師のおすすめ>
●パントガールシャンプー、エルクラネル、ミノキシジル5%配合のヘアムース
<写真左>クリニック扱いの医療用、パントガールシャンプー。主成分は、育毛効果と脱毛抑制効果を持つ有機エンドウ豆から抽出した水溶性エキス。髪の成長を刺激して、髪の質と密度を向上させる効果が期待できます。
<写真中>女性型脱毛症への効果を期待して現在使用中のエルクラネル。先端を頭皮に押しつけ、そのまま塗布。毛根細胞を活性化する作用があります。素敵女医の何人もが使用中。
<写真右>以前使用していた、ミノキシジル5%配合のヘアムース。頭皮にもみ込んで使用します。
●PRP育毛メソセラピー
PRPは多血小板血漿の略。患者自身の血液から作成した高濃度の血小板を含む血漿を、メソガンで頭皮に注入。頭皮の組織を再生し、発育不全の毛根に育毛を促す効果があります
撮影/フルフォード海 ヘア&メイク/木下庸子(プラントオパール) イラスト/ミック・イタヤ 取材・原文/上田恵子