40~50代が悩む毛髪と頭皮問題の最新情報を、3人の専門医が語ります。最終回となる今回は、頭皮の環境を整えるためのケアについて。
【専門女医3人による髪治療の最新情報】
頭皮の環境を整えるためには?
住吉 季節の変わり目は抜け毛が増えます。乾燥しやすくなる、湿気のせいで雑菌が繁殖しやすくなるなど、頭皮環境が変わることが原因です。特に秋口は、夏の間の紫外線や活性酸素の影響もあってよく抜けますね。
坪内 ストレスやホルモンバランスの乱れ、免疫力の低下などでも抜けるので、大量に抜けたときは治療を考えてもいいかもしれません。方法はいくつかありますし。
杉野 最近は「新型コロナに感染して脱毛した」などの噂もありますが、結局のところ何が原因かはわからない。そもそも、このコロナ禍自体が大きなストレスになっているわけですし…。
坪内 本当に。2年も未知のウイルスに振り回されているのですから、ストレスもたまるし髪も抜けますよね。知人は論文を執筆するたびに髪の毛がごっそり抜けて、書き上げると止まるんです。寝ていないとか食べていないとか、他の要因もあるのかもしれませんが、ストレスの影響は確実にあるような気がします。
住吉 私は父が亡くなったとき、急激に白髪が増えました。そのときは間隔をあまりあけずにメソセラピーで回復しましたけど。
杉野 患者さんからは白髪に関する相談も多いですが、染めるしかない。治す方法がないので。
住吉 メカニズムはわかっていても、対処法がない。私は白髪ができても抜かずに染めています。
坪内 髪の健康で重要なのは頭皮の環境を整えることですが、まずは血行をよくすることですよね。側頭筋(物を嚙むときに使う、こめかみから耳の上に広がる筋肉)が固まっている人が多いですが、当然血流が悪くなり、頭皮はもちろん、首から上全体がこって頭痛も起きやすくなるので、マッサージを習慣にするといいと思います。
住吉 あとは基本的なことですが、毛穴の汚れをしっかり落とすこと。汚れで詰まっていたら、高い育毛剤を使っても意味がないので。なかには「お湯ですすぐだけで汚れは落ちるから、シャンプーは使わない」という人もいますが、それではくさいです(笑)。
坪内 特に男性は皮脂が出るので、においも強くなりますよね。
杉野 血行をよくする、毛根を活性化させる成分が入っているシャンプーもありますが、髪を洗う時間は一瞬なので大きな影響はないと思います。でも、微量でも有用な成分で毎日刺激し続けたほうがいいのかも、と最近は考えるようになりました(笑)。
坪内 難しいのは、頭皮と髪質の両方をよくする商品がまだないということですよね。スカルプケアをすることと、それとは別に、育毛剤を使うしかない。外側からのケアもしつつ、タンパク質、鉄分、亜鉛をとって、体の中から頭皮と髪によい環境をつくることから始めるのがいいと思います。
<住吉周子医師の使用アイテム>
●髪の傷みが改善し、頭皮環境を整えるウォッシュオイルとシャンプー
<写真左>入浴時の頭皮マッサージは、Make It & Co.のウォッシュオイルで。血流がよくなります。
<写真中>ナチュラルリリーブ シャンプーは弱酸性の石鹼素材。11種類の植物エキスが頭皮環境を整えるので髪を休ませるときに。
<写真右>Kimehaシャンプー、トリートメント。水鳥羽毛抽出のケラチンとシルクのタンパク質を配合。髪の傷みが改善しました。
●スカルプケアに使用する、オイルとブラシ
<写真左>クリニックオリジナルのミノキシジル入りヘアエッセンス。
<写真中>顔と髪に使えるゴールド椿油。好きな香りのヘアクリームに1滴混ぜても。
<写真右>毛穴の汚れをしっかりかき出し、ブラッシングでツヤを出す、ドクタースカルプのザ・ブラシュ。
お話を伺った素敵女医は
住吉周子さん
Shuko Sumiyoshi
57歳 美容皮膚科・漢方内科 Shuko Clinic
杉野宏子さん
Hiroko Sugino
65歳 美容外科・形成外科 青山エルクリニック
坪内利江子さん
Rieko Tsubouchi
60歳 皮膚科・美容皮膚科 銀座スキンクリニック
撮影/フルフォード海 ヘア&メイク/木下庸子(プラントオパール) イラスト/ミック・イタヤ 取材・原文/上田恵子